建設業許可の営業所調査ってなに? 営業所調査ってなにをするの?
この記事では建設業の営業所調査について解説をしていきます。
営業所調査には「書類調査」と「立ち入り調査」の2パターン
「書類調査」とは、その名前のとおり、営業所に関わる資料を提出して、その書類だけを確認する調査です。
「立ち入り調査」とは、実際に行政側の審査担当者が、営業所にきて、提出した申請書の通りの営業所なのかを、実際の目で確認する調査になります。営業所調査が「書類調査」か「立ち入り調査」どちらになるのか??
その答えとしては、「大臣許可」の場合は、「ほぼ書類調査」、都道府県知事の場合は「その都道府県による」という答えになると思います。
また、「営業所調査」は、「新規申請」のみならず、「更新申請」や「業種追加申請」の場合にも行われます。
ただ、多くの都道府県では「書類調査」が主流で、東京都や愛知県、大阪府などは全て「書類調査」で、「立ち合い調査」になることはほぼありません。
逆に福岡県と岡山県は、「立ち入り調査」が必ず行われます。
そもそも建設業でいうところの営業所とはどのような事務所の事をいうのでしょうか?
建設業の事務所とは下記のような事務所の事をいいます。
「建設工事の請負や見積もり、入札業務など建設工事に関する実務を行っている事務所」
なんかものすごく抽象的ですよね? 具体的な基準としては各都道府県が発行している建設業の手引きに記載していますが、おおむね下記の条件を揃えている事務所が「建設業の営業所」に該当します。
①建設工事の請負契約など実体的な業務を常時行っていること。
②机や椅子、電話やパソコンなどの事務機器・什器などをそなえ、各種の事務台帳等を備えていること。
③工事請負契約などの締結ができるスペースを有していて、居住部分や他の会社とは明確に仕切られた独立性を保っているものであること。
④事務所用としての使用権原を得ているものであること。
⑤看板や標識などで当該事務所が建設業を営んでいることが外部から判明できること。
⑥経営の責任者若しくは支店の代表者が常駐していること。
⑦専任技術者が常駐し、その職務に従事していること。
各都道府県によって若干上記表現と違う場合がありますが、概ねこのような条件を備えている事が「建設業の営業所」たる「事務所要件」になります。
上記の中での特に①は非常に微妙な表現ですが、分かりやすく説明をすると、建設業の注文の受領や、請書の発行、客先への価格見積もりの提示や技術者の配属などの行為をしているような事務所であれば建設業者の営業所とみてもらえるが、単なる、現場事務所や作業員の休憩所、連絡所や道具の物置場所の様な事務所は営業所とは言えないことになります。
仮に事務所であっても、経理課や総務や人事しか行っていない事務所も建設業の営業所には該当してきません。
ですから、仮に建物が立派なビルであったとしても、行っている業務が「建設工事の請負や見積もり、入札業務など建設工事に関する実務を行っている事務所」ではない場合、建設業の営業所には該当しないことになります。
「営業所調査」とは、つまりは「建設業の営業所」に該当しているかどうかの調査になります。
では具体的に「営業所調査」にはどのような書類が必要かを解説していきます。
(書類調査の場合)
・事務所の写真(建物の外観、事務所の内装、電話やFAXやパソコン、机や棚等がそろっている状態で撮影したもの)
・営業所の周辺地図
・建物の登記簿謄本(建物が役員等の自己所有の場合)
・建物の賃貸借契約書(事務所建物が賃貸物件の場合)
書類調査の場合は以上の書類を申請する際に添付します。
(立ち入り調査の場合)
①経営業務の管理責任者の過去の経営経験を確認する書類
・法人の登記簿謄本
・個人事業主の際の確定申告書
・工事請負の契約書や注文書
・社会保険関係書類
等
②専任技術者の状況を確認する書類
・実務経験を証明する書類(工事契約書、注文書など)
・国家資格免許証や技能試験合格証
・指定学科の卒業証明書
等
③経営業務の管理責任者と専任技術者の常勤性の確認書類
・健康保険証
・賃金台帳や出勤簿
・標準報酬額決定通知書
等
上記の①から③の他にも、「書類調査」の際と同様に、事務所の謄本や、賃貸契約等は必要になります。
色々あって準備が大変だとおもうかもしれませんが、基本的に上記に記載してきた書類等は「立ち入り調査」があろうがなかろうが建設業許可の申請には必要な資料になります。
「書類調査」は提出した申請書と添付資料を行政窓口で確認する作業で、「立ち入り調査」は提出した申請書と添付資料を、実際に現場に来て目視で確認する作業という違いだけで、「審査基準」が違うということではありません。
仮に「立ち入り調査」がある都道府県の申請でも、事前にしっかり要件を整えて申請することができれば「事務所調査」を恐れる必要はまったくないと思います。お困りごとがありましたら建設業許可の専門家である行政書士にご相談ください。