ものづくり補助金

ものづくり補助金はアプリ開発も対象になる?

 

自社アプリの開発を検討されているという方は沢山いらっしゃるかと思います。このアプリ開発ですが、ものづくり補助金の対象になるのでしょうか?

 

ここでは、そもそもものづくり補助金がどういったものなのか?という点から、過去のアプリ開発でものづくり補助金採択を受けた事業から、どのような事業で補助金を使えるのかといったことも見ていきます。

 

では最初に、ものづくり補助金制度について簡単におさらいをしておきます。

 

ものづくり補助金の対象となる経費は決まっている

まず「ものづくり補助金」とは、

・新しいサービスや試作品の開発、

・ものづくりの生産プロセスの改善

を行うための設備投資費用等の一部を補助してくれる補助金のことです。

 

名前からうけるイメージとしては「ものづくり」とあるので、製造業向けかな?と勘違いをされるかもしれませんが、新しいサービスや生産性向上に取り組む目的なら製造業以外の業界、例えば建設業や卸売業、サービス業や、小売業の事業者の方も申請することができます。

 

次に、ものづくり補助金の対象となる費用が決まっていますのでこちらも見ておきましょう。

1)機械装置費
機械装置や専用ソフトウェア等の制作、購入、借用

2)技術導入費
事業遂行の為に必要な知的財産権等の導入

3)専門家経費
事業遂行のために招聘される専門家に支払われる謝礼や旅費

4)運搬費
運搬料、郵送等

5)クラウド利用費
クラウドコンピューティング利用

なるほど、アプリ開発はこの中の機械装置費、ソフトウェア等の制作というところに入ってきそうですね。

 

では次に、ものづくり補助金の公式サイトから実際の採択事例を取り上げてみてみましょう。

 

アプリ開発での事例は少数派

実は、便利なことにものづくり補助金の公式サイトでは過去の採択事例を検索する事ができます。

 

そこで「アプリ開発」というキーワードで検索をしてみるといくつかの事例が出てきましたのでいくつか紹介します。

 

ものづくり補助事業関連サイト「もの補助成果事例検索」

http://www.monodukuri-hojo.jp/search.aspx

 

事例①「緊急避難情報を付加したモバイル多言語音声対応観光ガイドサービスの開発・提供」 

電気モーターの生産や制御盤製作、情報処理事業を手掛ける事業者の補助金活用例です。この会社は5年ほど前からアプリ開発を始め新規事業として取り組んでいます。

内容としては、自社AR(拡張現実)技術を活用したもので、対象物にスマートフォンを向けて写真を撮るだけで、観光情報がスマホの画面上に表示されるという観光情報アプリです。

開発の経緯として、当初は、アプリ開発はインターネット接続を想定していました。しかし、海外に行く際には国際通信ができるスマホであってもインフラ未整備地域や海上などの通信圏外では情報収集できないという課題を発見したことから、オフラインでの使用を目指し、外部専門家ともに連携、独自のAR技術を確立し特許も取得しました。

しかし、開発コストや時間がかかるという課題もあったため、ここでのづくり補助金を活用、補助金を活用できたことで、訪日客向けの避難誘導システム機能の導入も可能になりました。これは、全国の自治体指定の避難所など約12万件の中から近くの避難所・避難場所の候補を表示するもので、画期的なところとしては距離や標高が表示、案内も矢印で直感的にされるため訪日客のように土地勘がないひとにも役立つというところです。また、計画通りインターネット接続を要せず、スマホのGPS・コンパス機能のみで動くため、通信圏外であっても安定して使用することが出来ます。もちろん観光情報アプリとして全国の名所など約2万5000件のデータを収録しており、20カ国語にも対応しています。

 

事例②「スマートフォンを活用した情報の収集と提供を行う糖尿病予防アプリの開発

2つ目に紹介する事例は、飲食、運動、体調といった情報をスマホで収集し、それに基づいて健康促進メニューや最寄りのオススメ店を提案したり、専門医監修の生活改善をアドバイスするといったアプリ開発です。これによって糖尿病等の生活習慣病の発症を予防することが期待出来ます。

アプリの機能

  • 専門家との連携の独自の「リスク分類・分析アルゴリズム」を使って食事等の情報から自動で総合的なアドバイスを作成する。
  • 利用者の現在地の近くにあるおすすめ店を表示し、健康維持に必要な食品の購入に誘導する。

 

大学や医療機関との協力体制を築きながらアプリを開発し、約100名の住民の協力のもと実証実験を行いました。その結果、アプリ利用者の腹囲や体重、飲酒量が非利用者に比べて減少し、健康指標が改善されたことが確認されました。また、定期的な食品や店舗のオススメと購買活動との相関関係も確認でき、このアプリの継続使用が生活習慣病予防に効果的であることが分かりました。

 

 

さてここまで読んでいかがだったでしょうか?

実際にアプリ開発にもものづくり補助金は使えるということはお分かりいただけたかと思います。

 

しかし、具体例からも分かるように、ただ自社の会員用アプリを作るといったようなありがちな内容ではなく、革新的な内容である必要があることも分かります。

 

もし自社でこういったことがしたいとお考えの方で、ものづくり補助金の対象になるだろうか?とお悩みの場合は、専門家に相談した上でものづくり補助金の申請にチャレンジしてみても良いかもしれません。

この記事の監修

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

行政書士/財務コンサルタント

吉野 智成(よしの ともなり)

プロフィール

大学卒業後、税理士事務所で中小企業の会計を支援。
2019年 行政書士登録、個人事務所を開設
2021年 補助金・融資部門を法人化。「株式会社Gunshi」を設立
専門分野:事業者向け補助金、融資申請支援

書籍

中小会社で活用できる「補助金」のことがわかる本』(セルバ出版)

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