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相続で戸籍謄本の悪用をされるケース

相続手続きにおいて、自分の戸籍謄本が必要となると思います。そして、相続人を代表して手続きを進めてくれる人に渡すこともあるでしょう。その際に、ちゃんと手続きをしてくれるのか不安になることはありませんか。悪用されたらどうしよう、と考えたことはあるのではないでしょうか。

 

今回は、相続で戸籍謄本の悪用をされるケースがあるのか?について説明していきたいと思います。

 

結論としては、相続手続きにおいては戸籍謄本【だけ】ではなにもできませんので、悪用されることはほぼないでしょう。しかし、揉める原因になることはあると思います。

 

戸籍謄本を紛失された、とか、相続手続きを放置されて戸籍謄本の有効期限が過ぎたから取り直しが発生したなどです。それでは具体的に見ていきましょう。

1、戸籍謄本は自分以外でも取得できる?

戸籍謄本は自分以外でも取得することが可能なのは知っていますでしょうか?身近な人でいえば、まずは配偶者です、そして自分の子供なんかも取得することもできます。

 

しかし、それ以外でも、第三者請求といって、赤の他人でも取得できる方法もあるのですもちろん赤の他人が請求するときには、しっかりとその請求理由や提出先などの説明と証明をしなければなりません。ただし、それでも赤の他人が取得する可能性もありますので、役所では本人通知制度というものが用意されています。

 

赤の他人が請求し、役所がその請求理由を良しとしたら交付されます。その交付したことを本人に通知してもらえる、という制度があるんです。これのデメリットは、事前登録制ということです。つまり、事前にその制度を使いたいです、ということを登録しないと、本人に赤の他人からの請求によって交付しましたよ、ということを通知してもらえないんです。それでも100%安全というわけではありませんが、この本人通知制度は登録しておいたほうが良いと思います。

2、戸籍謄本よりも悪用されたらヤバいものがある

戸籍謄本よりも、自分以外の人に渡したら危ないものがあるんです。それは、実印と印鑑証明書です。戸籍謄本は、それだけではほぼ何もできないことが多いです。相続手続きでいえば、相続放棄を勝手にさせられたとか、相続財産である預貯金を勝手に解約させられたとか、遺産分割協議において勝手に合意したことにさせられたとかは、戸籍謄本だけではできません。

 

しかし、実印と印鑑証明書があれば、すべてできてしまいます。実印を押印し、それに印鑑証明書がついていた場合、それは実印を押印した「本人の意思に間違いがない」という証拠になるのです。

 

先ほどの例でいえば、相続放棄の書類に実印が押印され、印鑑証明書がついていた場合、それは相続放棄が本人の意思である、という証拠になります。相続財産である預貯金の解約の書面に、実印が押印され印鑑証明書がついていた場合、預貯金の解約に手続きに同意していることが本人の意思である、という証拠になります。

 

遺産分割協議書に実印が押印され印鑑証明書がついていた場合、遺産分割協議書の内容に合意したことが本人の意思である、という証拠です。相続でなくとも、勝手に借金を負わされたとか、連帯保証人になっていたとか、実印と印鑑証明書が悪用されるケースは多岐にわたるでしょう。この2つのモノだけは絶対に渡さないように自分自身で管理しましょう。

 

なお、印鑑証明書も戸籍謄本同様自分以外でも取得は可能です。その場合には印鑑カードが必要になり、これがあれば比較的簡単に誰でも取得ができてしまいます。なぜ簡単に印鑑カードがあれば取得ができてしまうのか、それは、印鑑証明書だけあったとしても意味がないからです。実印とセットで印鑑証明書あることで効力が発生します。つまりニコイチです。2つで1つです。なので、たとえ印鑑証明書を不正に取得されたとしても、実印がなければ意味がないものになりますのでそこはご安心ください。

3、悪用されるケースとは

相続手続きにおいて、戸籍謄本だけで悪用されるケースはないといってもいいと思います。それよりも、実印と印鑑証明書のセットだけは、簡単に押印するとか、渡すということはしないようにしましょう。押印するときはしっかりと内容を確認する。誰かに渡すときは、自分が納得した内容の書面に自分が見ている場で押印してもらってすぐに返してもらう、などして悪用されることのないように管理していきましょう。

 

いかがでしたでしょうか。今回は相続で戸籍謄本の悪用をされるケースがあるのかについて説明させていただきました。戸籍謄本よりも、実印と印鑑証明書のほうが悪用されると怖いものと思います。印鑑証明書とセットで実印を押印するような書面の内容が大丈夫か不安、そもそも自分でそんな書面を作成ができないなどの場面が出てくるかもしれません。そのような場合は、行政書士等専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は本人の財産によって数万円程度かかりますが、自分自身でする場合の時間や手間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。