建設業の許可を取得する際に、「残高証明書」というものの提出が必要になる場合があります。
「残高証明書」ってどんなもの? 銀行の通帳でよいの?有効期限はあるの?どれくらいの金額が証明できればいいの?とたくさんの質問の声が沢山聞こえてきそうなので、建設業で使う残高証明書についてや、その有効期限などについて解説をしていきます。
建設業の許可を取得する際には、要件を備えたうえで、様々な書類を用意して申請窓口である建設事務所や土木事務所などに申請を行います。
建設業の許可を取得するための要件のひとつに「財産的基礎」という要件があります。
建設業の許可には「一般知事許可」「一般大臣許可」「特定知事許可」「特定大臣許可」という種類がありますが、このすべての許可の要件には「財産的基礎」というものがあり、取得申請の際に「残高証明書」が必要になる場合があります。
一番多くの方が取得される「一般知事・大臣許可」の場合を例に挙げて説明すると、
一般建設業許可の財産的基礎要件と求められているのは
①直前決算期における貸借対照表の純資産の部の合計が500万円以上あること。
②金融機関が発行する預金残高証明書の残高が500万円以上あること。
一般建設業の許可を取得するために、①②のどちらかで財産的基礎があることを立証することになります。
このことは、許可を取得しようとする建設業者の取引先を保護するために建設業では申請する許可業者に最低限の財産的基礎があるかを確認する為の条件になります。
例えば、頼んだ工事の途中で、その業者が材料を仕入れたり、人を雇うお金がなかったり、最悪潰れたりした場合、工事が進まなくなり、工事の発注者が被害を受けることになりますから、そうならないように最低限の資力を申請者たる建設業者に求めていることになります。
①②のどちらかが備わっていれば、いいわけですから仮に、直近の決算書の貸借対照表の
純資産の部の合計が500万円以上ある場合は、金融機関の発行する預金残高証明書を用意する必要はありません。
しかしながら、直近の決算書の貸借対照表の純資産の部の合計が500万円未満の業者さんが申請する場合には、預金残高証明書は必要になります。
例えば、預金残高証明書を使用されるかたは個人事業主の方が多いのですが、法人でも新設法人でまだ決算を1回も迎えていない法人さんで、資本金が500万円未満の方や、長く法人経営をしているが、たまたま前年度は資産が目減りして500万円がない法人さんなど、預金残高証明書をもって財産的基礎の証明をする方もおみえになります。
以上が預金残高証明書の必要な場合の説明になります。
次に預金残高証明書の有効期限について解説をします。
預金残高証明書は金融機関、いわゆる預金を預けている銀行が発行してくれるものになります。預金残高証明書には「基準日」と言われるものがあります。
「基準日」というのは、簡単に言うと、残高の計算日になります。例えば、2020年12月1日に残高証明書を銀行に貰いに行っても、12月1日時点での残高は取得することができないと思います。だって銀行がまだ営業中ですから。
そのため、2020年12月1日に貰える残高証明書は2020年11月30日時点でのものが最新の物になると思われます。この場合「基準日」とは2020年11月30日になり、
入手した残高証明書は2020年11月30日時点での残高の証明になります。
一般的に、建設業許可の申請窓口である建設事務所は、預金残高証明書の有効期限は
「基準日から起算して1ヶ月以内」としているところが多いようです。
ただし、各都道府県によって違いがみられ、「基準日から2週間以内」と定めている都道府県もありますので、注意が必要です。仮に有効期限が切れた場合は、最新の物を取り直すことになりますので、申請をご検討されている方は、事前に有効期限を確認をすることをお勧めします。
またこの残高証明書は2つ以上の預金の合計額の合算で500万円以上あれば、建設業許可の要件である財産的基礎要件をクリアすることはできます。例えば、UFJ銀行に300万円あって、三井住友銀行には200万円ある場合、その2つの金融機関から残高証明書をとって合算で500万円以上あればいいわけです。ただしその場合は2つの銀行が発行する
残高証明書の「基準日」を揃える必要があります。この「基準日」が違う場合合算が認められないので、財産的基礎要件を満たすことはできなくなります。
また「基準日」には500万円以上あったが、申請時点で残高が500万円以下になった場合はどうなるのか?
建設業許可の財産的基礎要件の審査で預金残高証明書を使用する場合、審査は「基準日」ベースで審査されますので、申請時に500万円を割り込んだ残高でも「基準日」に500万円以上あれば大丈夫です。
以上が建設業許可で使う残高証明書の期限の解説になります。