農地を農地転用し、住宅地等にしたいが、土地の形質が住宅を建てられるような土地でなく困っている。そんなことが、農地転用をし、住宅を建設したい際に起こることは少なくないでしょう。
そのような時に必要になるのが、宅地造成と言います。
この宅地造成をし、農地を住宅地等にしたい方、相続等でそのようなことになるかもしれない方に向けて、こちらでは、宅地造成を目的とした農地転用許可の流れについて詳しく解説していきます。
■そもそも宅地造成とは
宅地造成を解説すると、宅地以外の、農地や森林などと行った土地を住宅地等にすべく、その土地の形質を変えること、また、工場などの跡地を住宅地にするといったような、既に地目として宅地であるものの、土地の形質を変更することも宅地造成と言います。
一定以上の規模の宅地造成をする際は、都道府県知事より開発許可を受ける必要が生じます。
■宅地造成を目的とした農地転用は認められるのか
宅地造成をすることのみを目的とした農地転用は、宅地造成後に建築物が何も建てられず、その土地が遊休化してしまう恐れがあり、原則認められておりません。
しかしながら、例外として、当該農地が、街の発展状況や、公共施設等の整備状況等によって、速やかに建物が建設されるであろうと認められる際は、宅地造成を目的とした農地転用も認められています。
また、建築条件付き売買予定地として農地転用をする場合、宅地造成のみを目的とはみなされないとして扱われます。
■宅地造成を目的とした農地転用の大まかな流れ
まずは、申請地を管轄する農業委員会に問い合わせましょう。
そこで必要書類や、申請に関する留意事項を確認します。
その後、必要書類を集め、申請書を作成します。
それらが準備できたら、いよいよ農業委員会へ提出です。
■宅地造成を目的とした農地転用の要件
基本的に宅地造成を目的とした農地転用が認められるのは、市街化区域のみになります。
また、建築条件付売買予定地としての農地転用が主になるでしょう。
まず以下の要件を満たすことができれば、建築条件付土地売買に関して「宅地造成のみを目的とした農地転用」として見なさず、農地転用が可能となります。
①転用事業者と土地購入者が建築条件付土地売買契約を締結し、契約後一定期間内(3ヶ月以内程度)に転用事業者又は転用事業者が指定する建築業者と土地購入者が建築請負契約を締結すること
上記が達成されなかった場合の措置は下記のア、イになります。
(ア)一定期間内に請負契約を締結せず、又は締結できなかった場合に、建築条件付き土地売買契約を解除すること
(イ)全区画を販売することできなかった場合は、転用事業者がそれらを建売分譲として販売すること
②建築条件付土地の引き渡しは、住宅が建築されたことの確認後、または宅地造成と建築基準法第6条の建築確認が行われた後に行うこと
これにより、建築確認後であれば土地の先行決済が可能となります。また、これと連動し、登記上も建築確認があれば農地から宅地への地目変更が可能になります。
■宅地造成を目的とした農地転用の必要書類
一般的な必要書類は下記になります。
①農地転用届出書
市役所ホームページの農業委員会各種申請様式からダウンロード可能です。
②申請地の登記簿謄本(全部事項証明書)
法務局にて取得、3ヶ月以内発行のものをご準備下さい。
③公図の写し(隣接の土地全て登記地目・所有者記入)
法務局にて取得、3ヶ月以内発行のものをご準備下さい。
④位置図
最寄り駅、インターチェンジ、役場や公共施設の位置がわかるものをご準備下さい。
⑤案内図(1/2,500程度)
場外排水路及び流末を記入します。
⑥申請地を含めた周辺の現況写真
申請地の範囲を赤線で示し、撮影日を記載して下さい。
⑦始末書又は理由書
既に転用済みの場合に必要となります。無断転用をした原因となった当事者の押印が必要となります。
⑧住民票の写し
登記簿謄本に記載された所有者住所が現住所と異なる場合に必要となります。
⑨被相続人の除籍謄本及び改正原戸籍謄本並びに相続人の戸籍謄本及び住民票の写し
土地登記簿に記載された所有者が死亡している場合に必要となります。
⑩その他、管轄の農業委員会等が必要とする書類
申請先市町村の農業委員会に確認しましょう。
――通常の農地転用に必要な必要書類に加えて下記の書類を用意しましょう。――
・住宅建築請負会社との契約等を証する書面
※建築を請負う会社及び契約形態等を明確に示す書面
・販売条件の詳細が記載されている書面
※契約書等のひな形でも可能
・事業経歴書
・造成計画図
上記の書類は市区町村によって違いがありますので、事前に確認するようにしましょう。
■まとめ
こちらでは、宅地造成を目的とした農地転用許可の流れについて詳しく解説いたしました。
宅地造成のみを目的とした農地転用は原則認められておりません。事前にしっかり農業委員会に確認を取り、準備を始めましょう。
まず、何から手をつけたらいいか分からない時は、是非、農地転用の専門家である行政書士までお気軽にご相談ください。