IT導入補助金

IT導入補助金の不正受給は詐欺罪&返金・返還

 

IT導入補助金の不正受給が発覚したらどうなるのでしょうか。単純にもらった分を返還すれば良い、という単純な話ではありません。

 

今回は、IT導入補助金の不正受給は詐欺罪&返金・返還についてお話しをさせていただきたいと思います。

 

IT導入補助金の不正受給が発覚したら、詐欺罪に問われることになります。さらに、全額返金だけではなく加算金も請求されます。その他様々なペナルティがありますので、絶対にしないように心がけましょう。

それでは具体的に、どのようなペナルティがあるのかを見ていきたいと思います。

 

よくある不正受給とは?

不正受給としてよくあるものは下記になります。

 

日付の改ざん

一番よくあるのは、日付の改ざんになります。発注書や領収書の日付の改ざんになります。IT導入補助金には、補助事業の実施期間というのが決まっています。つまり、その実施期間内の事業ではないと、補助対象経費にはならないのです。そのため、実際は実施期間外の事業なのにもかかわらず、発注書や領収書の日付を改ざんすることで、あたかも実施期間内に補助事業をしたかのように偽造する、という行為です。

 

金額の水増し

補助事業にかかる経費の金額を水増しするというのも、よくある不正受給の手口になります。実際に発生した金額よりも高い金額の請求書や領収書を、相手方に出してもらうということです。

例えば、通常であれば、100万円で導入できるITツールがあったとします。IT導入補助金の補助率は2分の1になります。このITツールを導入したとしても、半分である50万円しか受給することはできません。しかし、事業主としては満額の100万円を受給したい。

そこで、このITツールを110万円で購入するので、代わりに領収書の金額を200万円にしてほしい、と取引先に持ち掛けます。そうすることで、事業主は100万円(200万円の2分の1)を受給することができ、取引先は10万円多くもらえるので、200万円の領収書を出してしまう。こういったことで、金額の水増しが起こるのです。

 

関係ない事業

例えばプライベートで使用することが目的で導入したITツールを、あたかも会社で使用する目的だとウソをついて補助金の申請をする、ということです。こちらも、当然ながら不正受給にあたります。

 

2、不正受給が発覚したら

不正受給が発覚しましたら、当然ながらペナルティが発生します。どのようなペナルティが発生するかということを説明していきたいと思います。

 

全額返金プラス加算金の請求

当然ながら、不正に受給したお金はすべて返還しなければなりません。そしてさらに、元本に対する年10.95%の延滞金と、元本の20%の追加納付金支払う必要があるのです。

 

たとえば、100万円をIT導入補助金で不正受給して、1年間返還しなかった場合を考えてみましょう。

 

元本100万円+納付金20万円+延滞金10万9500円=130万円9500円を返還する必要があります。

受け取った元本が1.3倍の金額にも膨れ上がります。不正受給が発覚したら早急に全額を返還するようにしましょう。

 

会社名が公表される

不正受給が発覚した場合、「補助金交付等停止及び契約に係る指名停止措置企業」ということになり、経済産業省のホームページに公表されることになります。

公表される情報としては下記にものです。

・会社名

・住所

・補助金交付停止期間

・指名停止期間

・理由

 

しかも、会社名でインターネット検索をすると、上位表示に経済産業省のサイトが表示されて、事件の概要が広く世の中に知れ渡ることになります。

会社を経営していくには信用が1番大切になりますので、死活問題となることでしょう。

 

補助金の支給停止

不正受給が発覚したら、支給停止期間として5年間は補助金を受けることはできません。以前は3年間でしたが、2019年4月から厳罰化されて5年間になりました。また、不正受給に関わった役員などが、別の会社の役員などになっている場合は、その会社も5年間は補助金を受けることができません。

 

詐欺罪

補助金の不正受給は、国や地方公共団体を騙すという行為になります。つまり、詐欺罪とみなされる行為にあたります。悪質である場合には刑事訴追を受けることにもなりますので、絶対にしないように心がけましょう。

 

いかがでしたでしょうか

 

今回は、IT導入補助金の不正受給は詐欺罪&返金・返還についてお話しさせていただきました。中小企業の事業主の方にとって、経営判断をする際には補助金というのはとても重要な判断材料になるものと思います。補助金を活用することで事業を発展させていくこともできますので、活用することをお勧めいたします。ただし、IT導入補助金の不正受給は犯罪になります。絶対にしないように心がけましょう。もし補助金について難しいと感じるような場合には、行政書士等専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は補助金の内容により数万円~十数%程度かかりますが、自分自身でする場合の時間や手間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。

 

 

この記事の監修

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

行政書士/財務コンサルタント

吉野 智成(よしの ともなり)

プロフィール

大学卒業後、税理士事務所で中小企業の会計を支援。
2019年 行政書士登録、個人事務所を開設
2021年 補助金・融資部門を法人化。「株式会社Gunshi」を設立
専門分野:事業者向け補助金、融資申請支援

書籍

中小会社で活用できる「補助金」のことがわかる本』(セルバ出版)

-IT導入補助金

© 2024 経営者のための 補助金の活用ガイド 小規模・ものづくり・IT補助金 インフォメーション