建設業許可を取得していても、電気工事業を行えない場合があることをご存知でしょうか?
結論から申し上げますと、建設業許可のみでは危険な工事を規制できないのです。
こちらでは、建設業許可があっても電気工事業登録する必要があるのか詳しく知りたい方に向けて、建設業許可があっても電気工事業登録が必要な理由について詳しく解説していきたいと思います。
■建設業許可とは
「建設業」とは、建設業法に規定する建設工事(29種類)にある工事の完成を請け負う「営業」の事を言います。つまり、建設業許可を取得すれば「営業」ができるようになるということです。
29種類の業種の1つ「電気工事業」の許可を取るための必要な要件は5つです。
①電気工事業を営む業者での役員、または個人事業主の経験が5年以上あること
②電気工事業に関する資格、または左官工事の実務経験が10年以上あること
③誠実性があること
④財産的信用の基準を満たしていること
⑤欠格事由に該当していないこと
この5つの要件を満たしていれば、建設業(の中の電気工事業)許可を取得できます。
■電気工事業登録とは
電気事業登録の要件は2つです。
①「主任電気工事士」の在籍
②「必要な機械器具」を保有していること
この2つの要件を満たす必要があるのですが、まずは
①「主任電気工事士」の在籍について着目していきます。
■「主任電気工事士」の在籍
ここで言う「主任電気工事士」の要件といたしましては
①「第一種電気工事士」の免状の交付を受けている
②「第二種電気工事士」の免状の交付を受けた後3年以上の実務経験がある
どちらかを満たせば「主任電気工事士」と認められます。
※第一種電気工事士…「一般用電気工作物」に加え、「自家用電気工作物」の工事も施工できる
※第二種電気工事士…「一般用電気工作物」のみ施工ができる
電気事業登録は電気工事業を営む方に、「電気工事法」を厳守して頂くことを目的としています。素人による危険な工事を防ぐことが主な目的なのですが、規制をされているものの中で注目したいのがこの「一般用電気工作物」と「自家用電気工作物」です。
■「一般用電気工作物」と「自家用電気工作物」
一般用電気工作物…600V以下の電圧で受電、構外に電線路を持たないもの。
(例)一般家庭、商店、コンビニ、小規模事務所等の屋内配線 一般家庭用太陽光発電
自家用電気工作物…600Vより大きい電力で受電、構外に電線路を持つもの。
(例)発電所、変電所、送電線路、配電線路、工場・ビル等
「一般用電気工作物」と「自家用電気工作物」を扱うためには国家資格の取得が義務づけられており、それが電気事業登録の要件の①「主任電気工事士」の要件に含まれている「第一種電気工事士」「第二種電気工事士」となります。
一般用電気工作物や自家用電気工作物の施工を行うにはこの「第一種電気工事士」もしくは「第二種電気工事士」が必要となるのですが、建設業許可の場合は資格がなくとも取得が可能です。
建設業許可を取得していれば電気工事業の「営業」はできるので、元請で他の業者に下請けとして出すだけなら、または、国家資格の保有がなくとも施工ができる「軽微な工事」をおこなうのみならば問題はございません。
しかし、自社で「一般用電気工作物」および「自家用電気工作物」を施工する際には、
「電気工事法」に基づいた保安の確保を証明しないといけませんので、「主任電気工事士」(「第一種電気工事士」もしくは「第二種電気工事士」を取得している方)の在籍を要件としている電気工事業登録が必要となってくるのです。
■「必要な機械器具」を保有していること
登録に際し、営業所には適切な器具を保有している必要があります。
①一般電気工作物の工事のみを行う営業所
絶縁抵抗計・接地抵抗計・電圧計(回路計)
②自家用電気工作物の工事をも行う場合
絶縁抵抗計・接地抵抗計・電圧計(回路計)・電流計・低圧検電器 ・高圧検電器・継電器試験器・耐電圧試験器
こちらも同様に建設業許可の際に要件として求められていない為、自社で施工する際には保有していると証明をしなくてはなりません。
上記の「必要な機械器具」を保有しており、かつ主任電気工事士が在籍していることを条件に電気工事業登録を取得ができます。そこで初めて自社での施工ができるようになるのです。
■まとめ
これを読んで建設業許可があっても電気工事業登録が必要な理由が、はっきりと理解することができたのではないでしょうか。電気事業登録をする際の手続きには様々な要件や種類がございます。
業務をやりながら他の許認可に関して調べる時間を作るのは事業主様にとっては難しい話だと思います。そのような際は、是非、専門家である行政書士へお気軽にご相談ください。