建設業を経営しているが、事業拡大のため合併しようと思っている。または、合併して業種の幅を広げていきたい。と、このように合併をお考えの方もいらっしゃるでしょう。
しかしながら、皆さんが一番気になる部分が“取得していた許可はどうなってしまうの?”という所だと思います。
こちらではそのような方に向けて、会社が合併した場合の建設業許可の維持方法について、詳しく解説致します。
合併をお考えの方やお悩みの方にとっても、今回の記事を読むことで、理解を深め少しでも今後につながるヒントとなるよう見ていきましょう。
合併にはどんな種類があるの?
まず初めに合併には“吸収合併”と“新設合併”の二種類があり、合併の仕方によっては、今後建設業許可の取り直しという事が出てきてしまいます。詳しく見ていきましょう。
・吸収合併・・・二つの会社で合併を行う際に、一つの会社を消滅させて、残りの会社に吸収させて存続する方法。
・新設合併・・・二つの会社をどちらも消滅させて、その代わり新たに会社を設立して、全てを統合させる方法。
このように合併には二種類あるのですが、どちらが良いのだろうと感じるでしょう。
結論から申し上げますと、許可を維持するためには“吸収合併”でなければなりません。
仮に新設合併を行うと、一度会社自体をどちらも消滅させるので、それぞれ取得していた業種の許可などは、全て無効となってしまいます。
そうなると新たに会社を設立した際に、また一から建設業許可を取得しなければならない。というような事になってしまい時間もお金もかかってしまいます。
しかしながら吸収合併では、今までは存続会社の建設業許可などは継続されなかったのですが、法律改正に伴い、事前に認可を申請しておけば、そのまま維持することが出来るようになりました。
これは建設業界の中でも、大きなメリットがあると言えるでしょう。
改正後の内容について
それではまず、改正された内容について見ていきましょう。
今までは、吸収合併時に許可の継承は認められませんでした。
そうなると、合併する側が持っていた許可は自然と消滅してしまい、新たに吸収合併してからじゃないと、建設業の許可を申請することができませんでした。
これは大きな問題であり、なぜなら許可が下りるまでの期間が、知事免許であれば約1~2か月。
大臣免許だと4か月はかかります。
この許可が下りるまでの期間は、もちろんですが許可未取得業者となってしまうので、500万円を超える工事を請け負うことはできません。
建設業者にとっては、大きな痛手となっていたでしょう。
しかしながら建設業の働き方改革や、円滑に事業継承を行うことができるように、法律が改正され、事前に認可を申請しておけば、許可をそのまま維持することが可能となりました。
この際に合併する側の会社は、廃業届を出す必要があります。
それでは合併した場合でも、許可を維持することは理解できましたので、次項では合併時に必要なものや許可の有効期限・許可番号等について詳しく解説致します。
合併に必要なもの
会社が合併することが分かったら、まず事前に許可行政庁(都道府県知事・国土交通大臣)に、“認可”を申請しましょう。
この際に必要となってくる書類などは、下記の通りです。
(認可に必要な書類)
・合併に関わる契約書の写し
・合併方法や、条件が記された書類など
・株主総会の決議録など
必要な書類は自治体によって異なりますので、必ず事前に担当窓口で確認してから合併の認可申請を行いましょう。
また前提として、合併される側の会社は“建設業許可の要件”をすべて満たしていなければ、許可を維持することはできませんので、そこも併せて注意しておきましょう。
許可番号はどうなるの?
基本的には、許可番号はそのまま引き継ぐことも可能です。
または、合併される側が建設業者であれば、既に持っている許可番号を使用することも可能です。
どこまで引き継がれるのか
今回の改正に伴い、許可の継承は“全ての許可を継承するもの”となっていますので、一部の業種のみを合併により維持したい場合は、一度廃業手続きを行い、新たに許可を取りなおす必要があります。
また経営事項審査の結果や、監督処分を受けたことがある場合は、これらも許可として引き継がれますので、注意しておきましょう。
有効期限
事前に申請した許可が下りたら、有効期限の日付は許可が下りた日と思ってしまいますが、合併した場合の許可の有効期限は“会社が合併した日”の翌日から5年間が有効となります。
間違いやすいので、注意しておきましょう。
まとめ
今回は会社が合併した場合の、建設業許可を維持する方法について解説致しました。
法律が改正され、許可を引き継ぐことが可能となった事は、建設業において大変大きな変化とも言えるでしょう。
しかしながら許可を維持すると言っても、許可に必要な要件をすべてクリアする、書類を作成するということは必要です。
何か建設業許可のことでお困りの際は、専門家である行政書士まで、お気軽にお問い合わせください。