一言で建設工事といっても様々な工事があります。例えば、近年では東京オリンピックに向けで、新国立競技場を新たに建設したり、選手村を確保するために東京の晴海地区が再開発されたり、大掛かりの物もあれば、自分の家のキッチンやお風呂場をリフォームする小規模な物まであります。
これらは、規模の大小はあれど、全て「建設工事」になります。
「建設工事」を大きく分けるとまず2つの種類に分けられると思います。
「公共工事」と「民間工事」について
「公共工事」と「民間工事」の違いは大元発注者がだれなのか?により違いがでます。
例えば、先ほどの新国立競技上の場合の発注者は国になり、自宅のリフォームの場合はその戸建住宅の所有者といういち個人が発注者になります。
つまりは「国や地方自治体」が発注する工事がいわゆる「公共工事」で、1個人や一般的な民間企業が発注する工事が「民間工事」になります。
「公共工事」であれ、「民間工事」であれ、建設業法という法律で定められたある一定の
工事を除いては、工事を行うのに建設業許可が必要になります。必要な許可を取らずに工事を行ってしまった場合は罰則を受けることになります。
では、建設業許可が要らない工事とはどういうものなのか?
それは「軽微な工事」というものになります。
「軽微な工事」であれば「公共工事」でも「民間工事」でも建設業許可を取ることなく工事を行うことができます。
建設業許可がいらない軽微な工事とは? 一体どんな工事なのか??
その点を解説していきたいと思います。
まず、建設業法上の「軽微な工事」の定義としては、下記2点が規定されています。
①1件の工事請負金額が500万円に満たない工事
②ただし、建築一式工事(総合的な企画・指導・調整のもとに建築物を建設する工事)については請負金額が1500万円未満に満たない工事、または延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事
と規定はされています。
もっと要点だけまとめると、
・150㎡未満の木造住宅工事
・1500万円未満の建築一式工事
・それ以外の500万円未満の専門工事
という三点に該当する工事が「軽微な工事」とされています。
「建築一式工事?」「専門工事??」それってなんだ??との疑問もあるかと思います。
詳細に関してはここでは割愛しますが、要点だけ言うと、
建設業には、工事の内容によって「一式工事」と「専門工事」の2種類に分かれる、「一式工事」は「土木」と「建築」 の2種類で、「専門工事」は「内装」や「大工」「電気」など27種類に分かれます。
「一式工事」はゼネコン等の下請企業を多く使う建設会社が取得している許可で工事の企画や指導、調整を行う工事になります。
「専門工事」は各々の専門工事を請け負う下請け業者が取得しているものになります。
例えば1棟の住宅を新築する場合には、「建築一式」の許可を持っている建設業者が元請になり、「内装」や「電気」等の専門工事を行う下請け企業に対して、工事の差配をするようなイメージです。
1500万円って一般的にはすごい金額のように思えますが、建築物を1棟建てるのには通常もっと高額になるという理由から1499万円の工事でも「軽微」とされてしまいます。
また延べ面積150㎡未満の木造住宅の工事の場合は、仮に2000万円の工事であっても「軽微な工事」に分類されます。
木造住宅工事の場合は請負金額基準ではなく、延べ面積基準になります。
あとは「専門工事」の場合は、500万円未満の工事であれば、すべて「軽微な工事」となります。
まとめると、「500万円未満の専門工事しかやらない業者」「150㎡未満の木造住宅工事しかやらない業者」「1500万円未満の一式工事しかやらない業者」この方たちは「軽微な工事しかやならい業者」になりますので、建設業許可を不要になりますし、そのような工事が「建設業許可がいらない軽微な工事」になります。
ここまで「軽微な工事」について解説をしてきましたが、実務的によく問題になるのが、「1500万円未満、500万円未満」の工事請負代金の考え方です。
まず、「1500万円未満」「500万円未満」というのは、消費税込の価格です。
消費税を含んで、その金額未満にしないと、「軽微な工事」とはいえない工事になります。
「軽微な工事」でない場合は建設業許可がなくてはできません。
次に、工事の注文者から工事に使用する材料・建材を提供された場合は、その価格も含めます。仮に無償提供された場合には、その材料や建材の市場相場価格や運搬費用なども含めて「1500万円未満」「500万円未満」にならないと「軽微な工事」とは言えません。
また、同じ建築物に対する工事の請負金額を分割したとしても、それは合算した金額が基準価格になります。
以上が軽微な工事の説明になります。
「公共工事」であれ「民間工事」であれ、「軽微な工事」に該当しない建設請負工事には建設業の許可が必要になります。