人を雇用する際、雇用する側としては、社会保険などの保険は手続きが面倒そうだし、入っていなくても特に罰則がないのなら入りたくない、そうお思いの方も多いのではないでしょうか?
しかし、世間の法令順守の意識の高まりには目をつむってはいられません。
そこで、ここでは建設業許可取得のために本当に労働保険加入が必要なのか?という点について解説をしていきます。
雇用保険の加入は要件
結論から言うと、雇用保険の加入は建設業許可取得のために必要な要件です。
建設業許可取得のための要件の一つとして、「建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者」というものがあります。
これは、建設業の事業の経営についてその経営管理能力がある人が常勤役員でいないといけませんというものなのですが、その一部として、
(2)適正な社会保険への加入
というものが含まれています。
社会保険?それなら健康保険と年金だけ会社で加入しておけば良いんじゃないの?と思ったかもしれませんが、いいえそんなことはありません。
雇用保険も加入が必要となっています。
ちなみに、許可申請の際に必要な書類は、次のとおりとなっています。
①健康保険等の加入状況の届出書
+
②申請時直前の「労働保険概算・確定保険料申告書」の控え
保険料の納入の「領収済通知書」のコピーとなります。
or
①雇用保険被保険者資格取得等通知書(事業主通知用)
or
②雇用保険適用事業所設置届 事業主控(受付印あり)
(健康保険等の加入状況の届出書様式)
ここまでで雇用保険の加入が必要、ということはおわかり頂けたことと思います。
しかし、そもそも従業員が居ない場合も自分のために加入しないといけないのでしょうか?
また、みなさんは、そもそも雇用保険・労働保険が何かご存知でしょうか?
ここからはそういった根本的な内容について話を進めていきたいと思います。
労働保険とは?
労働保険とは、労災保険と雇用保険とを総称したもののことを指します。
このうち建設業許可で要件として明記されているのは雇用保険の方ですね。
そして、労働保険は原則、労働者を一人でも雇っていれば、その事業主は加入手続きを行わなければなりません。
役員は労働者に含まれるの?と思うかもしれませんが、それについては役員は労働者には含まれません。
以下の表を参考にしてみて下さい。
|
常用労働者の数 |
雇用保険加入 |
---|---|---|
法人 |
1人以上 |
必要 |
役員のみ等 |
不要 |
|
個人事業主 |
1人以上 |
必要 |
1人親方等 |
不要 |
社会保険の場合は人数によって扱いがことなりますが、雇用保険に関してはとにかく従業員を雇ったら加入が必要、と覚えておきましょう。
では次にその加入方法です。
雇用保険はハローワークで手続きする
一口に労働保険と言っても、労災保険と雇用保険では手続きをする場所が異なります。
雇用保険に加入するためには、次の書類をハローワークに提出しましょう。
・労働保険保険関係成立届
・労働保険概算保険料申告書
・雇用保険適用事業所設置届
・雇用保険被保険者資格取得届(人数分)
・事業所の実在、事業の種類、事業開始年月日、事業経営の状況、他の社会保険の加入を証明することができる書類
【法人の場合】
①登記事項証明書
②事業許可書
③工事契約書
④不動産契約書
⑤源泉徴収簿
⑥他の社会保険適用関係書類
【個人の場合】
①事業許可書
②工事契約書
③不動産契約書
④源泉徴収簿
⑤他の社会保険適用関係書類
労働者の雇用実態、賃金支払いの状況等を証明できる次の書類を添付してください。
①労働者名簿
②賃金台帳(雇入後、賃金が支払われている場合)
③出勤簿(タイムカード)
④雇用契約書(有期の場合)
さて、ここまで読んでいかがだったでしょうか??
調べれば調べるほど、建設業許可のハードルが上がるように感じるよ、、そんな声も聞こえて来そうです。
しかし、法令違反とならないため、従業員が幸せに働けるため、事業機会を逃さないためなど、色々な必要性がありますので、雇用保険を含む各種保険には加入義務に応じて加入し、建設業許可の取得を目指しましょう。
もし、自分で書類を手配するのが面倒、もしくはそもそも出来るかわからない、要件をちゃんと満たしているのか不安、といった方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、建設業許可のサポートを専門とする行政書士に相談してみることをオススメします。