建設業許可を持っている事業者は、毎年「事業年度終了届」を提出する事が義務付けられています。しかしながら、現状は本業がお忙しく事業年度終了届を出し忘れてしまった方や提出が必要だと初めて知った方等が多いようです。
事業年度終了届の提出を忘れてしまったけど罰則はあるのかな?と不安に思われている方もいらっしゃると思います。
こちらでは、事業年度終了届を忘れると罰則?というテーマについて解説いたします。
事業年度終了届とは?
事業年度終了届とは、建設業許可を取得した事業者が、事業年度の終了から4ヶ月以内に、1年間の工事実績と決算の内容を、建設業の許可を受けた行政庁(許可を受けた都道府県知事等)へ提出する事をいいます。
毎年提出を行う事が、建設業の許可を受けた事業者の義務になります。
似たもので混同される方がいらっしゃいますが、税理士の方が作成する決算報告書とは同じものではありませんので、注意が必要です。
都道府県により呼び方が異なり、決算変更届、決算報告書等の呼び方もされています。
また、建設業許可の更新(5年に1度更新)に必ず必要な届出となります。
提出時期に関して
事業年度終了届は、事業年度が終了してから「4ヶ月以内」に提出をします。
個人事業主の場合は、開業時期に関わらず1月1日から12月31日までと決まっているので、事業年度終了届の提出期限は4月末までとなります。
通常、事業年度が終了したら2、3ヶ月あたりで経費等を確定させ、税務署へ決算報告を行なっていると思われます。
事業年度終了届は税務署に提出する決算報告書をもとに作成されるので、決算報告書の作成に使った時間を除いた、残りの日数で事業年度終了届を作成し、提出を行う必要があります。4ヶ月もあるから、と余裕を持っていると期限内に提出が出来なくなる可能性もあるので注意が必要です!
罰則に関して
事業年度終了届の提出を行なっていない、又は虚偽の記載をした場合は、建設業法第50条の規定に基づき「6ヶ月以内の懲役、又は100万円以下の罰金に処す」と、厳しい罰則が定められています。
ただし、提出を忘れた場合等、直ちに罰則に科されるわけではなく、都道府県により対応は異なりますが、まず口頭での注意や始末書の提出等、個別の指導が入る様です。
それでも、提出がされない場合や悪質なケースの場合は、監督処分を受けることになり、罰則に科される可能性もあります。
また、事業年度終了届の提出を怠る事で、後々不都合な事態が生じる可能性があります。
下記では、いくつかの事例を解説いたします。
①建設業許可を失効する可能性
事業年度終了届の提出を怠った場合、5年に1度の建設業許可の更新を受け付けてもらえません。建設業許可の更新を行う際は、事業年度終了届の提出に漏れはないか等、必ず確認されます。
1期分でも提出漏れがあると、建設業の許可の更新申請は受け付けてもらえず、最悪な場合建設業許可の更新が行えず建設業許可を失効してしまう可能性もあります。
②業種追加等の申請を行えない可能性
事業年度終了届の提出を怠った場合、業務拡大を考えた時業種の追加を行おうとしても行えず、最悪の場合予定していた工事が請け負えない可能性もあります。
③経営事項審査が受けられない可能性
経営事項審査を受ける場合、事業年度終了届を提出していないと、経営事項審査を受けられません。経営事項審査は、事業年度終了届をもとに審査を受けることになっています。
④会社の信用度に繋がる
事業年度終了届の提出の目的に「発注者の保護」があります。
このため、行政庁で閲覧請求を行えば誰でも閲覧可能であり、発注者の方に閲覧される可能性があります。
事業年度終了届を、毎年期日内に提出されていない事が発注者側に知られてしまうと、会社の信用度にも繋がるので、しっかりと期日内に提出する事が大切です。
上記で解説いたしました様に、事業年度終了届の提出を怠った場合、指導しても改善しない等の最悪なケースの場合は罰則に科される可能性もあります。
現状は、直ちに罰則に科されないからといって、期日内に提出をしなくてもいいという訳ではありません。
事業年度終了届の提出は、建設業許可の更新申請、業種の追加等に必ず必要となります。
まとめ
今回は、事業年度終了届を忘れると罰則?というテーマについて解説いたしました。
事業年度終了届の提出を行う事は、建設業の許可の更新申請に必ず必要となるものです。
提出を怠る事で罰則が科される可能性だけではなく、建設業の許可の更新申請も出来ず、最悪な場合は建設業許可を失効してしまう可能性もあります。
そのようにならない為にも、毎年事業年度が終了したら、期日内に提出する事が大切です。しかしながら、普段本業でお忙しい事業者の方にとって、資料を集め書類の作成、提出を行う等、想像以上に大きなご負担になると思われます。
事業年度終了届に関する事でお困りの方は、お気軽に行政書士にご相談下さい。