事業者の方が、お客さんを増やすために広告にお金をかけたり、生産性を上げるために新しいシステムを導入したいと考えたとき、資金繰りの手段として使えるのが、「小規模事業者持続化補助金」です。このとき、新商品の広告・宣伝のため、展示会に出展したいと考えたとき、この費用は補助金の対象となるのでしょうか?
ここでは、展示会は小規模事業者持続化補助金の対象になる?というテーマについて説明していきます。
展示会の費用は小規模事業者持続化補助金の対象になる?
それでは、展示会にかかった費用は対象になるのでしょうか?
小規模事業者持続化補助金は、企業の経費すべてに対して交付されるわけではなく、「販路開拓・生産性向上の支援」という目的から、対象となる経費は「公募要領」に記載があり、例えば以下のようなものが挙げられます。
①機械装置・システム構築費
機械や装置の購入、ソフトウェア、システムの開発や構築などの経費。
②技術導入費
事業の遂行のために必要な知的財産権の導入にかかる経費。
③専門家経費
事業の遂行のために依頼した専門家に支払う経費。
④運搬費
運搬、宅配、郵送にかかる経費。
⑤クラウドサービス利用費
クラウドサービスの利用にかかる経費。
⑥原材料費
試作品の開発に必要な原材料の購入にかかる経費。
⑦外注費
新製品・サービスの開発に必要な加工や設計・検査などを外注する場合の経費。
⑧知的財産権等関連経費
特許権の取得にかかる弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など。
⑨広告宣伝・販売促進費
開発する製品・サービスの広告作成や媒体掲載、展示会出展、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用などの経費。
⑩染防止対策費
事業を実施するために必要な感染拡大予防のための取組に要する経費。
このように、展示会の出展にかかる費用は、広告宣伝・販売促進費として対象とされていますので、補助金の申請が可能です。
ただ、かかった費用をあとから補助金としてもらえるという仕組みですので、「展示会に出展したいけど資金が不安だから補助金を申請して先にお金をもらいたい」という目的では利用できませんので注意してください。
小規模事業者持続化補助金とは?
前提として、小規模事業者持続化補助金がどういうものかについて見ておきましょう。
「小規模事業者持続化補助金」とは、小規模事業者の販路開拓や生産性向上のための取組みを支援する目的で交付される補助金です。
補助金の限度額は、事業者の取り組みにかかった費用の3分の2、最大で50万円が基本です(特別枠もあります)。
例えば、生産性を上げるために新システムを導入し100万円かかった場合、50万円が支給されます。販路開拓のための広告・宣伝に60万円かかったときは、40万円が支給されます。
補助金受領までの流れ
申請をしてから補助金を受領できるようになるまでは、以下のような流れで手続きを行います。
補助金受領までの流れ
- 経営計画書・補助事業計画書の作成
- 地域の商工会議所に要件を満たしているかどうかチェックしてもらう
- 締切日までに日本商工会議所へ申請書類一式を送付
- 日本商工会議所による審査
- 交付の決定、販路開拓の取組を実施
- 所定の期限までに実績報告書を提出
- 日本商工会議所による報告書の確認
- 7に問題がなければ、補助金の受領
審査のポイントは?
提出する書類のうち、難易度が高いのは事業計画書です。この書類は審査の大きなポイントとなっており、事業計画書の内容が具体的ではなく、審査に落ちてしまいます。
そこで、以下ではこれを作成する上での注意点についてみていきましょう。
1.公募内容を確認する!
公募内容の趣旨を理解せずに申請をすると、不採択となってしまいます。公募内容は「公募要領」に書いてありますので、これをしっかり読んで理解しておくことが大切です。
ただし、公募要領の記載例は、平成25年からそのままになっているところがあります。現在の審査レベルは平成25年よりも高くなっていますので、記載例に書いてある程度で採択されると思っていると審査に落ちてしまうこともありますので注意してください。
2.見やすく・わかりやすく作成する!
採択されている計画書は、見やすく・わかりやすく作成されています。
見やすくするために、画像や表、グラフ等を挿入しながら説明したり、文章で説明をする箇所には、大事な箇所にアンダーラインを引いたり、色を変えたりしながら作成するようにしましょう。
3.内容の実効性・具体性を持つ!
内容の実行性・具体性にも注意しましょう。
抽象的な説明ではなく、できるだけ細分化して、詳細で具体的な説明をするようにしましょう。
計画書を作成したあとは、何度も見直しをして、内容をきちんと確認するようにしましょう。
いかがでしたでしょうか。
補助金についてお悩みの方は、補助金専門の行政書士に相談してみるとよいでしょう。代行を依頼するための費用はかかりますが、自分でやる場合よりも許可可能性が高くなり、かかる時間、手間等も短縮が可能です。これらの要素を比較しながら、利用を検討してみてください。