経営事項審査では、国や地方自治体が発注する公共工事を、入札する際に必要な審査ですが、様々な観点から評価され、最終的に数値化されて結果が出ます。
その結果次第では、公共工事の規模や、受注率も変わってきますので、できるだけ点数を高く評価してもらえることが、重要と言えます。
しかしながら、最近は、少しでも評価を上げようと、審査に必要な書類内容に、虚偽を行う業者が、残念ながら存在します。
このような状況を防止するために、虚偽申請を行った場合は、営業停止処分や、50万円以下の罰金に処される場合もあります。
また、国土交通庁は、これらの虚偽申請を少しでも改善しようと平成23年に、経営事項審査を行う機関の一つでもある、経営状況分析機関と連携することで、さらに規制が厳しくなってきています。
今回は、このような虚偽申請を経営事項審査で行った場合どうなるのか?という点を、詳しく解説していきます。
■虚偽申請とはどんなもの?
簡単に述べると、必要書類の内容を偽って記入し、審査を受けることです。
こんなことをする人がいるのだろうか?と、感じるでしょうが、実際に、少しでも評価を上げるために、このくらいならバレないだろう。という気持ちで、虚偽申請をしてしまう方がいるのです。
では、このような虚偽申請を行ってしまうと、どんな罰則が課せられるのでしょうか?
次の項で、詳しく見ていきましょう。
■虚偽申請を行った場合の罰則について
ここでは、どのような罰則が課せられるのか、詳しく見ていきましょう。
【経営状況分析機関との連携で防止対策を強化】
国土交通省が行った経営状況分析機関との連携により、防止対策が強化されてきており、虚偽申請が発覚する率は、年々高くなってきています。
以下のような項目が、虚偽として疑われる点です。
・前年度と比べて勘定科目の数値の差が大きい場合
・未成工事受入れ金(前受け金のこと)や未成工事支出金が非常に多い場合
・雑収益や雑損失が相対的に大きい場合
・利益額の増減が繰越されている
このような点で、疑義が生じた場合は、追加書類や勘定科目内訳書等の提示を求められます。
当たり前ですが、必ず事業年度変更届は、正確に記載して、分析機関へ提出しましょう。
【審査を行う行政庁が相関分析を見直して強化している】
ここでは、行政庁が、完成工事高や技術職員数値の相関分析について、見直しと強化が図られています。
・外注費が割合として多い場合
・技術者一人に対しての完成工事高が大きく、工事高の水増しが考えられる場合
・虚偽申請に関する情報がある建設業者
・経審でのデータと税務署が提示しているデータに相違がある場合
このように、様々な項目から虚偽申請の疑いのある業者を判断し、対面審査や書類の追加提出、立ち入り調査等を行って、できるだけ排除しようと強化しています。
【虚偽による罰則について】
経営事項審査を受ける中で、虚偽申請を行った場合、 “営業停止処分”となります。
この営業停止処分では、下記のような措置がとられています。
・虚偽申請を行った場合は、30日以上の営業停止
・審査項目で加点を受けた後、財務諸表などで不正が発覚した場合は45日以上の営業停止
・営業停止処分を受けた場合は、翌年の経審で大きく影響します
また、罰則は自治体によって異なり、厳しいところでは6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金に処されます。
この他にも、“指名停止処置”というものがあり、行政庁などが、虚偽を行った建設業者に対して、一定期間公共工事の入札に参加することができないように、指名して入札停止を命じることができるものです。
このような処分を受ける業者は、意外と少なくないのです。
どのような状況であれ、これくらい大丈夫だろう。というような一瞬の緩みが、後になって厳しい罰則や罰金が処され、会社として、経営を続けられなくなり、会社の評判が落ちてしまっては、経営事項審査を受ける意味がなくなってしまいます。
あくまでも、経営事項審査とは、国や地方自治体が発注する公共工事であり、その工事にかかる費用は税金から、賄われています。
絶対にあってはならない虚偽申請を、行うことがないよう将来のことを見据えて、毎年の経営事項審査を受けることが大切ですね。
■まとめ
今回は、経営事項審査で虚偽申請を行うとどうなる?というテーマで、詳しく解説しました。
毎年行われる審査で慣れが出てくると、今回のような気の緩みが生じてしまうこともないとは言えません。
しかしながら、虚偽申請を行うと、厳しい罰則が処されることが今回の記事を読んで、わかりましたね。
このようなことにならないためにも、毎年の審査では、必ず正確な事項を記載して、提出しましょう。また、中には毎年のように提出書類がありすぎて、虚偽申請に至ってしまう方もいらっしゃいます。
そのような際は、プロである行政書士へ依頼することで、少しでも、負担を軽減することにも繋がることと思います。
何かご不明な点などございましたら、お気軽に行政書士までお問い合わせください。