国や、市町村が発注する公共工事を受けてみたいが、経営事項審査を行うには、手間がかかり大変と聞いたことがある。しかし、経営事項審査を受けた方が発注も増え、良いと聞いた事があるが、いったいどのようなメリット、デメリットがあるのだろう。と、感じる方もいらっしゃるでしょう。
今回は、そのような方に向けて、経営事項審査のメリット、デメリットについて解説していきます。
■そもそも経営事項審査とは、どんなものだろう?
ここでは、経営事項審査がどのようなものか、簡単にご説明します。
【経営事項審査とは】
経営事項審査とは、国や地方自治体が発注する公共工事を、直接請け負う工事として行うには、まず公共工事に入札されなければ行えません。
その公共工事の入札に参加する際に、必要となる要件の一つが経営事項審査です。
ということは、公共工事の入札に参加したい場合は、必ず必要となる審査と言えますね。
それでは今から、メリット、デメリットにそれぞれ分けて、解説いたします。
■経営事項審査を受けるメリット
経営事項審査を受けるメリットは、実はたくさんあります。細かく見ていきましょう。
1.公共工事を、直接請け負うことができる
経営事項審査を受け、公共工事の入札に参加し入札される事で、公共工事を受注することができます。
会社としては、安定した工事を請け負うことができるので、経営面でも非常にプラスとなりうるでしょう。
2.客観的な評価で点数化されるので、何が良くて悪いのか明確的になる
経営事項審査は、全国共通の審査方法で、総合的に点数化して評価されます。
点数化されることで、目に見えて、自社のレベルがわかり、審査が行われてから1ヶ月間は、審査結果がHP等で公開され、他者の点数もわかります。
このことにより、自社の良い点や改善すべき点が明確にわかり、会社としても経営状況など把握することで、経営安定に繋がると言えるでしょう。
3.公共工事にしかない大規模の工事に携わることができる
公共工事では、民間工事と違い、国や市町村が発注する工事となるため、その分工事の規模も大きくなります。
建設業者としては、小さな工事を少しずつ請け負うよりも、大きな工事を請け負った場合の方が、利益としても大きく、適正な金額で受注できるので、会社としても安心です。
4.会社の信用が増し、実績が上がる
先ほど述べたように、経営事項審査を受けることで、公平に点数化して評価されます。
この事により、工事を発注する側としても、点数化されている建設業者と、どのくらいのレベルなのか、全くわからない建設業者を選ぶとしたら、前者と言えるでしょう。
よって、会社としての信頼度も上がり、経営事項審査を受け続けることで、公共工事の受注が増え、その分、実績も上がっていきます。
この点は、大きなメリットと言えるでしょう。
5.貸し倒れがない
建設業は、工事の価格も大きく、工事中に、貸し倒れするケースも全くないとは言い切れません。
しかし、公共工事では、国や市町村が発注する工事となり、貸し倒れのようなケースは生じません。これはリスクが少なく、メリットと言えるでしょう。
このように、メリットにフォーカスを当てて見ると、経営事項審査を受けることは、メリットが大きいように思います。
次の項では、デメリットについて、ご説明します。
■経営事項審査を受ける事で生じるデメリット
経営事項審査を受ける中で、デメリットとなりうる場合についてご説明します。
1.審査を受けるまでの手続きが複雑
経営事項審査を受けるには、まず決算が終了してから、財務諸表を作成し、提出します。その後、様々な書類を集め、記入漏れがないよう慎重に行いながら進めていくには、かなりの労力が必要となります。
建設業では、日々受注や毎月細かいことを計上するなど、行わなければならない作業はたくさんあります。その中で、並行して審査の準備を行うことは、大変と感じる方がほとんどでしょう。
2.手続きの準備に時間がかかる
審査に必要な申請など何度かに分けて行われるので、書類に不備等あれば、その都度足を運ばなければなりません。
これは、大変手間がかかり、忙しい建設業者様にとっては、デメリットと言えるでしょう。
3.申請に費用がかかる
経営事項審査には、有効期限があり、引き続き公共工事を請け負う場合は、毎年更新を行うことが必須です。
一度申請すれば終わりではなく、毎年更新が必要ということは、その分更新費用がかかってきてしまいます。
このように、デメリットも生じる場合はありますが、全体的に比べると、圧倒的にメリットの方が大きいと言えるでしょう。
■まとめ
今回は、経営事項審査を受けるメリット、デメリットについて解説しました。
その会社が、どのような工事を請け負っていきたいかで、今後、経営事項審査を受けることで、コストや収益に関しても大きく変わってきます。
メリット、デメリットをよく理解した上で、自分の会社にはどちらが適しているのか考え、進めていくことが一番大切です。
経営事項審査は、必要書類など複雑で、手間もかかり難しいとお悩みの方もいらっしゃると思います。
そのような時は、専門家である行政書士まで、いつでもご相談ください。