家を建てたい場所の土地を調べてみたが、農地だったので家が建てられないようだ。親から相続した土地が農地だったが農業はする気は無い、何か活用できないでしょうか。
都心部ではこのような声は少ないかもしれませんが、都心を少し離れるとこのような状況がよく散見されます。
果たして、農地を変えることはできるのだろうか。
実は農地を農地以外のものにすることができる方法があります。それが『農地転用』です。
農地転用って聞いたことはあるけど、言葉だけ知っていて中身はよく分からないという方や、初めて農地転用という言葉を聞いた方に向けて、こちらでは農地転用についてわかりやすく解説していきます。
■そもそも農地転用って?
農地転用とは簡単に言うと「農地を農地以外のもの」にすることを言います。
ここで言う農地とは農地法に基づいて言うと、「耕作の目的に供される土地」のことです。これは、現在は耕作が行われていないが、耕作をしようとすればできる土地も含まれます。一方、以前は耕作が行われていが、耕作放棄地と認定されている場合は農地にはなりません。
原則、現状で農地かどうかは判断されることになりますが、登記簿謄本には畑や田と記載されていることが多々あります。
そのような、農地を耕作以外の目的で使用したい際に行うのが農地転用です。これを行うことにより、例えば、田畑を駐車場や賃貸マンションにすることができます。
わざわざこのように農地転用を行わなければ耕作の目的以外で使用できないのは、日本の農業を守る為であり、農業生産を安定させる為であります。
しかしながら、担い手の不足や、輸入の増加により、現実問題農地転用の需要が高まっているのは事実であります。
■農地転用ができる土地、できない土地
実は農地転用ができる土地、またできない土地があります。
具体的にそれぞれ詳しく説明いたします。
農地転用ができる土地
下記区分の土地は農地転用ができます。
①第2種農地
生産力が低く市街地近郊(鉄道の駅が500m以内にある等)で、市街地として発展が見込める農地です。
※条件付きで転用が認められます。
②第3種農地
公共施設、公益的施設が周囲に整っている(鉄道駅が300m以内にある等)、市街地化傾向がある農地です。
※条件は不要で転用可能です。
農地転用ができない土地
下記区分の土地は農地転用ができません。
①第1種農地
100,000平米以上の集団農地、土地改良事業対象となった農地です。
②農用地区域内用地
市町村が農業振興地域整備計画に基づき、農用地区域と定められている区域内にある農地です。
※転用したい場合は、農業振興地域除外申請を行う必要がありますが、許可される可能性は限りなく低いです。
③甲種農地
市街化調整区域内の土地改良事業が8年以内に行われた農地です。
■農地転用の一般基準
農地転用は上記の農地区分と、一般基準に基づいて判断されます。
この一般基準は申請書を基に判断されます。基準は下記の3点になります。
①申請する農地を申請の用途で使用することが確実であること
②周辺の農地の営農に支障を生じさせる恐れがないこと
③一時的な利用での転用において、利用後にその土地がまた耕作の目的で使用されるのが確実であること
※都道府県によって、上記の他に特別な要件を加える都道府県もあります。
■農地転用のやり方
農地転用をする為には、農地転用許可申請を行う必要があります。
具体的には、転用許可申請書と必要書類を用意し、農業委員会に提出します。それらが農業委員会を経て都道府県知事に提出されます。
この際に上記の農地転用の一般基準で記載した判断がされますので、一般基準に問題がないかを証明する資料(例えば、資金計画書や写真、位置図や計画図等)を添付する必要があります。
また農地転用申請は約4週間で結果が出ます。
■農地転用は複雑?
農地転用は、農地転用ができる土地と出来ない土地に分かれており、また一般基準もある為、初めて農地転用される方や農地転用をお考えの方にとっては大変ハードルが高いものとなっております。
しかしながら、耕作を長い期間行っておらず、現状も何もせずに放置しているような土地を遊ばせておくのは、土地活用ができておらず、それこそが損失になり得ることも多々あるでしょう。
わかりにくいからとそれをそのままにしておくのが一番勿体無いことですので、農地転用をお考えの方や、遊休地があって困っている方は、是非一度お気軽に農地転用のプロである行政書士までご相談下さい。