建設業許可とは、国土交通大臣若しくは各都道府県知事から貰える許可になります。建設業許可が必要なのは、1件あたりの工事請負金額が500万円以上になる工事を請負う際に必要になります。
そのため建設業許可を持っていない建設業者は請負金額が500万円未満の工事しかすることができず、会社をどんどん大きくしたいという事業主の方は建設業許可をとることで、大きな工事をすることもでき、会社の売上を伸ばすことも可能になります。
建設業の許可を取得するためには、各役所の担当窓口に申請を行うことになるのですが、申請したからと言って100%誰でも取得できるものではないです。
建設業許可は建設業法という法律に定められた様々な条件をクリアして、申請に必要な書類を不備なく揃えて提出することで、初めて申請が完了します。
2020年10月1日より建設業法の内容が改正され、建設業許可を取得するための条件も変更になりました。
変更点はいくつかあるのですが、その中で健康保険や社会保険が実質義務化され、それらに加入していなければ建設業許可を取得できないようになりました。
これから新規に建設業許可を取得しようとされている建設事業者の方はもちろんのことですが、既に許可を取得されていて、健康保険や社保の加入していない事業者の方も次回更新時までに加入していない場合は、取得している建設用許可の更新が認められず、仕事にも多大な影響がでるようになりますので、注意が必要となります。
労災保険についてはどうなのか??
建設業許可の取得条件としては、労災保険は改正後も改正前も特に加入が義務化されているわけではありません。ただ同じ労働保険である雇用保険については加入が義務化されていますので、建設業許可の取得有無にかかわってきます。
建設業の現場は労災事故が発生しやすい業種であるがゆえ、保険関係の取り扱いが他の業種と比べても大きくちがいます。建設業の労災は、元請業者が加入する労災保険によりその元請業者の労働者や下請業者の労働者も補償されるようになります。
労災保険の手続きを説明すると
元請業者は建設工事が開始された日から10日以内に労働基準監督署に労働保険関係成立届を提出する。
元請業者は工事開始から50日以内に労働保険概算保険料申告書を提出する。
尚、建設工事は始まると労働保険関係成立届の提出の有無にかかわらず、自動的に労働保険に加入したとみなされます。加入手続きをしていない間に労災が発生した場合は、費用徴収制度というものが適用されます。
具体的には
①加入手続きについて行政機関から行政指導をうけていたにもかかわらず、事業主が加入手続きを行わない間に労災事故が発生した場合、保険給付額の100%が徴収されます。
要は医療費全額自己負担になります。
②加入手続きについて行政機関から行政指導をうけていないが、事業主が工事開始から1年を経過しても加入手続きを行わない間に労災事故が発生した場合、保険給付額の40%が徴収されます。要は医療費4割自己負担になります。
また、労災に加入した後は工事の現場に労働保険関係成立票を掲示しなくてはいけません。
労働保険関係成立票の記載内容は、
・保険関係成立日
・労働保険番号
・事業の期間
・事業主の住所・氏名
・発注者の氏名
・事業代理人の氏名
を記載します。
このように、労災保険は元請業者の義務であって下請業者まで義務化されているわけではありませんし、建設業許可の取得の有無には関係がありません。
しかしながら、発注者や元請業者の要請により、労働保険番号がない業者の現場への立ち入りを認めない現場も増えてきました。
そのため、建設業許可や法律上のはなしをする前に、現場に入れなくなる。つまりは仕事がなくなってしまう可能性もあるわけです。
また建設業界の場合、社長や事業主の方が自ら現場に立たれて現場仕事をするケースも多々あります。しかしながら原則として社長さんたちは労働保険に加入はできす、どうすればよいかお悩みの方もいるかと思います。
そのようなかたは、健康保険事務組合に加入して労災保険の特別加入制度を利用する方法があります。そうすることにより、下請業者の社長さんたちの無保険状態を解消することができ、その方たちも万が一のリスクに備えることができるようになります。
まとめると、
労災の加入は建設業許可取得の条件ではない。ただし、労災に加入していなければ、仮に建設業許可を取得していても現場に入れず、仕事がなくなる可能性もある。
というのが建設業許可と労災保険の概要と手続きの解説になります。