建設業許可を取得する際には、必要資料を集めて、役所の申請受付窓口に申請書を提出する必要があります。
申請書と一緒に提出する添付書類の中には、「納税証明書」というものもあり、「納税証明書」も一緒に提出する必要があります。
税金滞納でも建設業許可は取得や更新ができる??について解説をしていきます。
まず結論から言うと、税金滞納状態でも建設業の許可は取得も更新もすることはできます。
一言で「納税証明書」といっても何の税の納税証明書なのか? また建設業の許可には大臣許可と知事許可というものがあり、大臣許可と知事許可でも提出する「納税証明書」は違いますし、許可を取りたい申請者が個人事業主なのか、法人なのかでも違いがあります。
建設業許可を申請する際には、「知事許可」の場合は、「事業税の納税証明書」を添付する必要があります。
「事業税の納税証明書は」、各都道府県にある県税事務所で発行してもらうことができ、委任状があれば第三者に代理取得をお願いすることもできます。
許可を申請する事業者が個人事業主であれば、「個人事業税の納税証明書」を、許可を申請する事業者が法人であれば「法人事業税の納税証明書」を取得し、提出する必要があります。
また取得する事業年度は、直前の事業年度の物になります。事業者が法人の方ですと、その会社の決算期で直前期が変わりますが、個人事業主の事業年度は毎年1月1日から12月31日までですので、前年分ということになると思います。
次に「大臣許可」の場合は、税務署から取得する納税証明書になります。
許可を取得する事業者が個人事業主であれば「申告所得税の納税証明書」を、許可を取得する事業者が法人であれば、「法人税」の納税証明書を税務署で取得する必要があります。
取得できる税務署は納税地を管轄する税務署窓口で発行申請をする必要があります。
事業税の納税証明書の場合は、同一都道府県内であればどこの県税事務所でも取得できますが、法人税や申告所得税の納税証明書は各管轄税務署でなければ発行はされません。
個人・法人事業税や、所得税、法人税の納税証明書の完納、未納に関しては、「建設業許可」の要件ではありませんので、先ほど記載したとおり、仮に未納状態であったとしても建設業許可の取得や更新はすることはできます。
建設業許可の要件の中に、「財産的基礎」という要件があります。
これは、一般建設業許可の場合、前年決算の貸借対照表の純資産額が500万円以上あることか、500万円以上の預金残高があることが求められますが、この要件と、「納税の完納」を勘違いされる方も多いです。
「財産的基礎」の要件を満たさないと、建設業の許可は許可されませんが、納税の滞納状態であっても建設業の許可は取れます。
それではなぜ完納・未納どちらでも良いのに「納税証明書」の添付が求められるかというと、これは、実態に則してその申請建設事業者の営業所が都道府県税事務所などの役所にちゃんと届出がされているかを確認するためだと思われます。特に会社の本店以外営業所を建設業許可上の主たる事務所にするような会社はちゃんと、主たる事務所を管轄する都道府県税事務所や税務署に届出をしないといけません。
また建設業許可申請事業者が開業して間もない状態で、まだ一度も決算期を迎えていない場合、各都道府県税事務所によっては決算未到来のため「納税証明書」の発行ができないという場合もあります。
その際には、「納税証明書」に代えて、都道府県事務所に提出した「開業届」の控えと、決算未到来のために納税証明書を添付できない事の理由書を提出することになります。
税金の滞納があっても建設業許可の取得はできますが、建設業において税金を滞納していることで問題になるケースもあります。
それは、税金滞納状態では公共工事の入札に参加できないということです。
公共工事というものは、国や都道府県、市区町村から受ける工事の事で、全て入札で工事を請け負う業者が決まります。入札に先立つ、公共工事をしたいという業者は入札参加資格申請をするのですが、それは「滞納状態」ではできないことになっています。公共工事というものの源は税金から賄われます。そのため、そもそも納税の義務を果たしていない業者には入札に参加する資格もないといことでしょう。
また建設業は非常にローカル色の強い許可になります。
同じ許可申請でも都道府県によりその都道府県独自のルール等もあり、申請書の書き方や、添付書類にも違いがあったりします。
都道府県によっては、「税金を完納状態にしてから申請を」と指導が入る可能性はあります。
やはりしっかり納税義務を果たしてから申請することをおすすめいたします。建設業許可の申請に関してお困りごとがありましたら専門の行政書士にご相談ください。