公共工事は経営事項審査が必要なことは理解しているが、民間工事は審査を受けなくても行えるのだろうか?実際に、民間工事のみ行っている建設業者さまの中には、民間工事でも審査を受けていないとダメだと言われたことがある。
ということは、民間工事でも審査を受ける必要があるの?と、疑問に感じていらっしゃる方も少なくないと思います。
今回は、そのようなお悩みに方に向けて民間工事でも経営事項審査(経審)は必要?というテーマで解説していきます。
■そもそも、民間工事って?
まず初めに、民間工事と公共工事の違いを詳しくご説明します。
【民間工事】
民間工事とは、主にマンションや住宅の建設工事を行う場合のことです。
いわゆる、個人住宅やマンション建設の工事が一般的な民間工事と言えるでしょう。
【公共工事】
公共工事とは、国や地方自治体が発注する工事のことであり、例えば道路を作るための工事、
生活に必要な橋を建設するなど、私たちが生活をしていく上で必要となる施設を建設する際の工事のことを指します。
この公共工事を受けて工事を行う場合は、必ず建設業許可を取得していて、尚且つ“経営事項審査”を受け、その後、一般競争入札で入札されなければ、工事を請け負う事はできません。
【管轄先の工事が違うだけで、それ以外に違いがあるの?】
ここまで読んで、請負先が違うからその工事自体が異なるということは分かりましたね。
しかし、本当に違うのはそれだけでしょうか? 実は、工事の施工代金が大きく異なってくるのです。
公共工事では、すべて国や自治体が発注するわけですから、工事の施工代金は、税金等から賄われています。
一方で民間工事は、施工主様から依頼を受けて、そこから施工代金としてお金が支払われます。
ということは、客観的に見ると公共工事の方が、工事の規模が大きくなり、審査を受けた業者のみ行なえる工事とあって、支払われる価格が大きくなります。
ここまでで、民間工事と公共工事の違いは理解できましたね。
それでは、次の項で民間工事でも経審が必要なのか?という部分で、詳しく見ていきましょう。
■民間工事でも経審は必要?
上記でご説明した内容だと、公共工事では、経審が必要なことは分かりましたが、一方で民間工事はどうなるの?と感じるでしょう。
実は、結論からお話ししますと一般的には、民間工事を行う場合は、経審を受ける必要はありません。
しかしながら、民間工事と言っても、その工事の規模や発注先が、国から補助金を受け取って行う工事の場合は別です。詳しく見ていきましょう。
■民間工事でも経審の対象となるのは?
民間工事であっても、経審を受けていることを条件として、工事の依頼をお願いする・公募するというような事があります。
それでは代表的なものとして、下記のような企業が発注する工事の場合、経審が必要となります。
・JR各社が発注した工事
・空港運営会社が発注した工事
・NTT各会社が発注する工事
このように、代表的な企業が発注する工事は、私たちが生活する上でも必要といえる施設であることが多いです。
また、その他にも私立保育園や社会福祉施設が、市町村から補助金等を受けて行う、施工工事などは、経審を受けている建設業者であることが、条件となる場合が大きいです。
最近では、民間工事でも経審を受けていることが、施工条件となる場合が多くなってきています。例えば、大きなマンションや商業施設等が大規模修繕工事を行う場合などは、経審を既に受けており、審査の評価が〇〇点以上ある建設業者であること。というような資格を必須とする工事も、増えてきています。
■民間工事でも経審を受けた方が良い?
建設業者さまにとって、一番大切なのは今後の企業の発展が大切となってくるでしょう。
そのような観点から見ますと、今後も民間工事のみ行う予定。という建設業であっても、経審を
受けるメリットは大いにあります。
・会社としての経営状況を、管理しやすくなりその結果、状況把握が以前と比べてできるようになり、業績アップにもつながります。
・経審を受ける事で、公共工事を請け負える機会が増え、その分安定した収入につながります。建設業は、必ずしも一年を通して安定した仕事が入ってくるとは限りません。
しかしながら、民間工事と比べ、大規模な工事や公共工事を請け負うことで、スキルアップにもつながり、会社としても大きく成長する一つと言えるでしょう。
もちろん、大きな工事を受けなくても小規模の民間工事をこつこつと行う方が合っている。という建設業者さまもいらっしゃると思います。
どちらの方が今後会社にとって為になるか等よく考えて、経審を受けるかどうか判断していくことが大切でしょう。
■まとめ
今回は、民間工事でも経審を受ける必要があるの?というテーマで、詳しく解説いたしました。
会社の状況や今後の会社発展をどのように行っていくかで、経審を受けるかどうかは変わってくると思います。
もちろん、受けるとなると必要書類や申請事項がたくさんあり、日々忙しい中、業務に追われる建設業の方にとっては難しいと感じる方がほとんどでしょう。
そのような場合は、専門家である行政書士へお気軽にご相談ください。