所有している農地を、今後転用して他者に譲ろうと思っているが、この場合農地転用の第5条に該当すると聞いた。自分で手続きに必要な書類を集めて作成しようと思っているが、書類も膨大でよく分からない。このように転用手続きを行う予定の方で、いざ必要書類を調べてみると複雑だと頭を抱えていらっしゃる方も、少なくありません。
そこでこちらでは、農地転用第5条の必要書類と費用についてというテーマで、詳しく解説致します。
■農地法第5条とは?
農地法には大きく分けて3種類あり、誰がどのように利用するかでその種類は異なります。
5条の内容としては下記の通りです。
【第5条 他者に権利と転用移動】
農地以外のものに転用して、その権利も変更する場合に必要です。
親から子への贈与などが該当します。
- 農地を宅地に変えて他者に貸す・売る場合
- 農地を購入した人が、その他の用途で使用する場合
それでは第5条の許可を申請する際に、必要となる書類を次項で解説致します。
■必要書類と費用について
必要な種類は自治体によっても異なります。
今回は主なものを挙げています。必要な書類とその取得費用を見ていきましょう。
1.許可申請書
当事者(譲渡人・譲受人)の氏名と住所、土地の所在地や地目などを記載
用途目的や利用期間を細かく記載し、工事完了日や資金調達についての計画を記載
2.申請地の全部事項証明書(取得費用500円〜600円)
法務局で取得し3か月以内に発行されたものに限ります。オンラインで取得可能です
3.住民票・戸籍の附票など(取得費用 300円)
所有者の現住所が、登記事項証明書の住所と異なる場合
4.土地所有者の同意書
賃借人が転用や貸付を行う場合
5.賃借権解約に係る許可申請書または通知書
賃借権設定期間内に転用を行う場合で農地法18条に定める手続きが必要な場合
6.転用同意書
地役権が設定されている場合・他に共有者がいる場合は、権利を有するものの同意が必要
7.法人の登記事項証明書(取得費用500円〜600円)
法人の場合に必要。法務局で取得できます
8.法人の定款
法人の場合に必要
9.相続関係が確認できる書面(取得費用450円〜700円)
登記名義人が死亡後、相続登記が未登録の場合に必要
・相続関係図・戸籍、除籍謄本・相続放棄申述受理謄本、遺産分割協議書
10.位置図
縮尺1/2500程度で最寄りの駅や役場・インターチェンジなど公共施設からの位置がわかるもの
11.公図の写し(取得費用350円〜450円)
隣接土地の地目や土地所有者を記載
12.周辺土地利用状況図
周辺の土地利用状況がわかる図面
13.申請地や周辺の現況写真
申請地を赤線で示し撮影日を記載
14.地積測量図(取得費用 自治体によって異なる・計測依頼の場合は20万円〜50万円)
既に計測が終了している場合は自治体の窓口で交付
済んでない場合は測量事務所へ依頼する必要があります
15.事業計画書
事業を行う理由や土地を選んだ理由を細かく記載
隣接農地所有者への転用事業の説明状況なども必要
16.施設の平面図・立面図
建物を建設する場合に必要
17.排水計画図
排水施設を構造・放流先を明示するために必要
18.造成計画図
造成・開発許可を行う場合に必要
19.資力を証明する書面(取得費用700円〜900円 融資証明書は数千円〜1万円)
預貯金の残高証明書・融資証明書
申請する面積が3,000㎡を超える場合は賃借対照表を提出
20.整備・建設に係る見積書
原本を転出。返還希望の場合は原本提示のうえコピーを提出
21.土地売買契約書の写し(取得費用 1件につき数千円)
売買の金額がわかるものの原本を提示してコピーを提出
22.隣接農地所有者・耕作者の同意書
接地が農地で農営に影響が及ぶ可能性がある場合
23.土地改良区の意見書
申請地が土地改良区の場合
24.水利権者の同意書
対象となる権利者が作成します
25.農業振興地域整備計画の変更済証明書
自治体の窓口で交付してもらえます
【転用の目的によって必要な書類】
➀資材置場や駐車場の場合
・土地利用状況図
既存施設の写真を添付、所在地や面積・資材の品目・数・台数を細かく記載
・位置関係図
既存の資材置き場や事業所・申請地との位置関係がわかる地図
・事業経歴書
・数量算定根拠説明資料
・確約書
➁貸資材置場の場合
・上記の添付書類に加え、申請者の関係がわかる書類
申請者と貸付先の関係が明確に分かる書類を添付
➂貸駐車場の場合
・駐車場の添付書類・需要説明書
周辺住民や企業からの要望書を添付
➃太陽光発電の場合
・設備認定通知書
申請中の場合は、申請書の写し又は申請済みであることを証明する書類
・受給契約書の写し
電気事業者による系統連系の同意を得ていることが示された書面でも可
・太陽光発電設備概要書
・平面図・立面図
➄駐車スペースを伴う事業の場合
・1台数算定根拠説明書
店舗や事務所に併設して20台分以上の駐車場を設置する場合に添付します
➅建売分譲住宅の場合
・事業経歴書
・建物の配置図
■まとめ
今回は、農地転用第5条の必要書類と費用について解説しました。
転用手続きは、必要書類が大変多く内容を理解しておくことで申請のスムーズさにも繋がると思います。
またご自身で行うことも可能ですが、そのような時間がない場合や確実に手続きを行いたいと不安な方は、専門家である行政書士までご相談ください。