建設業の許可を受ける上で、営業所の要件を満たす必要があります。
その際に「営業所には自宅を使えるのかな」「必要なものはなんだろう」と、疑問をお持ちの事業者の方もいらっしゃると思います。
こちらでは、そのような方に向けて“建設業許可の営業所の要件とは”というテーマについて詳しく解説致します。
■営業所とは?
建設業の許可における営業所とは、常に建設工事の見積もりや入札、請負契約の締結に関する実態的な行為を行なっている事務所のことを「営業所」と呼びます。
また、他の営業所に対して契約に関する指導や監督を行うなど、実質的に営業に関与する場合も営業所になります。
契約書の名義人が該当する営業所の代表者であるかは、問われません。
営業所に該当しない事務所の例として、“単なる登記上の本店や事務作業のみ行う事務所資材置き場、現場事務所や作業所”等が該当します。
よくある勘違いとして、登記上は本店となっている場合ですが、建設工事の請負契約を行わない場合は営業所には該当しませんので、注意が必要です。
また、営業所を設置する区域によって、各都道府県知事の許可と国土交通大臣の許可の区分が異なります。
■営業所の区分に関して
複数の営業所がある場合は、区分として「主たる営業所」と「従たる営業所」に分かれています。下記では、それぞれの区分に関して解説致します。
【主たる営業所】
建設業を営む営業所をまとめ、指導や監督をする権限を持つ営業所の事を“主たる営業所”といい、主に本社や本店等の事を指します。
許可を受ける上で、必ず1か所は営業所を置かなければなりません。
ただし、上記の項目で解説致しましたように、建設工事の請負契約等を行っていない単なる登記簿上の本店等は、主たる営業所には該当しませんので注意が必要です。
主たる営業所には、経営業務の管理責任者と専任技術士が常勤である必要があります。
【従たる営業所】
主たる営業所以外の営業所の事を“従たる営業所”といい、支社や支店等の事を指します。
従たる営業所には、建設業法令3条の使用人、支店長等の営業所の代表者と専任技術者が常勤である必要があります。
■営業所の要件に関して
営業所と認定されるためには、下記の営業所の要件を満たす必要があります。
下記では、営業所の要件について東京都の手引きを例に解説致します。
①外部からの来客があり、建設工事の請負契約締結などの実質的な業務を行なっていること
②固定電話や机、各種事務台帳等を備えていること
③応接室等、契約の締結等が出来るスペースがあり、居住部分や他の法人や個人事業主の事務所等と間仕切り等で明確に区分けされていて、独立性があること
※自宅兼業の場合は、居住スペースと分かれている必要があります。
④営業用の事務所として使用権限があること
※建物は自己所有の建物か、又は賃貸借契約等を結んでいる必要があります。
住居専用契約(都営住宅やUR都市開発機構等)の場合は原則として認められません。
⑤標識や看板等を表示して、外部から建設業の営業所である事がわかるようにすること
⑥経営業務の管理責任者、又は建設業法令3条に規定する使用人、支店長等が常勤であること
⑦専任技術者が常勤であること
上記で解説致しましたような、営業所の要件を満たす必要があります。
また、営業所の要件は各都道府県の行政庁によって異なりますので、事前に手引き等で
確認することが必要です。
■確認書類に関して
営業所の要件を満たしているか確認をするために、下記の書類が必要となります。
①営業所の電話番号確認資料(名刺や封筒のコピー等を提示)
②営業所の所在地付近の案内図
③営業所の写真・・・3ヶ月以内に撮影したもの
※建物の全景や建物の入り口、看板、事務所の内部等を撮影した写真が必要です。
④営業所の使用権限を有していることを証明する書類
法人の方で、登記簿上の所在地以外に営業所がある場合や個人事業主の方で住民票上の住所以外に営業所がある場合は、下記の書類が必要となります。
(自己所有の場合)
下記のいずれかの書類が必要となります。
・建物の登記簿謄本・・・発行後3ヶ月以内のもの
・建物の固定資産物件証明書、または固定資産評価証明書・・・発行後3ヶ月以内のもの
(賃借の場合)
・建物の賃貸借契約書の写し・・・使用目的が事務所用、または店舗用であること
※住居用の場合は、貸主の承諾書を添付する必要があります。
上記のような確認書類や添付写真が必要となります。
また、各都道府県の行政庁によって、求められる書類が異なる場合があるので、事前に手引き等で確認を行いましょう。
■まとめ
今回は、“建設業許可の営業所の要件とは”というテーマについて解説致しました。
建設業の許可を受けるためには、営業所の要件を満たす事は大切な要件の一つになります。
建設工事の請負契約等の実態的な行為を行っていないと、営業所とは認定されないので、事前に手引きを確認し、必要な書類の準備や要件を満たす事が必要です。
また、各都道府県の行政庁によって、要件が異なる場合があるので注意が必要です。
建設業許可に関することでお困りの方は、一度、専門家である行政書士にお気軽にご相談下さい。