宿泊業を営む事業者の方で、小規模事業者持続化補助金に興味をお持ちの方はたくさんいらっしゃると思います。
今回は、小規模事業者持続化補助金を旅館はホテルで活用する方法を紹介したいと思います。
常時使用する従業員の数が20人以下の旅館やホテルが対象!
小規模事業者持続化補助金は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく小規模事業者等の地道な販路開拓等の取り組みやそれと合わせて行う業務効率化の取り組みを支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。
この補助金は、その名の通り、小規模事業者に対して交付されるものです。
小規模事業者の定義は次の通りです。
業種 |
人数 |
商業・サービス業(宿泊・娯楽除く) |
常時使用する従業員の数 5人以下 |
サービス業の内宿泊業・娯楽業 |
常時使用する従業員の数 20人以下 |
製造業その他 |
常時使用する従業員の数 20人以下 |
この中で、旅館は「サービス業のうち宿泊業・娯楽業」に分類されます。
つまり、旅館の場合は常時使用する従業員の数が20人以下であれば、この補助金の申請をすることができます。
この人数には、事業主本人は含みません。パートやアルバイトの従業員は働いている時間等によって人数に含まれるかどうかが分かれます。
「常時使用する従業員」に含まれるかどうかが分からない場合は、商工会議所や専門家に来てみると良いでしょう。
旅館やホテルで使えない場合はある?
1、他の補助金と一緒には使えない!
同じ内容の事業について、国が助成する他の制度と重複することはできません。他の補助金等を受給している又は受給する予定の場合は、補助金を受けることができるか確認しましょう。
2、ラブホテルは使えない!
小規模事業者持続化補助金は、「事業内容が射幸心をそそる恐れがあること、または公の秩序若しくは善良の風俗を害するおそれがあるもの、公的な支援を行うことが適当でないとみとめられるもの」については補助金を受けることができないとされています。
例示されているのは、マージャン店やパチンコ店、ゲームセンター店等、性風俗関連特殊営業等です。
ラブホテルは、店舗型性風俗特殊営業の4号営業に当てはまりますから、この補助金を使うことはできません。
流れ
1、経営計画書・補助事業計画書の作成
小規模事業者持続化補助金は、地道な販路開拓等の取り組みやそれと合わせて行う業務効率化の取り組みを支援するためのものです。ですから、そうした取り組みを具体的にどのように行っていくのか、その取り組みを行うことで今後の経営がどうなっていくのかを具体的に計画書として作成します。
2、地域の商工会議所での補助事業者要件を満たしているか等の確認を受けるとともに事業支援計画書等の作成・交付を依頼
小規模事業者持続化補助金の窓口は地域の商工会議所です。また、この補助金を受けるためには、商工会議所に支援計画書等を作成してもらわなければいけません。(会員であるか否かを問わず応募可能です。)
3、送付締め切りまでに日本商工会議所(補助金事務局)へ書類一式を送付
4、商工会議所による審査
補助金は助成金のように、要件に当てはまっていれば必ず交付されるというものではありません。予算との兼ね合いもありますので、補助金を交付すべきだと判断された事業者のみ、審査を通過できます。
5、交付決定後販路開拓の取り組み実施
補助金は計画書等を提出して、交付が決定されたとしても、すぐにお金をもらえるわけではありません。
交付決定後、実際に計画に沿った取り組みをして、それにかかった実際の経費を後から補助してもらうことになります。
6、報告書提出
計画にそった取り組みを行ったのか、報告書を提出しなければなりません。報告書を提出しなければ、たとえ交付決定がされていても補助金を受け取ることはできません。
7、補助金の請求および受領
報告書の確認が済んだら、補助金の請求をして受領します。補助事業が終わって、補助金の受領が済んでも5年間は書類の保存義務がありますので注意しましょう。
何に使える?
小規模事業者持続化補助金は、地道な販路開拓等の取り組みに係る経費を補助するものです。
このような取り組みのうち、①機械装置等費、②広告費、③展示会等出展費、④旅費、⑤開発費、⑥資料購入費、⑦雑役務費、⑧借料、⑨専門家謝金、⑩専門家旅費、⑪設備処分費、⑫委託費、⑬外注費、に該当する費用が補助の対象になります。
旅館や民宿でであれば、外国語版Webサイトや営業ツールの作成や、新たな顧客獲得のための内装や設備の改装等にかかる費用に対して補助金を受け取ることができる可能性があります。
いくらもらえる?
補助対象経費のうち、2/3を補助してもらえ、上限は50万円です。
※上限金額は100万円に引き上げられる場合もあります。
いかがでしたでしょうか
小規模事業者持続化補助金は、50万円を受け取ることができるだけでなく、自身の事業を見直し、今後の成長につなげることができます。
ただ、要件の理解や、申請や受給に必要な書類の作成が大変なのも事実です。ご自身がこれからしたいと思っている事業に対して補助金が受けられるのか疑問に思った方や、申請を自分ですることがむずかしいと感じられた方は行政書士の専門家に相談してみると良いでしょう。