建設業を行っている方で、これから公共工事に参入したいと思っている。しかし公共工事を請け負うには経営事項審査を行い、入札も必要と聞いたが、一体何から始めればいいのだろう?と疑問に感じる方もいらっしゃると思います。
今回はそのような方に向けて、入札参加資格と経営事項審査の内容を理解することで、それぞれの違いを学んでいきましょう。
■公共工事の入札に参加するには?
まず初めに、公共工事の入札に参加するためには、どのような流れで手続きが行われるのか見ていきましょう。
1.建設業許可を取得している
2.経営事項審査を受け、結果通知書を受け取る
3.入札参加資格を申し込む
4.入札参加資格業者名簿に登録される
5.公共工事の入札に参加できる
大きな流れとしてはこのようになっています。
ということは、この流れを見てもわかるように、まずは建設業許可を取得していることが前提で、経営事項審査(経審)を受けておかないと、そもそも入札に参加することはできません。
この経審を受けると、結果が点数化されて出るので、その結果をもとに入札参加資格では、その会社が公共工事を行うにあたって問題がないと判断された時に、初めて入札参加資格を得ることができるということです。
それでは、もっと詳しく経審と入札参加資格についてご説明していきます。
■経営事項審査について
公共工事が行われる際に、国や市町村が工事を行ってほしい建設業者全体へ向けて募集をかけ、
その際に、公共工事を請け負いたい建設業者は公共工事入札に参加します。
この入札に参加した建設業者の中から、行政は一番良い条件を出してきた建設業者を、公共工事入札で選ぶという流れになっております。
この時に、判断基準として必要となるものが“経営事項審査”です。
経営事項審査では、会社の経営状況や経営の規模・技術力などを基に、点数化して審査されるため、公平に公正な建設業者を選ぶことができます。
【経審を行う際の流れについて】
経審を行うまでにかかる必要な流れをご説明します。
1.決算日に財務諸表を作成する
その会社の決算日の数値をもとにして、決算後すぐに財務諸表を作成します
2.事業年度終了届を提出する
建設業の決算書のようなもので、事業年度が終了してから4ヶ月以内に行政庁へ提出しなければなりません。
3.経営状況分析の申請を行う
ここでは経営状況について審査されます。事業年度終了届をもとに資料を作成して、国土交通省が認可している民間の分析機関へ提出します。
4.経営規模等評価申請を行う
ここでは、経営の規模や社会保険等へ加入しているか、社会性などを客観的に審査します。
5.総合評定値通知書を受け取る
この総合評定値通知書が、公共工事の入札には必要となる大事な通知書であり、➂➃の合計を点数で評価したものです。
このように様々な項目で審査され、経営事項審査を受けた後、点数で評価され結果が届きます。
【審査にかかる費用】
審査が行われる中で、以下の三つの費用がかかってきます。
1.経営状況分析申請手数料・・分析する機関によって料金は異なりますが、大体の相場は9,000円〜14,000円ほどです。
2.経営事項審査申請手数料・・審査を行う業種の数によって料金は変わってきます。
1つの業種のみの場合・・11,000円
2つ目以降増えるごとに・・プラス2,500円ずつになります
3.総合評定値・・400円と、その他審査対象業種の数に応じて、200円ずつ加算されます。
それでは次項で、入札参加資格についてご説明します。
■入札参加資格について
経審の結果をもとに、公共工事の発注を請け負う会社を入札する際に、必要となる資格が“入札参加資格”です。
ここでは、問題なく入札参加できる会社だと審査によって認められた場合は、入札参加資格者名簿登録に登録されます。
そうすることで無事、公共工事の入札に参加することができるのです。
【どのようなことが審査される?】
審査の内容としては、その会社の経営状況や経営規模、その他技術力や客観的事項について審査が行われ、点数化されて格付けされます。格付けされた結果が入札に必要な資格となります。
また、申請に必要な書類も発注を行う機関によって様々で、事前に確認する事が大切です。
【審査にかかる費用】
入札参加にかかる費用はありません。ですので、発注を行う自治体ごとに入札参加資格を登録した方が、公共工事入札の幅が広がります。
【有効期限】
入札参加資格の有効期限は、自治体によって異なりますが大体2~3年の場合が多いです。
また入札参加資格審査の申請を行う時期も、自治体によって様々ですので、いつ行われるのか確認しておきましょう。
■まとめ
今回は、入札参加資格と経営事項審査の違いについて解説いたしました。
内容を理解することで、どちらも公共工事入札に深く関わっており、大切な審査であることがわかりました。しかしながら、これらの手続きを自分で行うにはかなりの労力を要します。
日々忙しい事業者様に代わって、専門家である行政書士へお問い合わせ頂ければ、少しでも手助けできるかと思います。
何かご不明な事などございましたら、お気軽にお問い合わせください。