近年建設ラッシュに伴い、解体工事もラッシュを迎えています。
会社に勤めていたけれど独立を考えている方、建設業から解体業へ業種変更をお考えの方もいらっしゃるかと思います。しかしながら、一人親方でも解体工事業登録ができるのか不安に思われる方は多いのではないでしょうか。
そのような不安を抱えている方に向けて、こちらでは一人親方でも工事業登録はできるのかについて詳しく解説していきます。
■一人親方と個人事業主の違い
まず初めに一人親方と個人事業主の違いを述べていきます。
・一人親方
労働者を雇用しない(家族の手伝いは別)
事業を単独で行う
給与支払いをしない
・個人事業主
法人ではないが、個人として事業を行う
労働者を雇用している
給与支払いが発生している(家族であっても)
一人親方と個人事業主には、この様な違いがあります。
たまに、一人親方でも色々な申請をすることは出来るのだろうか。と疑問に思われる方もいらっしゃいますが、一人親方も事業主には変わりないので申請要件を満たすことが出来れば様々な申請や、保険の加入などもできます。
では、その中でも解体工事業登録の申請の仕方を以下で確認していきましょう。
■一人親方も解体工事業登録の対象
建設リサイクル法によって、解体工事業に対する制度ができました。
解体工事業登録は取得すると請負金額500万以下の解体工事を請け負えるようになります。
もちろん一人親方も申請対象です。申請要件を満たすことが出来れば取得可能です。
■解体工事業登録の概要
解体工事業登録とはどのような登録制度でしょうか。
建設リサイクル法によって定められ、請負金額に関係なく解体工事をする際には必要となる登録制度です。
登録は、各都道府県の知事に申請し登録を受ける必要があります。
■解体工事業登録に必要な要件
まずは、申請するにあたり必要な要件をみていきましょう。要件は2つです。
①主務省令で定める基準を満たす技術管理者を配置する
②法で定めている不適格要件に該当しないこと
この2つの要件を満たしていないと解体工事業登録は申請すらできませんので、詳しく解説します。
まずは、①主務省令で定める基準を満たす技術管理者を配置する。から説明します。
技術管理者とは、以下のいずれかの資格を保持している者です。
建設業法による技術検定 |
1級建設機械施工技士 2級建設機械施工技士(第1種または第2種) 1級土木施工管理技士 2級土木施工管理技士(土木に限る) 1級建築施工管理技士 2級建築施工管理技士(建築または躯体) |
---|---|
建築士法による建築士 |
1級建築士 2級建築士 |
技術士法による第二試験 |
技術士(建設部門) |
職業能力開発促進法による技術検定 |
1級とび・とび工 2級とび・解体工事実務経験1年 2級とび工・解体工事実務経験1年 |
※国土交通大臣の登録を 受けた試験 |
合格者 |
※全国解体工事事業団体連合会が実施している、解体工事施工技士試験のことです。
以下のいずれかの解体工事実務経験がある者
区分 |
年数 |
国土交通大臣が実施した講習 または、登録を受けた講習を受講した場合の実務経験年数 |
---|---|---|
大学、高等専門学校において土木工学等に関する学科を修了した者 |
2年以上 |
1年以上 |
高等学校、中等教育において土木工学等に関する学科を修了した者 |
4年以上 |
3年以上 |
上記以外の者 |
8年以上 |
7年以上 |
この要件に一人親方の貴方が満たしていないと、解体工事業登録は取得できませんので申請書類を作成する前に必ず確認してください。
では次に②法で定めている不適格要件に該当しないこと。を説明します。
不適格要件の一部が、以下になります。
・不正(登録申請者及び、添付書類に虚偽の記載など)手段により、登録を受けた者
・暴力団員でなくなった日から5年以上経過しない者
・暴力団員等が、その事業活動を支配している場合
・技術者管理者を選任していない場合
2つの要件を満たしているのならば、解体工事業登録の申請ができます。
■解体工事業登録の申請の仕方
申請書は各都道府県のHPからダウンロードできます。申請手続きで一番大変なのは書類作成です。
【申請書類】
・解体工事業申請書
・誓約書
・専任技術者の資格を確認する書類(一人親方本人の資格、または実務経験証明書です)
・登録者の調書
【添付書類】
・住民票
・事業所の所在地が確認出来る書類
上記の申請者の住民票とは違う住所に事業所がある場合に用意します。
賃貸の場合は、賃貸契約の写し。自己所有の場合は、建物登記簿謄本です。
申請書類が全て揃ったら、事業所がある自治体の窓口に持参し提出します。
ほとんどの自治体は郵送での申請を認めていないので、現状では持ち込みが原則となっています。本人確認証も併せて必ず持参しましょう。
全国の自治体の申請手数料は、新規33,000円がほとんどです。
東京都の手数料のみ高く45,000円です。手数料は都道府県により違いますので必ず確認してから申請提出するようにしましょう。
■まとめ
一人親方でも解体工事業登録は取得できます。
こちらでは取得に向けた要件と、必要な書類作成、申請の仕方を解説していきました。
個人、法人、一人親方であっても、工事を請け負うには信用がとても大切です。
解体工事業登録を取得している事が社会的信用に繋がりますので、一人親方でも解体工事業登録の取得をお勧めいたします。
申請書類の作成や提出する書類などに不安を感じた方は、専門家である行政書士にお気軽にご相談下さい。