土木工事と言われる工事は、建設業の中でも幅が広く、工事の内容によって様々な業種に振り分けられます。
内容としては建物を建てる際の基礎となる工事や、公共工事などにも該当する道路や橋・ダム等を造る際にも土木工事が必要となります。
また建物以外の工事では排水工事や、庭や公園を作る際の工事や、道の舗装や下水道に関わる工事が、該当します。
このように内容だけ見ても、様々な業種と関わることが多いのも特徴の一つです。
このことから、建設業の中では“土木一式工事”と言われています。
今回はこの土木工事業で、許可を取る方法を解説いたします。
土木一式工事とは?
建設業の種類は、一式工事に分類されるものが“土木一式工事”と“建築一式工事”この2種類で、専門工事として分類されるものが27種類あります。
詳しい内容としては、大規模な工事に伴い企画や指導を総合的に行う工事の事です。
例えばトンネルの本体工事やダム・河川工事など、大規模で複数の下請け業者によって施行する場合が、この建築一式工事に該当します。
ここで重要なポイントとして、原則として“元請け”として工事を請け負って“総合的な企画や指導”を行う場合でなければ該当しません。
と言うことは“一つの専門工事のみ”を行う場合は、該当しません。
この場合は、その工事に必要な業種の許可を取る必要がありますので、注意しましょう。
土木一式工事で申請すれば、ほとんどの工事が行える!と、みなさん勘違いしやすいポイントなので、しっかりとおさえておきましょう。
要件について
それでは許可の手続きを行う前に、必ず満たしておかなければならないものが“5つの要件”です。詳しく見ていきましょう。
1.経営の管理を行う責任者を置くこと
2.許可を受けたい業種の技術者を置く
3.契約に関して誠実性があること
4.財産的信用の基準を満たしている
5.欠格要件
【要件1 経営を行う管理責任者がいる】
ここでは経営の管理を行う責任者を置くことが必要です。
2020年10月に要件が改正され、今までは許可を受ける業種で“経営業務”を行った経験者でなければ認められませんでしたが、現在は下記のどちらかに該当すれば認められるようになりました。また管理責任者になる者は、必ず常勤である必要があります。
➀ 建設業の会社で5年以上の経営経験者(許可を取る業種以外でも可)
➁ 建設業で経営の補助として6年以上の経験者
※ここでの“経営の補助”とは、工事の施工に必要な資金調達や技術者・技能者の配置を行う
または、契約の締結(下請け業者との)を行うなど経営に関わる業務の場合は、6年以上の経験があれば認められるようになりました。
【要件2 許可を受けたい業種の技術者を置く】
ここでは国家資格者や経験がある者が専任技術者として、常勤である必要があります。
下記のうちどれか一つでも満たす者を会社に置かなければなりません。
(資格所有者)
・1級土木施工管理技士や2級土木施工管理技士(土木)
・1級建設機械施工技士などの資格所有者
(指定の学科卒業者)
・土木工学や都市工学・衛生工学・交通工学の卒業者で、その後の経験がある者
指定学科の高卒後5年以上の実務経験者
指定学科の大卒後3年以上の実務経験者
(経験がある者)
・土木工事業の経験が10年以上ある者
また一式工事は、金額が大きくなることが多いので証明する資料などは注意しておきましょう。
【要件3 契約において誠実性がある】
誠実性とは請負の契約を行う中で、その代表や役員の中に法律に反する行為を行うものがいないということが必須です。
【要件4 財産的信用の基準を満たしている】
自己資本金が500万円以上ある事、もしくは通帳に500万円残高が残っていれば認められます。
【要件5 欠格要件】
欠格要件とは、申請内容に虚偽の記載や成年被後見人、破産者などに該当しないことです。
会社の代表や事業主、すべての役員(支店長なども含む)が対象です。
申請について
申請の手続きを行うための大きな流れとしては下記の通りです。
1.事前に窓口で手引きをもらい確認する(東京都の場合は事前相談が必須です)
自治体によって手引きの内容が異なります。
2.必要な書類を収集する
3.添付書類の作成を行う
4.申請を行う
5.申請手数料を支払う
知事許可の場合は90,000円
大臣許可の場合は150,000円必要
申請先は本店所在地を管轄している担当窓口です。
また東京都の場合は申請日も予約制となっているので、そこも併せて確認を行いましょう。
許可が下りる期間
書類等に問題がなければ、知事許可の場合は1ヶ月程度、大臣許可だと3ヶ月ほどで許可がおります。
書類内容に不備が生じてしまうと、修正を行いその後再度提出する等の時間がかかります。
申請期間には余裕を持って申請しておきましょう。
まとめ
土木一式工事では、複数の業者に依頼して行う大規模な工事の際に必要となります。
土木に関連する工事なら、全てが該当するわけではありませんので注意しておきましょう。
また他の業種との違いとしては、元請けという点も重要です。内容をしっかり把握しておきましょう。
しかしながら日々お忙しい事業者様にとって、手続きを行うことは容易ではありません。
そのような場合は、専門家である行政書士までご相談ください。