都市計画法では、開発を行う土地に対して、土地の区画形質を変更しなければならない場合に、都道府県知事から開発許可を受けなければ、開発行為いわゆる未整備の土地を、宅地用の土地にするために、工事をすることは認められません。
そこで、この開発許可を受ける際に、ある一定の基準をみなすことができた場合に、開発許可を受けることができるという基準が定められています。
これを、「全般的許可基準」と「立地基準」と言います。これらは、土地の場所や用途でも変わってきます。
こちらでは、これから開発許可をする方に向けて都市計画法の開発許可の基準をわかりやすく解説いたします。
■全般的基準について
全般的基準とは、別名「技術的基準」とも呼ばれています。
都市計画法の第33条で定められており、全国すべての地域が対象となる基準です。
これは、道路や公園、防災上の措置や給排水施設の確保などに関する基準です。
もっとわかりやすくご説明しますと、この全般的基準を守ることで、安心・安全な宅地が作られるということです。
では全般的基準では、どのような基準なのか、内容を見ていきましょう。
■全般的基準とは
全般的基準とは、宅地に一定水準の安全を確保することを目的としています。
まず、建築する建物が以下の三つの地区または地域に該当していなければなりません。
➀用途地域・・用途の混合を防ぐために市街地の土地の利用を定めている地域
➁特別用途地区・・環境の保護や地区の特性にふさわしい土地の利用を進める目的で定められた地区のこと。用途地域内の特定の地区です。
➂特定用途制限地域・・用途地区が定められていない地区のことです。
より良い環境を維持するために、建築物の用途を特定のものにするよう、定めている地区のことです。
これらの地区に合った街づくりを行うために、地区計画が定められている際も、以下のことに注意していきましょう。
■チェックポイント
全般的基準のチェックポイントは、下記のようになります。
1.建築する建物の配分が適切に行われているかどうか
公益的施設や公共施設の配分が適切に行われているかどうかも基準となります。
2.安全措置がしっかり行われているか
土壌に溜まった水を排出させるための設備や、土地に対しての安全措置が必要です。
水が溢れ出てくるような被害が、起こらないように、排水設備は重要です。
また元から地盤が弱い土地、がけ崩れの心配がある土地は、地盤の改良を行っているかも重要になってきます。
3.建築予定の施設の配置や、規模は適切に行われているかどうか
また自己居住用の住宅以外の用途で、土地の区画性質の変更を行うときは、この他にも以下の基準があります。
1.災害が起こった際に、危険な場所に該当しないか
災害危険区域・地すべり防止区域・土砂災害特別警戒区域が含まれていないか基準となります。
2.水道や給水施設が、予想される需要に対応できるように設置しているか
3.公園や道路を作る際に、環境保護の面で支障をきたさない構造や規模で設計されているか
4.開発許可を申請する方は、開発許可を受けるための資産や信用があるかどうか
5.工事を行う方が、確実に工事完了できるような能力があるかどうか
このような項目を、細かくチェックされますので、ポイントとして押さえておきましょう。
市街化調整区域内における立地基準について
この基準は、市街化調整区域内のみで適用される基準で、特別な事情が無い限り、宅地を建てることは認められません。
その中でも、以下の開発行為に該当する場合のみ許可としてみなされます。
1.日常生活で必要な物品の販売や、加工や修理を行う事業所
2.農林漁業に必要な建物(市街化調整区域内で生産された水産物の保管・加工場など)
3.観光資源や鉱物資源を有効に利用できるように必要な建築物(市街化区域で建築が困難となった場合も認められます)
4.ガソリンスタンドや休憩所など、市街化区域内での建設が難しい場合のものは認められます。
5.条周辺の市街化を促進する恐れがないもので、条例で定められた区域と用途を守れば開発行為が行えます。
6.市街化調整区域が定められた時に、自己住宅や自己業務用の建設する予定で、土地の権利を所有していた場合
7.市街化調整区域決定後、6ヶ月以内に届出し、決定から5年以内の建築の場合
8.集落地区計画・地区計画の区域内であり、計画に沿った開発の場合
9.開発審議会で議決を得た場合のもの
・市街化調整区域内の、農家の分家または、企業の社宅などを建築する場合
・20万㎡以上の大規模な面積で、計画的市街化に問題ないと議決された場合
まとめ
今回は、都市計画法の開発許可の基準についてわかりやすく解説いたしました。
特に立地基準に関しては、かなり細かく審査され、内容も複雑なものが多いです。
開発許可を受ける際に、その土地が基準をクリアしているかどうかが大切になってきます。
開発許可の基準について、何かご不明なことや不安なことがございましたら、お気軽に行政書士までお問い合わせください。