みなさんは、建設業許可取得の際に提出しないといけない書類一覧をみたことはありますか?
ざっと以下のような書類が必要になります。
引用元:国土交通省HP「許可申請書及び添付書類(記載要領あり)へ
かなり種類が多いことがおわかり頂けるかと思います。
読むのも辛いですね。
しかし、中には見覚えのある書類もあるのではないでしょうか?
例えば、貸借対照表や損益計算書といった財務諸表類です。
毎年行う税務申告のたびに税理士が作成してくれているあれですよね。
建設業許可申請においてこれらは、建設業許可の要件の一つである「財政的基礎」の裏付け資料として提出をします。しかし実はこれ、名前は同じでもみなさんがよく知る決算書類とは違うものなんです。
というのも、建設業許可をうけるために作成・提出する決算書類は税務署に提出した決算書とは別の、建設業法上で規定された様式を使用しなければならいからです。
ではここから、建設業許可の提出書類としての損益計算書の書き方を解説していきます。
建設業法規定の様式を使う
前述の通り、建設業許可を受けるためには、貸借対照表・損益計算書・完成工事原価計算表・株主資本等変動計算書・注記表といった財務諸表類は建設業法で定められた様式で作成しなければなりません。
というのも、株主総会や税務申告で使用したものはそれぞれの目的が違うため、必ずしも建設業法に則った様式になっていない可能性があるからです。
このことから、税務申告用に損益計算書等がすでにある場合であっても、建設業法様式に転記をする必要がありますし、さらに手間としては、損益計算書は「売上原価」を「完成工事原価報告書」「兼業事業売上原価報告書」に仕訳しなければなりません。
書類作成の順番としては、損益計算書を作る前に「完成工事原価報告書」と「兼業事業売上原価報告書」を作成することになります。
実際の書式とポイント
損益計算書の書式はこちらのリンクからダウンロードすることが可能です
書式をみると、建設業法様式特有の勘定科目が使用されている
ことに気づくかと思います。
完成工事高、完成工事原価などですね。
しかしこれは、
・完成工事高→売上高
・完成工事原価→売上原価
と読み替えてしまえば大丈夫ですので難しく考えずに次に進みましょう。
ここからは各項目についても少し見ていきます。
売上高
完成工事高
建設工事に係る売上高を記載してください。
※該当しないもの:コンサル収入、設計料、資材売却益等
販売費及び一般管理費
1.事業員給料手当
本店・支店の事業員などに支払った給料や賞与を計上します。
※現場で働く従業員の給料などは、「完成工事原価報告書」の「経費(うち人件費)」に計上してください。
次に、建設業法の方法では、損益計算書は「売上原価」を「完成工事原価報告書」「兼業事業売上原価報告書」に仕訳しますので、その情報が連動している必要があります。
次の事項がそれぞれ一致するようにしましょう。
1)損益計算書の「当期純利益(当期純損失)」
株主資本等変動計算書の「当期純利益(当期純損失)」
2)損益計算書の「完成工事原価」
完成工事原価報告書の「完成工事原価」
3)損益計算書の「兼業事業売上原価」
兼業事業売上原価報告書の「兼業事業売上原価」
さて、ここまでいかがだったでしょうか?
全体の話として、建設業許可のために提出が必要な損益計算書は、税務申告に使う馴染みのある損益計算書ではなく、建設業法で定められた独自の書式であることがまず分かりましたね。
そして、損益計算書は「売上原価」を「完成工事原価報告書」「兼業事業売上原価報告書」に仕訳しなければならず、ここが連動しているので、その中身の情報についても整合性が取れるように正確に記載をしなければならないということも掴めたことと思います。
また一から損益計算書を作り直すと行ったものではありませんが、
それでも損益計算書の読み方がそもそもわからない、、という経営者の方も多い中で、自力で建設業法様式への転記はちょっとむずかしいかも、、とお思いの方もきっといるかと思います。
建設業許可の取得で困った時には、建設業許可を専門に取り扱う行政書士に相談してみて下さい。
手続きの煩わしさから開放されて本業に集中できるようサポートが受けられます。