都市計画法では、開発行為を行う際に、基本的には開発許可が必要となってきますが、開発許可の規模や用途によっては、許可が不要なケースも出てきます。
これから、開発行為を行う予定の方など、不要なケースを知っておくことで、許可申請の手間が省け、効率的に工事を行えるかもしれません。
それでは、こちらでは開発許可が不要なケースに関して、解説していきます。
■開発許可が不要なケースとは?
1.小規模の開発など、面積がある一定未満の場合
2.建築予定物の用途に関して
3.開発事業の内容に関するもの
4.社会通念に基づく場合
大きく分けると上記の4つに分けられますが、ここから更に詳しく見ていきたいと思います。
【小規模の開発など、面積がある一定未満の場合】
ここでは、開発行為が行われる場所によって、許可不要となる面積は変わってきます。
・市街化区域の場合・・開発行為を行う土地面積が1,000平方メートル未満の場合は許可不要
しかし各都道府県で、条例によって300平方メートルまでは引き下げることが可能となっているので、事前に対象となる土地の面積を確認しておくことをオススメします。
・準都市計画区域の場合・・開発行為を行う土地面積が3,000平方メートル未満の場合は、許可は不要です。
ただし、この場合も300平方メートルまで引き下げ可能となっています。
・非線引き都市計画区域・・都市計画区域の中で、市街化区域・市街化調整区域と区分されていない場所のことを指します。
ここでも3,000平方メートル未満までは許可不要となります。
ただし、この場合も300平方メートルまで引き下げ可能となっています。
また、都道府県によっては、この区域自体が対象とならない場合もありますので、事前の確認をしっかりと行う事をオススメします。
・市街化調整区域・・市街化調整区域に関しては、面積に関する不要なケースはないので、必ず許可が必要となります。
【建築予定物の用途に関して】
それでは次に、開発予定の建築物の使い道によって、許可が不要となるケースがあります。
これから詳しくご説明していきます。
・市街化区域以外の区域で、農林漁業用の建物や居住用として開発行為を行う場合
わかりやすく説明しますと、農業や漁業を営むために必要な建物のことです。(下記参照)
・温室や畜舎を作る場合
・農家の倉庫・農家の住宅を建てる場合
・漁業に関わる加工場などを建てる場合
これらの目的で、開発行為を行う場合は、開発許可は必要ありません。
・公共的な目的のある建物を建てる場合
ここで言う公共的な目的のある建物とは、主に下記の建物のことを指します。
・図書館や博物館等を建てる場合
・駅や鉄道施設を建てる場合
・ゴミ処理場や墓地、公民館を建てる場合
また、以前は学校や医療・福祉施設も許可不要となっていましたが、平成20年に改正法によって、開発許可が必要となりました。
国や都道府県が行う開発行為の場合も、都道府県知事と協議する事が必須となり、特例措置の扱いとなりました。
【開発事業の内容に関するもの】
都市計画で定められた都市計画事業・土地区画整理事業による開発行為に関しては、開発許可は不要となっています。
また、国が所有している海や湖、河いわゆる公有水面の埋め立てに関する場合も、開発許可は不要となっています。
【社会通念に基づく場合】
ここでは、主に下記の場合において、開発許可が不要と認められます。
・災害が起きた際に、非常用として応急措置を行う場合
・仮設建築物の建築を行う場合
・土木事業を行う際に、一時的に使用する物置や駐車場を作る場合
・増築や改装を行う際に、床面積の合計が10平方メートル以内の場合
・市街化調整区域内に住んでいる方の、日常に必要な品物の販売を行う店舗の新築で、面積が50平方メートル以内の場合
この他にも、政令で指定されているものに関しては、開発許可を必要としないケースもあります。
■開発許可が不要の場合
上記で説明したケースに該当する場合、開発許可は不要となりますが、建築確認済証の交付を受ける場合、下記の書類を提出しなければなりません。
・開発行為等適合証明申請書
・開発行為等適合証明書
・その他必要書類
上記の書類は、各都道府県の開発許可のHP等でダウンロードできます。
正本・副本1部ずつ準備しておきましょう。
申請手数料は、3,000円~7,000円です。各自治体によって手数料も変動していますので、確認をしておきましょう。
■まとめ
今回は、開発許可が不要なケースを、細かくご説明しました。
開発行為を行う場所や、規模、用途によっても、開発許可が必要もしくは不要となってきます。
これから開発行為を行うが、いまいち不要なケースに該当するのか分からない。
専門的なことだから自分では把握していない。という方もいらっしゃると思います。
そのような際には、開発許可のプロである行政書士まで、お気軽にご相談ください。