建設業許可を取得して建設業を営む中で、これからもっと会社を大きくしていこうと、新しい営業所を追加するタイミングが来ると思います。
ここでは、新しい営業所を追加する場合にはどのような手続きが必要になるのか?営業所ごとになにかしないことはあるのか?といったことについて説明をしていきます。
営業所を追加したら変更届出を
営業所を追加する際の対応は、新しい営業所を本店と同じ県内におくのか県外におくのかで変わってきます。
まず、本店と同じ県内に新しい営業所を設置する場合、例えば大阪に主たる営業所を有する会社が大阪の違う場所に従たる営業所を設置した場合です。
この場合には、新設から30日以内に「変更届出書」を提出することになります。
そして変更届出内では新しい営業所の追加を行うことに加えて届出ないといけないことがまだあります。
それは、
•政令第3条の使用人
•専任技術者
の届出です。
専任技術者というのは、建設業許可を取得された方であれば、「あぁ、英御書ごとに設置しないといけないあの専任技術者ね、新しい営業所ができたから設置するのね」とおわかり頂けるかと思います。
しかし、一方の政令第3条の使用人は、名前を言われてもピンとこないかもしれません。
この政令第3条の使用人というのは、主たる営業所以外に営業所を設置する場合に必ず配置しなければならない人のことです。
役割としては、請負契約を総合的に管理する、支店長のようなものです。
主たる営業所であれば、経営業務の管理責任者がその役割を担いますが、経営業務の管理責任者は主たる営業所に常駐しなければいけませんので、従たる営業所では代わりの役割として政令第3条の使用人を置くという訳です。
ちなみにこの政令第3条の使用人は「令3条使用人」と略されて呼ばれますのでこれもあわせて覚えておきましょう。
なお、この令3条使用人は、請負契約を行わない事務所のように、そもそも建設業表情の営業所に当たらない場合は、配置義務はありません。
このように県内で営業所を追加した場合は変更届出をおこなうとおぼえておきましょう。
次に、県外に営業所を追加したいという場合には、許可の区分が変わってしまいますので、変更届出ではなく、知事許可から大臣許可への許可替え手続きが必要になってきます。
この場合は、大臣許可を新規で取得するのと変わらないので、手続きや必要書類も新規とお歩同じで、かなりの負担になります。
新しい営業所でも同じ許可を取らないといけないのか?
新しい営業所を設置したとしても、必ずしも本店と同じ内容で工事の請負をするとは限りません。
それでも同じ会社であれば許可は全て統一しないといけないのでしょうか?
答えはNOです。
いくつかパターンが考えられますが、まずは本店のみで許可申請をするパターンを紹介します。
1、本店のみで許可申請
本店にケイカンとセンギを置き、本店のみで許可申請をした場合、従たる営業所では工事発注者との請負契約は出来ませんので、本店が契約当事者となって請負契約を締結します。
ただ、実際の工事を従たる事業所のほうで行う場合には、主任技術者、監理技術者といった配置技術者は必要になりますので、結局はセンギと同等の要件を満たす人材は必要になります。
2、従たる営業所のみで許可申請
本店で建設業を営んでいなかったり、実際には本店の住所は使っていない場合にありえます。
この場合は従たる営業所にケイカンとセンギを置き、従たる営業所のみで許可申請をします。
ここで注意点としては、実は、営業所が複数ある場合、ある一つの営業所でのみ許可を受けていた場合、他の営業所では500万円のラインに関係なく、請負契約を締結することができなくなります。
つまり、営業所Aで内装仕上工事の許可を受けて、営業所Bで電気工事の許可を受けている場合、営業所Aでは請負金額が500万未満であっても電気工事の請負契約は結べませんし、営業所Bも請負金額が500万未満の内装仕上工事は請け負えません。
これは、営業所として登録していない事務所であってもその対象になりますので注意が必要です。
さて、ここまで読んでいかがだったでしょうか?
営業所を追加する際には、それが主たる営業所と同じ県内であるかどうかによって対応がことなることが分かりました。
また、従たる営業所で許可を取得しないということもできますが、それぞれ違った許可を取得してしまうと許可を持っていない営業所では基準額未満の工事でも請け負えなくなるというリスクが有ることも理解しておく必要があります。
自社にとってどのように営業所追加を進めていくことがベストなのか、お困りの方はぜひ一度専門家の行政書士への相談をしてみて下さい。