建設業の許可を申請する際に、要件の1つである“専任の技術者を会社に置く”ですが、この要件を満たすためには、国家資格を持っている者もしくは、指定された学科を卒業して現場での経験がある者などが対象となります。
しかしながら国家資格所有者の場合、必ず取りたい業種に関連する資格でなければなりません。
その資格の1つである“土木施工管理技士”は、果たして建設業の許可を取ることができるのでしょうか?
今回はこちらのテーマで詳しく解説いたします。
■要件について
まず初めに建設業の許可を申請する際に、必ず下記の要件をクリアしておかなければ許可はおりません。
1.経営の管理を行う責任者を置くこと
2.許可を受けたい業種の技術者を会社に置くこと
3.契約に関して誠実性があること
4.財産的信用の基準を満たしている
5.欠格要件
これらの要件は、内容も複雑で厳しい条件などが含まれます。
この中で、今回のテーマに関わりのある➁の要件についてご説明します。
【受けたい許可業種の専任技術者を会社に置く】
ここでの技術者とは、専門的な知識を持っている職人が必ず会社に必要ですよという事です。
この専門的な知識を持っている者と判断するために、下記のような条件がございます。
(技術者になるための条件)
1.受けたい業種に関連する“国家資格”を持っている
2.資格は持っていないが、指定された学科を卒業後、その業種での経験がある者
(経験が3年または5年必要です)
3.資格も卒業経験もないが、その業種で10年以上働いた経験がある者
このように技術者として認めてもらうには、上記の➀〜➂に該当する者しか認められません。
そこで今回のテーマである“土木施工管理技士”は国家資格なので、この場合➀の条件に該当します。
建設業では工事の内容をかなり細かく分けられており、施工内容等によっても必要な資格が異なります。
そこで“土木施工管理技士”は、どのような業種に対応しているのか次項で詳しくご説明します。
■土木施工管理技士
まず初めに、こちらの資格は下記のように1級と2級に分かれています。
2級土木施工管理技士に関しては3種類あります。
・1級土木施工管理技士
・2級土木施工管理技士(土木)(薬液注入)(鋼構造物塗装)
※ここで大切なのは各級や種類によって、該当する業種が違ってくるということです。
■該当する業種について
土木施工管理技士の資格を持っている場合、どの業種に当てはまるのか1級と2級に分けて見ていきましょう。
【1級土木施工管理技士】
この資格を持っていると、次の業種で許可を取ることができます。
・土木一式工事
・とび土工・コンクリート工事
・石工事、舗装工事、しゅんせつ工事
・鋼構造物工事、塗装工事
・水道施設工事、解体工事
このように9つの業種に該当しています。
【2級土木施工管理技士】
2級の資格では、それぞれ種類ごとに該当する業種を見ていきましょう。
➀ 2級土木施工管理技士(土木)の場合
・土木一式工事
・とび土工・コンクリート工事
・石工事、鋼構造物工事
・舗装工事、しゅんせつ工事
・水道施設工事、解体工事
➁2級土木施工管理技士(薬液注入)の場合
・とび土工・コンクリート工事
➂2級土木施工管理技士(鋼構造物塗装)の場合
・塗装工事
このように資格の種類で、行える工事の内容は異なります。
自社がどのような専門工事を行っているのか、どこに該当するかを把握しておくことが大切です。
ここまで読んで、該当する資格所有者がいるので許可は取れるかな?と感じてしまいますが、この他にも最初にご説明しました満たすべき要件があるので、1つずつクリアしているかを確認してから、許可の手続きを進めていきましょう。
また該当する業種が多い、1級土木施工管理技士または2級の土木の資格を持っていると、1人で複数の業種の専任技術者として兼任することも可能です。(同一事務所に限ります)
■注意する点
専任の技術者を置く場合に、下記の項目に注意する必要があります。
・必ず常勤であること
・社会保険に加入しておくこと(雇用保険・健康保険・厚生年金全て)
・他の会社で、技術者として登録していないこと(同一企業でないと兼任は認められません)
・資格を持っている証拠として“合格証の原本”が手元にあるか
これらは手続きを行う中で、厳しくチェックされる項目なので注意しておきましょう。
■まとめ
今回は、土木施工管理技士があれば許可を取れる?というテーマで、解説いたしました。
1級や2級の土木の資格などは、複数の業種に該当するという事もあり、土木業を幅広く行う事業者様にとっては、持っていると助かる資格とも言えるでしょう。
しかしながら、他にもクリアすべき要件や作成する書類は膨大です。
日々お忙しい事業者様にとっては、容易ではない手続きでもあります。
そのような際は、専門家である行政書士が代行して手続きを行うことができます。
何かご不明なことや不安なこと等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。