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相続での戸籍謄本の使い道は何通り?

相続のための戸籍謄本って何通り必要なんだろう?とお困りの方は多いのではないでしょうか。

 

人によって持っている財産は違いますので、当然、相続の手続き先も人によって違います。

しかし、どの相続手続きにも共通して言えるのは、戸籍謄本が必要ということです。

戸籍が必要になる相続手続きの例

・相続放棄または限定承認

・預貯金や証券口座の名義変更・払い戻し

・不動産の相続登記

・自動車の移転登録

・相続税の申告

 

では、手続き先がたくさんある人はその分戸籍もたくさん集めないといけないのかというと、そんなことはありません。

 

遺産が多くても少なくても、手続き先が多くても少なくても、使い回しや法定相続情報証明制度を利用することによって、基本的に戸籍謄本は1セットで事足ります。

 

それでは、戸籍謄本を賢く使いこなす方法を見ていきましょう。

1.提出した戸籍書類を原本還付で使い回す

原本還付を行うことで、1セットの戸籍謄本を複数の手続き先で使うことが出来ます。

「原本還付」の流れ

1原本とコピーを提出

2コピーと原本が同じであることを確認

3原本を返してもらう

 

例えば、銀行で故人の預貯金の名義変更や解約を行うのに、原本還付は当たり前に行われています。

 

普通に原本を返却してくれる所もあれば、原本還付を希望すれば返却に応じてくれる銀行、郵送で書類を提出する際に付箋やメモを付けるだけで良い銀行など、対応は違うものの、どの銀行も原本還付に応じてくれる場合は多いと覚えておきましょう。

 

ちなみに、預金名義変更手続き以外の、法務局での不動産の相続登記でも、戸籍謄本の原本還付は可能です。相続放棄の手続きは裁判所によって対応が異なりますので、事前の確認が必須となります。
なお、相続登記や相続放棄は、弁護士又は司法書士でなければ代行できません。

 

このように、原本還付はとても便利な手段ではありますが、大量の書類を頻繁に受け渡しするので、紛失のリスクがあります。また、法務局での登記申請中は、原本を預けっぱなしにする必要があるのでの、他の手続きを進められないといったデメリットもあります。

 

そのようなデメリットに対しては、次に紹介する「法定相続情報証明制度」の利用もおすすめです。

2. 戸籍謄本一式の代わりとして使える便利な書類を作る (法定相続情報証明制度)

管轄の法務局に戸籍謄本一式を持ち込み、申し出をすることで「法定相続情報一覧図の写し」という書類を取得することが出来ます。

これは戸籍書類一式の代わりとして使用できるとても便利な書類です。

法定相続情報一覧図の写し取得方法

1 必要書類の収集

・亡くなられた⽅の⼾除籍謄本 出⽣から死亡まで全て

・亡くなられた⽅の住⺠票の除票

・相続⼈の⼾籍謄謄本(抄本でも可)

・申出⼈(相続⼈の代表となって⼿続をする人)の身分証

 

2 法定相続情報一覧図の作成

3 申出書の記入、登記所へ申出

 

法定相続情報証明制度利用のメリットとしては、法定相続情報一覧図の写し一枚で戸籍書類一式の代わりになること(戸籍謄本の束がA4の紙になる)や、何通でも必要な数だけ取れること、発行手数料が無料であること、が挙げられます。

 

また、戸籍書類一式は最初の1セットしか揃えていないのに、不動産や銀行預金の相続手続きを並行して進められます。

その他、相続税の申告の添付書類として使えたりと、使える場面も多く、何かと使い勝手が良いです。

 

しかし、法務局でのワンステップを踏まないといけないということや、戸籍謄本以外の書類の代わりにはならないこと(戸籍以外の書類は使いまわしをするか、複数枚用意する必要があります)、を考えると、万能な制度とは言い切れません。

 

とはいえ、相続手続きが多い場合には、1よりも2を使うメリットがあると言えるでしょう。

 

このように、戸籍謄本一式が1セットしかなくても、どうにか相続手続きが進められるということが分かってもらえたかと思います。

漏れなく相続財産を把握することは、後々の遺産分割や相続税申告漏れを防ぐという観点からは必要ですが、

 

戸籍謄本の使い回しや法定相続情報証明制度を利用すれば、提出先ごとに戸籍謄本を用意する必要はありません。ですので、戸籍の収集は余裕が出来次第すぐに収集を始めましょう。

 

もし、ご自身で戸籍謄本の収集や、法定相続情報証明制度の申出を行うのが難しいと感じるようであれば、行政書士等専門家のサポートを受けるのが良いでしょう。専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は数万円程度かかりますが、相続する金額やかかる時間、そもそも自分自身で手続きできるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。