個人事業主の方で、ものづくり補助金に興味があるけれど個人事業主でも申し込むことができるの?という疑問を持っている方もいらっしゃるかと思います。
結論から言うと、個人事業主でも申し込むことができます!
今回は、個人事業主がものづくり補助金に申し込む場合の注意点等をご説明します。
ものづくり補助金とは?
ものづくり補助金とは、正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といい、新しいものづくりや生産プロセスの改善等に取り組もうとする中小企業を支援するために交付される補助金のことです。
ものづくり補助金には、「一般型」「グローバル型」「ビジネスモデル構築型」の3種類あります。
ものづくり補助金で補助の対象となる経費は、補助事業のために使用される機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用料、原材料費、外注費等です。(※詳細は公募要領で確認してください。)
補助事業には下記の3類型があります。
①A類型:サプライチェーンの毀損への対応
顧客への製品供給を継続するために必要な設備投資や製品開発を行うこと。
②B類型:比対面型ビジネスモデルへの転換
非対面・遠隔でサービスを提供するビズネスモデルへ転換するための設備・システム投資を行うこと。
③C類型:テレワーク環境の整備
従業員がテレワークを実践できるような環境を整備すること。
補助対象者は? 個人事業主も対象!
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者を支援するための制度ですので、大企業等は対象になりません。
詳しく見ていくと、ものづくり補助金の対象者は中小企業者(組合関連以外)、中小企業者(組合関連)、特定非営利活動法人の3つに区別され、規定されています。
個人事業主はこのうち、中小企業者(組合関連以外)に含まれます。
中小企業者(組合関連以外)でものづくり補助金の対象になるのは、「資本金又は従業員数(常勤)が既定の数値以下となる会社や個人であることと定められています。
ここからもわかるように、会社でない個人も対象者となります。
個人事業主は全体の6%程度
個人事業主もものづくり補助金の対象者となり、申し込みは可能ですが、採択者のうち個人事業主は6%前後にとどまっています。
日本の企業数における個人事業主の割合は半数以上を占めますので、6%という数値は決して高いものではありません。むしろ低すぎるといっても良いでしょう。
なぜ個人事業主は少ないのか
個人事業主でものづくり補助金をもらっている人が少ない理由は、ものづくり補助金の審査項目にあります。
ものづくり補助金には、次のような審査項目があります。
(3)事業化面
①補助事業実施のための社内外の体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか(グローバル展開型では、海外展開に必要な実施体制や計画が明記されているか)。
②事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケットおよび市場規模が明確か。クラウドファンディング等を活用し、市場ニーズの有無を検証できているか(グローバル展開型では、事前の十分な市場調査分析を行っているか)。
このような審査項目があることから、補助金事業実施のための体制や財務状況等において、一般的に不利といえる個人事業主等の小規模事業者はものづくり補助金の採択が難しくなる傾向にあるでしょう。
一方で、個人事業主には加点も!
これまで説明してきた通り、個人事業主にとって、ものづくり補助金の審査項目は決して有利なものとは言えません。
ただ、一方でものづくり補助金には加点項目もあり、小規模事業者や創業間もない事業者には加点がされます。
十分な加点とはいえないかもしれませんが、プラスになることは間違えありません。
大切なのは本当にやりたい事業を計画すること
ものづくり補助金だけでなく、補助金を申し込むうえで絶対におさえておいてほしいポイントが、この「本当にやりたい事業を計画する」ということです。
補助金は返済する必要がないお金を国からもらえるというイメージばかりが先行して、とにかく採択されるための計画を!と思ってしまう人が多いです。
しかし、実際にはその事業にかかるお金は先に自身で用意をしなければなりませんし、またその費用を後で全額負担してもらえるというわけでもありません。
セールという言葉に乗せられて無駄なものをたくさん買ってしまい、後で後悔するのと同じことです。むしろ金額が大きい分、ダメージはもっと大きくなります。
今後本当に必要な事業をするうえで、ものづくり補助金が利用できるようであれば、利用する、というのが正しい使い方です。
個人事業主の方で、ものづくり補助金やその他補助金に興味があって、自分の今の状況で採択まで持っていけるのだろうか?と不安がある方は、ぜひ一度専門家に相談してみると良いでしょう。