建設業許可を申請する際の添付書類にある身分証明書がよくわからない事業者さんは多いのではないでしょうか。運転免許証とか社員証のことだと誤解をしている事業者さんも多く、誤解したまま建設業の許可申請をして指摘されたけどどうしたらいいのかとお困りの事業者さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、建設業許可で添付する身分証明書とは?という疑問にお答えしていきたいと思います。
建設業許可で使う身分証明書とは?
身分証明書といわれると、運転免許証や社員証などと勘違いしてしまいますが、こちらも聞き慣れない書類で、市区町村が発行する書類として存在しています。
地域により身分証明書、身元証明書と呼び名が違う場合がありますが、記載されている内容は同じもので、本籍地の市区町村役場で取得することができます。
ここで注意してもらいたいのが、取得できる役所は住所地ではなく本籍地を管轄する役所だということです。
本籍地は戸籍謄本を取得するときに行く役所だと思っておけばいいと思います。自分自身の本籍地がわからない、という方は本籍地を記載させた住民票を取得することで、自分の本籍地がわかります(必ず本籍地を記載する形で住民票を取得しましょう。間違って本籍地が省略された住民票を取得してしまうと、意味がありません)。
この身分証明書ですが、申請者などが欠格要件の一部に該当しないことを証明するための資料となります。
具体的には下記の通知を受けていないことが記載されています。
①禁治産または準禁治産の宣告の通知を受けていない。
これは、平成12年3月31日以前に成年被後見人または成年被保佐人になっていないことを証明するものになります。
②後見の登記の通知を受けていない。
これは、平成12年4月1日以降に、成年被後見人として登記されていないことを証明するものになります。
③破産宣告または破産手続き開始決定の通知を受けていない。
これは、破産者で復権を得ていない者、または破産手続き開始していないことを証明するものになります。
成年被後見人や成年被保佐人とは、精神上の障害によって事理を弁識する能力を欠く状況にある者(成年被後見人)、精神上の障害によって事理を弁識する能力が著しく不十分な者(成年被保佐人)として家庭裁判所が後見開始または補佐開始の審判をした者のことになります。
簡単にいいますと、いわゆる認知症のような状態になってしまった人のことになります。
禁治産または準禁治産という言葉も、昔の言葉であり、現在の成年被後見人・成年被保佐人のことです。
禁治産=成年被後見人
準禁治産=成年被保佐人
民法という法律が改正されたことに伴い名称が変わりました。
平成12年の4月1日から成年被後見人や成年被保佐人という言葉が使用されましたので、それ以前とそれ以降にいわゆる認知症のような状態になっていないことを証明する書類、ということになります。
身分証明書とあわせて「登記されていないことの証明」も必要になります。こちらも同じ役割となりますが、取得できる場所は法務局になります。
証明書を取得するには、ご本人や代理人の本人確認書類(運転免許証など)、委任状などが必要になりますので、請求する窓口までご確認ください。
法人の場合は申請する会社の役員全員(監査役を除く)、個人事業の場合は事業主自身の身元(身分)証明書と登記されていないことの証明を申請書に添付することになります。
いかがでしたでしょうか。
今回は、建設業許可で添付する身分証明書とは?という疑問にお答えさせていただきました。成年被後見人や成年被保佐人ではないことの証明と破産者で復権を得ていないものではないことの証明として使用するものになります。
建設業許可には欠格要件がありますので、それに該当していませんよ、ということを証明するために添付する必要がある書類なんですね。建設業の許可を取得することで事業を発展させていくこともできますので、建設業の許可を受けることをお勧めいたします。
もし建設業の許可について難しいと感じるような場合には、行政書士等専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用はかかりますが、自分自身でする場合の時間や手間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。