以前、自身が所有する土地を農地転用がしたことがあり、その経験を知っている友人から彼の土地の農地転用を依頼され他ので、それを引き受けて報酬を受け取った。
また、土地家屋調査士として業務を営んでいて、農地転用先の測量等を依頼された際、ついでに農地転用手続きもお願いされ、引き受けて報酬を受け取ってしまった。
このようなケースが、時々見受けられることがあります。
しかしながら、これらは行政書士法違反となってしまいます。知らなかったでは済まされないことになってしまうのです。
こちらでは、このようなことが起こらないように、行政書士以外の者が、農地転用手続きをすると行政書士法違反にどうしてなるのかについて詳しく解説していきます。
■行政書士法とは?
冒頭で、行政書士法違反になると記載しましたが、何故行政書士法違反になるのでしょうか。また、その行政書士法とはどのようなものなのかを説明いたします。
行政書士法には下記のように規定されております。
行政書士法第1条の2
1. 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他、人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
2. 行政書士は、前項の書類の作成であっても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。
これは簡単に言うと、他の法律で制限されているもの以外は、書類を作成し、それを官公署に提出して報酬を得ることができるのは行政書士のみであると言うことになります。
つまり、行政書士以外の者が、官公署に提出するような書類を作成し、お金を頂くということは禁止されているということです。
■農地転用手続きは行政書士業務?
それでは、農地転用手続きは、上記で述べたような「書類を作成し、それを官公署に提出して報酬を得る行為」になるのでしょうか。
農地転用手続きには農地転用届出書を作成し、それを届出地の市区町村の農業委員会に提出します。つまり、この行為は「農地転用届出書(書類)を作成し、それを農業委員会(官公署)に提出し報酬を得る行為」に当てはまります。
つまり、農地転用手続きは行政書士の独占業務であるということが言えます。
■行政書士でない者が農地転用手続きをして報酬をもらったら?
それでは、行政書士以外の者が農地転用手続きをして報酬を得たらどうなってしまうのでしょうか。
・実名を公表されてしまうことがある
・1年以下の懲役、または100万円以下の罰金に処せられる
このようなことが起こってしまいます。
行政書士法違反者を知った人は誰でも、警察や検察庁に告発をすることができます。
明らかに、リスクが大きい行為だと言うことがお分かり頂けたかと思います。
農地転用を依頼する場合、その人が行政書士かどうかはしっかり確認しましょう。
また、行政書士以外の方は、農地転用に造詣が深いからと言って、他人の農地転用手続きをして報酬を得ようなどと思ってはいけません。
■もし行政書士以外の者が申請等をする場合はどうすればいいの?
申請書の作成は自身で出来るが、やむを得ない事情等により農地転用の申請に出向くことや、各種証明書の請求ができない場合はあるかと思います。
この場合はどうすればよいのでしょうか。行政書士にお願いするしかないのでしょうか。
実は、このような場合は、委任状を用いれば、申請者本人以外が提出や各種証明書の請求などをすることができます。
行政書士である場合は、申請書等を提出する際に行政書士証票を提示する必要があります。
委任状は、各市区町村のホームページでダウンロードをすることができますので、それをご活用下さい。
■まとめ
農地転用を何気なく、行政書士ではない知人に依頼し報酬を渡してしまうと、その知人は行政書士法違反の対象になり、刑事罰に科される可能性があります。また、その知人が農地転用手続きを過失により失敗してしまった場合は、その農地転用手続きは業務保険の対象外になってしまいます。つまり、土地の所有者であるあなたも、知人も大きな損失を被る恐れがあります。
このようなことは、知らなかったでは済まされないので、農地転用に関して不安や心配事がある際は、専門家である行政書士までお気軽にご相談ください。