解体工事業登録が制度になったのは、2000年に建設リサイクル法が制定されてからです。
それまでは解体工事業に関しては建設業法での規則しかありませんでした。
こちらでは、解体工事業登録とは、どのような制度でどのような場合に必要になるのか解説していきます。
■解体工事業登録とは
建設リサイクル法(正式名称:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)(※1)で定められた解体工事を行う為に必要な登録制度です。
土木工事業、建築工事業または、とび・土工工事業に係る建設業許可を持たずに、家屋等の建築物その他の工作物の解体工事を行う場合、元請や下請にかかわらず工事対象の建造物の区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければなりません。
この登録を受ければ建設業許可を持っていなくても、工事費税込み500万円以下の解体工事を行うことができます。
事業所を置く地域、工事を行う地域、それぞれの都道府県知事の登録が必要となります。
解体工事業社が扱う工事の種類は、・戸建て住宅(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造等)
・マンション・ビル・倉庫・内装解体工事などで、解体工事といっても種類は様々、建築物の構造も違います。
(※1)建設リサイクル法とは、建築関連法と廃棄処理法の不足を補い100%適正処理を実現される為に制定された法律です。
■建設リサイクル法上の解体工事とは
建設リサイクル法の目的は上記に述べたように、建設資材のリサイクル化が目的となりますので、建設リサイクル法での解体工事には金額の幅の条件はありません。
建設リサイクル法が制定されるまでは建設業法が解体工事に関する法律でした。そこでは請負金額500万円未満の工事では特に許可が必要とされていませんでした。
しかしながら、建設リサイクル法が制定されてからは請負金額が500万円未満の工事の場合でも、建設リサイクル法上の解体工事業登録が必要な場合があります。
では、どのような工事の場合に必要なのでしょうか?
以下で見ていきましょう。
■解体工事業登録が必要な解体工事とは
建物自体を支える構造部材全部、または一部を取り壊す・除去する工事に当てはまる工事です。これには、建物の床面積を減少させる工事も含まれます。
工事の内容と種類、理由の詳細は以下です。
① 建築物の全てを対象とし、解体する工事
種類:解体工事
理由:建築物の全てにおいて、その働きをなくす工事なので届け出が必要になります。
② 建築物の一部のみを対象とし、解体する工事
種類:解体工事
理由:建築物の一部において、その働きをなくす工事なので届け出が必要になります。
③ 屋根版全ての交換
種類:解体工事と新築工事
理由:屋根版は建物自体を支える構造部材である為、屋根全体または一部でも交換する工事は解体工事と新築工事となります。
この様な工事には請負金額に関係なく解体工事業登録が必要となりますが、解体工事業登録が必要のない工事のケースもあります。
次には解体工事業登録が必要のない工事のケースを述べていきます。
■解体工事業登録が必要のない解体工事とは
建物自体を支える構造部材の取り壊しにならない、または取り壊す床面積がゼロとみなされる、もしくは付帯工事とみなされる工事です。
① 曳家
理由:建物自体を支える構造部材である基礎から上屋を引き離しますが、建物を解体はせずにそのままの形で移動、また仮設によって支えられており曳家を行っている間も建築物として働きがある為修繕・模様替え等として扱われます。
② 壁の取り壊し
理由:壁は建物自体を支える構造部材ではありますが、壁の床面積を割り出すことが出来ない場合には、これをゼロとすることができます。
壁のみを除去する工事であれば登録は不要です。
③ 設備工事をする際の付帯工事として壁にスリーブを抜く工事
④ 設備工事の付帯工事として床版のスリーブを抜く工事
理由:付帯工事として目的があれば登録不要です。
⑤ 屋根ふき材の交換
理由:建物自体を支える構造部材ではないので登録は不要です。
⑥ ⑤の工事で屋根版が腐敗している等の事情で交換しないと屋根ふき材の交換が出来ない場合
理由:屋根版は建物自体を支えますので、それを交換する工事は解体工事とみなされ解体工事業登録が必要ですが、屋根ふき材の交換の付帯工事の目的があれば解体工事業登録は不要となります。
■まとめ
解体工事業登録がどのような場合に必要になるのか、解説していきました。
冒頭でも少し述べましたが、建設リサイクル法が制定されるまでは解体工事業に関しては建設業法での規則しかなく、無許可の業者が解体工事をして乱雑な工事が問題となっていました。
解体工事業登録を取得せずに解体工事業を行うと、罰則もありますので注意が必要です。
解体工事業登録が必要かもと思われた事業主様は、違法行為をしてしまう前に解体工事業登録に詳しい行政書士に一度ご相談されることをおすすめいたします。