農地転用を検討しているが、具体的な手続きの流れはどのようにするのだろうか、また転用が完了するまでにどれくらいの期間がかかるのだろうかと疑問に思われている方は少なくないでしょう。
今回はそのような疑問をお持ちの方に向けて、農地転用手続きの流れと、それにかかる期間について解説していきます。
■農地転用申請の流れはどうなっているのだろうか
それでは、最初に農地転用申請の流れを説明して行きます。
市町村や規模で、許可までの時間や、流れが変わってきますのでそれぞれ説明いたします。
4ヘクタール超の大規模農地転用のケース
① 市町村の農業委員会に農地転用許可申請書を提出
② 市町村農業委員会が都道府県農業委員会ネットワーク機構より意見聴取
③ 市町村農業委員会が上記の意見を踏まえて、行政担当に送付
④ 行政担当より農政局に協議が出される
⑤ 農政局より許可が下り申請者に通知
4ヘクタール超の大規模な農地を転用する際は、事前に地方農政局長に協議する必要があるとされております。
こちらは、基本、市町村の農業委員会から地域の農政局に送られます。
4ヘクタール以下の小規模な農地転用のケース
小規模な農地では30アール以下と30アール以上で手続きの流れが若干異なります。
30アール以下の小規模農地のケース
① 市町村の農業委員会に農地転用許可申請書を提出
② 市町村農業委員会が市町村長又は知事に送付
③ 許可が下りると申請者に通知
30アール以上の農地のケース
① 市町村の農業委員会に農地転用許可申請書を提出
② 市町村農業委員会が都道府県農業委員会ネットワーク機構より意見聴取
③ 市町村農業委員会が上記の意見を踏まえて、市町村長又は知事に送付
④ 許可が下りると申請者に通知
※ケースにより、市町村長等は地方農政局長と協議を要することがあります。
市街化区域内の農地転用のケース
市街化区域は、都市計画法により市街化促進をすべき地域とされている為、市町村の農業委員会の判断で農地転用が可能です。その為、今まで説明してきた農地では必要であった意見聴取や知事の確認等が省かれます。
① 市町村の農業委員会に農地転用許可申請書を提出
② 市町村農業委員会より申請者に受理通知が届く
■農地転用が完了するまでの期間はどれくらい?
農地転用の申請をしてから、その申請が受理されて許可が下りるまでにどれくらいの期間がかかるのかを把握しておかないと、色々なスケジュールを組むことができないこともあるかと思います。
この項では、農地転用が完了するまでの期間を説明していきます。
・農地転用完了までの目安期間
申請が受理されてから、農地転用許可が下りるまで一般的には約4週間かかります。
また、複雑な事案では許可が下りるまでにこれ以上の期間を要することは往々にしてありますので、スケジュールは余裕を持って組みましょう。
・農地の規模による許可プロセスの違い
上記の農地規模にて、農地規模による手続きの流れの違いを説明した通り、申請の流れが変われば許可が下りるまで要する時間も変わってきます。
特に規模が大きくなればなるほど、許可までに発生する協議や聴取が加わり、時間がかかる傾向があります。
一方、指定市町村制度に指定されている市町村は許可までの期間が早まっている傾向にもあります。指定市町村制度とは、農地転用許可権限を指定市町村に移譲し、市町村が主体となり、まちづくりや街の開発が可能にするというものです。この制度のお陰で以前ほど極端に長くなるということは減っております。
指定市町村制度は、現時点(令和3年1月時点)では23道府県61の市町が指定されております。
農地転用する予定の所在地が指定されているかどうか確認することをお勧めいたします。
・指定市町村制度の効果
上記での指定市町村制度による、農地転用許可にかかる時間は市町村によってまだまだ差があるようです。
例えば、飯田市では今まで40日ほどの日数が許可までにかかっていたが、現在は最短では25日ほどで許可が下りることがあるようです。
一方、指定はされたと言え、まだまだ大幅な改善がない市町もありますが、今後改善されていくことでしょう。
■農地転用の流れと必要な期間を意識しよう
こちらでは、農地転用の流れとかかる期間について解説していきました。
規模によりますが農地転用は最低でも4週間ほどかかってしまいます。しかしながら、これはあくまで申請が受理されてからの期間ですので、書類の準備期間などは入っておりません。
つまり、書類の作成や、役所への問い合わせなどを含めると、もっと多くの時間が必要になるということです。
それを意識してスケジュールを組まないと、とても慌ただしくなってしまうので、事前に農地転用をしたい農地の所在地の農業委員会に、農地の規模を伝え、大体どれくらいで許可が下りるかの確認をしておきましょう。
それでも全体的なスケジュール感が分からない場合や不安がある場合は、是非、専門家である行政書士にご相談ください。