ものづくり補助金

ものづくり補助金申請書書き方のコツ

ものづくり補助金の審査員は、大量の申請を短時間でさばいています。だからこそ、「中学生でもわかる」といった方向で、ストレスなく読める工夫が大事です。

また、あくまでもビジネスの話になりますので、「本当に税金いれた投資を回収できるの?」という根拠を数字で語ることが重要です。

文字だけでなく、図表やグラフなどを盛り込んで作成する

ものづくり補助金は申請をした後、当然審査員の審査を受けることになります。申請数は毎回かなりの件数が申請されてきますので、審査員が申請1件を審査する時間というものは限られています。

ですので、読み手側(審査員)の立場をふまえると、字ばかり並んだ文章だと上手く理解してもらえない可能性が高いです。

そのため、事業計画書には、文字だけでなく、図表・イラスト・写真・グラフ等を活用し、わかりやすく、読みやすくなる工夫をする必要があります。。

例えば、製造業であれば、製造現場の写真や、現行品と補助金活用後の製品の違いが分かる比較イメージ図等があると、だいぶ印象が変わり読みやすくなります。

審査員はいろんなジャンルの人がいる

審査員は、技術面(2人・技術士等)・事業化面(2人・中小企業診断士等)・政策面(中小企業庁の職員)といった構成だと言われています。

このように様々な審査員がいる以上、審査員も必ずしも、申請者の業界に詳しいわけではありません。

ですので、業界用語を使っても通じませんし、難しい言葉も使うべきではありません。「素人が読んでもわかる」といったレベル感で、誰が読んでもわかる事業計画書を作りあげる必要があります。

2列構成で見やすくするのも効果的

筆者がよく行う書き方は、「2列構成で縦に楽に読める」というやり方です。

具体的には、次の通りです。①ワードで「挿入」タブ、「表」(縦1・横2列)ボックスを作る、②表の左上に十字をクリック(表全体を選択)、③選択状態で右クリック(表のプロパティ)、④「表」タブの下段に「線種とページ罫線と網掛けの設定」を選ぶ、⑤左列の「罫線なし」を選ぶ(表の枠が点線になり、印刷しても見えなくなる)。この状態で、左側に本文、右側に写真をいれて構成すると、縦に楽に読めるレイアウトとなります。

数字で実現可能性を示す

ものづくり補助金の事業計画書は3から5年の事業計画で、「付加価値額が年3%以上向上、給与支払総額年1.5%以上向上、事業者内最低賃金が地域最低賃金の+30円以上」というような具体的数字で目標値が設定され、この数字が申請条件にもなっています。

審査ではこの数字的目標が実現可能であることを説明しなくていけないので、「補助金を活用し、設備を導入して生産性を向上させ、売上を上げる」といった抽象的な記載ではいけません。あくまでも数字で語ることが重要です。なので、「売上5%向上、不良率10%低減、付加価値により客単価500円向上」といった投資回収の実現性を徹底的に数字の根拠をもって示しましょう。

具体的な数字の記載は、審査員に実現しそうと思わせることができるテクニックとも言えます。

ニーズ(失注してる状況)を示す

ものづくり補助金は、新商品の開発がテーマとなるケースが多いです。その際、審査員が感じることは「本当にニーズあるの?売れるの?」といった疑問です。ですので、この疑問に根拠をもって答える必要があります。

そこで、説得力が増すのが「既にオーダーをいただいているが、サービスが提供できず失注してしまっている」という見せ方です。なぜなら、「失注している」という事は、「ニーズがある」ということなので、投資の回収可能性が高まる根拠となるからです。

なお、もし具体的な失注はないとしても、「アンケートをとる」などして、新商品のニーズの証拠をなるべく整えることが補助金合格のためには重要です。

ストーリーで語る

採択される申請書を作るために、ストーリーを構成することが大切です。なぜなら、ストーリーがない中、なんら関連性がない情報を羅列されても、審査員は理解できないからです。
とはいえ、所定の欄に、審査項目を満たしながら、読み手が理解できるストーリーを構成するのはなかなか難しいことではあります。

果たして、ものづくり補助金において求められるレベルのストーリー構成とはどのようなものなのか?見ていくことにしましょう。

ものづくり補助金で求められるストーリー

ものづくり補助金の申請書のストーリーにおいては、①経営者が中長期的に目指す自社ビジョンと一貫していること、②自社の強みを活用できていること、③顧客ニーズがあること、という3点をおさえておくことが重要です。その上で、「この3つを満たす革新的チャレンジである」ということを示し、「この開発のために設備投資が絶対必要だ」という流れで構成しましょう。

なお、こういったストーリーを書く前提として、自社の技術や製品をしっかり分析し、強みや弱点、競合を把握しておくことが大事です。

この記事の監修

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

行政書士/財務コンサルタント

吉野 智成(よしの ともなり)

プロフィール

大学卒業後、税理士事務所で中小企業の会計を支援。
2019年 行政書士登録、個人事務所を開設
2021年 補助金・融資部門を法人化。「株式会社Gunshi」を設立
専門分野:事業者向け補助金、融資申請支援

書籍

中小会社で活用できる「補助金」のことがわかる本』(セルバ出版)

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