プレハブ設置工事と言っても、外観だけ見ると単なる箱型のプレハブを設置するだけの工事でしょう?と感じてしまいますが、実は屋根がついて壁や柱のある物は“建設物”になるのです。
と言うことは、場合によっては知らない間に許可未取得の状態で工事を行っていた。なんて事にもなりかねません。
また、パーツごとの組み立てがすでに行われている状態で運ばれるコンテナハウスと違って、プレハブ設置は、現場で組み立てる事を指します。
最近ではコスト面や仕上がる期間も考慮して、プレハブを事務所として設置する企業も増えてきました。そこで今回は、プレハブ設置工事で許可を取得する方法を解説いたします。
プレハブ設置とは?
建設業で指すプレハブ設置工事とは、災害等で被害にあった方は家を失う方も中にはいらっしゃいます。そのような際に、仮設住宅としてプレハブを設置する工事などが挙げられます。
ただ単にプレハブを据え置くだけの工事だと、とび・土工・工事業に当てはまりますが、仮設住宅などで使用するプレハブは住居を目的としているので、もちろんですがガスや水道工事も併せて行う必要があります。
このように複数の工事を用いて行う場合、建設業では“建築一式工事”に該当します。
それでは、この一式工事で許可を申請するためには、どのようなことが必要となるのでしょうか。次項で詳しく見ていきましょう。
要件について
まず許可を取得する前に、必ず満たす必要がある要件が下記の5つです。
ここでは下記のすべてを満たすことが必須です。
1.経営の管理を行う責任者を置くこと
2.許可を受けたい業種の技術者が営業所ごとにいる
3.契約に関して誠実性があること
4.財産的信用の基準を満たしている
5.欠格要件
それでは一つずつ内容を見ていきましょう。
➀ 経営を行う管理責任者がいる
ここでは経営の管理を行う責任者を、会社に置くことが必要です。
2020年10月に要件が改正され、今までは許可を受ける業種で“経営”の経験者でなければ認められませんでした。しかし現在は、下記のどちらかの経験があれば認められます。
また管理責任者になる者は、必ず常勤である必要があります。
・建設業の会社で5年以上の経営経験者(許可を取る業種以外でも可)
・建設業で経営の補助として6年以上の経験者
※ここでの“経営の補助”とは、工事の施工に必要な資金調達や技術者・技能者の配置を行う
または契約の締結など、経営に関する業務に携わっていた者は、6年以上の経験があれば認められるようになりました。
➁ 資格を持っている技術者がいる
ここでは国家資格を持っている者や実務経験者が、専任技術者として認められます。
下記のうちどれか一つでも満たす者を営業所ごとに置き、常勤であることが必須です。
(資格所有者の場合)
・1級土木施工管理技士
・2級土木施工管理技士(鋼構造物塗装)
・1級建築施工管理技士などの資格所有者
(指定の学科卒業者)
・建築学や都市工学の卒業者で、その後の経験年数を有する者
高卒後5年以上の実務経験者
専門高等学校または大卒後、3年以上の実務経験者
(経験がある者)
・建築工事の経験が10年以上ある者
いずれかの資格所有者、または経験者が認められます。
➂ 契約に関して誠実性がある
ここでの誠実性とは請負の契約を行う中で、その代表や役員の中に法律に反する行為を行うものがいないということが必須です。
➃ 財産的信用の基準を満たしている
自己資本金が500万円以上ある事、もしくは通帳に500万円以上の残高が残っていれば認められます。
➄ 欠格要件
欠格要件とは、申請内容に虚偽の記載や成年被後見人、破産者などに該当しないことです。
会社の代表や事業主、すべての役員(支店長なども含む)が対象となります。
この他にも欠格要件はたくさんあり、自治体によっても要件の内容は異なる場合がございます。
事前に本店所在地の管轄窓口で手引き等をもらい、要件をしっかりと確認することをお勧めします。
申請について
それでは申請を行うまでの流れについてご説明します。
1.事前に担当窓口へ行き詳細を尋ねる(手引きの内容を確認しましょう)
※東京都の場合は事前相談が必須です。
2.必要な書類を収集する
3.添付書類の作成を行う
4.申請を行う(申請先は本店所在地を管轄している担当窓口です)
5.申請手数料を支払う
知事許可の場合は90,000円
大臣許可の場合は150,000円必要
【期間について】
書類に不備等なければ、知事許可の場合は1ヶ月程度、大臣許可だと3ヶ月ほどかかります。
万が一不備が生じた場合は、ここから更に時間がかかります。日数には余裕を持って申請しましょう。
まとめ
今回は、プレハブ設置工事で許可を取る方法を解説いたしました。
建設業の業種は、わかりやすい業種の工事もあれば、どの業種に該当するのか分かりづらい工事も中にはあります。
プレハブ設置工事も、どのような状態で設置するのかで他の業種に当てはまる場合もありますので、事前に確認を行うことが大切です。
また、専門的なことで申請自体どう進めていけば良いのかわからない。と不安を抱える事業者様もいらっしゃいます。そのような際は、専門家である行政書士までお気軽にご相談ください。