建設業を営んでいるけど、建設業の許可を取るタイミングだと金融機関からの融資を受けやすくなるの?
その答えとしては、「建設業の許可」を取得した後であれば金融機関からの融資審査が通りやすくなる可能性は大きいと言えます。
建設業だけではなく、会社を経営、事業を運営していくうえで、資金調達の手段として金融機関からの融資を受ける場面もでてくるとおもいます。
特に建設業界というものは、特殊な業界で、経理上多額の売掛金が発生します。建設業の仕事をしたとしても、毎月毎月お客から入金があるわけではなく、工事の完成をもってようやく入金されるということが多いので、他の業種に比べて資金負担も長期にわたります。他の業界と比べても圧倒的に資金繰りが大変になると思います。
そのため、銀行からの融資は、運営資金の調達には有効な方法であることは間違いないのですが、実際に資金を融資する金融機関側も融資審査には慎重になります。
特に小さな建設業者だと、本当に建設業で成り立っているのか、今後の売上の見通しや、実際に融資した資金が、その目的通りに使用されているのかを厳しく審査してきます。
その際に「建設業許可」を取得していた場合、取得していない業者と比べても圧倒的に金融機関からの評価が上がり、融資を受けやすくなります。
ですから、建設業において金融機関からの融資を受けやすくなるタイミングとしては、「建設業許可」を取得した時以降だと思います。
なぜ「建設業許可」はそんなに信用がおけるものなのでしょうか?
それには下記の様な理由があります。
1.建設業許可は国や都道府県が認めた許可であるから。
建設業許可には「都道府県知事許可」と「大臣許可」というものがあります。
「都道府県知事許可」というものは、各都道府県知事に申請をし、許可を得るものですし、「大臣許可」は国土交通大臣から許可を得るものです。
しかも、その許可申請には、様々な条件をクリアし、財務的にも健全な会社でないと許可を得ることができません。
金融機関としては、建設業許可を取得した会社は、国や都道府県の厳しい審査をクリアした会社であるという評価から「建設業許可をもっている業者」の評価も上がるということだと思います。
2.建設業許可を取得すると大規模な工事を行えるようになるから。
建設業許可を持っていない建設業業者は1件あたりの請負代金が500万円未満の小さな工事しかすることができません。
建設業許可を取得すると、1件当たりの工事請負代金が500万円以上の工事をすることができるようになるため、建設業許可を持っている会社の方が、売り上げを伸ばせる可能性が高いということがあります。
またその建設業者が、仮に500万円未満の下請工事しかしないような業者であったととしても、最近の建設業界では、建設業許可をもっていない業者は下請けとして使わないとか、現場に入れないというような風潮にもなってきています。
そのため、建設業許可を持っていない業者は次第に淘汰されてしまう可能性もあり、その意味でも建設業許可を取得している会社は安定性としての信用度が違ってきます。
また、国や都道府県、市区町村から発注される「公共工事」を受注できるのは、建設業許可を取得した業者のみになります。
公共工事は、建設業許可を持っている業者が経営審査を受け、入札に参加してようやく受注できるものになります。毎年安定した公共工事の受注があるということは経営の安定性にも大きく寄与します。
3.会社の健全化が図れるから
建設業の許可は一度取得したら終わりではなく許可に有効期限「5年」というものがあります。そのため5年に1度更新の手続きを行う必要があります。
また、この更新申請を行える前提として、毎年事業年度が完了した際に、国や都道府県に対して「決算変更届」や「事業年度終了届」という決算報告の様な届け出を行う必要があります。この届出を毎年毎年行わないと、5年後の更新手続きをすることができません。
当然毎年の報告の際に何かしら違法性があれば、注意を受けますし、それが続けば行政指導を受ける可能性もあります。
そのため通常は、国や都道府県が、毎年その会社の状況を確認してくれているという安心感もあります。
建設業許可を取得するためには、色々な条件をクリアし、その立証資料などを収取し、申請をするので、手間はかかります。また許可を取得したあとも、行政側の管理下に置かれます。面倒なことも多いといえば多いですが、だからこそ建設業の許可を取得した業者は金融機関からの評価も上がり、融資を受けやすくなるということが言えます。