「ものづくり補助金にはどんな事業が採択されているの?」「採択率はどのくらい?」といった疑問があるかと思います。ここでは、過去の採択事例・採択率について紹介をしていきます。
ちなみに、「ものづくり補助金」という名前から「製造業だけが対象」と思われがちですが、実際に採択された業種は様々です。
たしかに、次の表の通り、補助事業者の過半数は製造業ではありますが、医療・福祉業界や情報通信業、サービス業、その他にも農業などでも採択事例はあります。こちらでは、製造業以外の業種での採択事例をご紹介します。
飲食業でのものづくり補助金活用イメージ
地方のラーメン店におけるものづくり補助金活用事例です。地元民などから愛されていたラーメン屋さんでしたが、「食べたくても地元に帰って食べれない」といったようなニーズがあったため、通販事業を開始していました。
しかし、「スープの長期保存ができない」「大量生産ができない」といった課題を抱えていました。それでも自社で工夫し、「常温で冷まし、瓶のような容器に詰め替えて発送する」という方法をとっていたものの、品質面での心配があるといった課題を持ち続けていました。
そこで、ものづくり補助金を使って「卓上型真空包装機」と「液体凍結機」を導入しました。
「卓上真空包装機」を使うことで、高温の液体もすぐに真空パックにできるため、品質を落とさずパック詰めすることができるようになりました。また、「液体凍結機」でスピード凍結することで、旨味成分を逃さず冷凍前と同品質で保存することができるようになりました。
こういった設備投資により、通販における生産性が大幅に向上、品質を落とさず長期保存が可能となりました。その結果、「長期保存が可能でポータブル」という強みを獲得できたため、ふるさと納税や地域のイベントでも販売が可能となりました。
情報通信業でのものづくり補助金活用イメージ
IT企業での補助金活用例です。この会社はアプリ開発に新規事業として取り組んでいました。具体的には、「自社AR(拡張現実)技術を活用し、対象物をスマホで撮るだけで、観光情報が表示される」といった観光情報アプリです。
開発当初は、「インターネット接続で使えるアプリ」を想定していました。しかし、通信網がないエリア(発展途上国・海上など)では圏外で使えないといった課題がありました。そこで、オフラインでも使えることを目指し、独自AR技術の特許を取得しました。
もっとも、開発コストが多大となる事から、補助金を活用することとしました。その結果、「自社のAR技術を使った訪日客向けの避難誘導システム」を作ることができました。このシステムは、災害の際、近くの避難所・避難場所がわかるアプリです。そして、避難所までの距離、避難所の標高も表示され、案内自体も矢印で直感的にわかる仕様となっているため、訪日客のような土地勘がない外国人でも利用できる物でした。しかも、インターネット接続はいらず、スマホのGPS・コンパス機能のみで動く仕様となっていました(通信圏外でも安定利用が可能)。
その上、観光情報アプリとして全国の名所など約2万5000件のデータを収録しており、20カ国語にも対応していました。
このように、革新性がある事例であれば、製造業以外のシステムへの設備投資でも、ものづくり補助金が採択される可能性はあります。
ただし、製造業以外で革新性をもった取り組みをしていくには、難易度自体は上がります。
もしも、製造業ではないけれども、ものづくり補助金を活用して設備投資をしたいという思いがあるのでしたら、一度補助金申請の専門家に相談をしてみて、採択の可能性があるかどうかを確認してみるのも一案と言えます。