これから解体工事業を始めようと思われている方には、解体工事という言葉で表されるだけの意味と、本来必要な条件で行える工事のイメージではかなりの差が出てくるかと思われます。その際にどれくらいの金額の工事が請負えるのか、疑問に思われる方は少なくないのではないでしょうか。
こちらでは、そのような方に向けて、解体工事業登録をした際に請負金額について詳しく解説していきます。
解説を通して、自分が請け負いたい工事に何が必要になってくるのか参考にしていただければと思います。
■解体工事に必要な制度とは
解体工事を請け負うには、建設業許可と解体工事業登録という二つの制度が必要です。
どちらか一つでも取得すると解体工事を請け負うことが出来るのですが、請け負える工事に違いがあり、根拠となった法律の違いがあり目的が異なります。
①建設業許可は、建設業法です。
建設業法とは、1949年に制定。建築を営む29種の業種に適用される法律です。
「建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、
建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を
促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。」(引用元;建設業法第1条)
要するに、手抜き工事や中抜き工事をさせない為の法律です。
②解体工事業登録は、建設リサイクル法です。
正式名称は建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律です。
2000年に制定。建設資材の分解、リサイクル及び、適正な廃棄処理を図る為の法律。
正式名称の名の通り、建築関連法と廃棄処理法の不足を補い100%適正処理を実現される為に制定された法律です。
■2つの制度では請負金額に違いがある
上記で述べた建設業許可と解体工事業登録では、請け負える金額に違いがあります。
①建設業許可では、解体工事の請負金額税込み500万円以上の中規模から大規模の工事が請け負えます。
また建設業許可を取得すると全国各地で工事が行えるようになります。
②解体工事業登録では、解体工事の請負金額税込み500万円未満の小規模の工事が請け負えます。
また解体工事業登録では、事業所と工事を行う現場への自治体に申請が必要です。
この請負金額の違いには、解体工事業登録の根拠となった建設リサイクル法が関わっています。
建設リサイクル法では、解体工事を請け負う為には請負金額に関係なく解体工事業登録が必要とされるからです。
不法投棄などを行う不正な解体工事業者を取り締まる為に、制定された法律と言えます。
■請負金額の注意点
解体工事業登録で請け負える工事は請負金額500万円未満と述べましたが、この金額はほとんどの個人住宅などの解体工事にあたる金額になります。
この請負金額の上限があることによって工事の幅が決まってきますが、契約上の注意点があります。
例えば、元請けの会社から500万円以上の工事を下請けした際に契約書を分けて提示された場合です。
契約書の内容は解体工事なので同じになりますが、契約書を分けたことで記載されている請負金額は500万円未満になっています。確かにこの契約条件であれば解体工事業登録だけでも請け負える工事となりますが、工事内容は同じ解体工事なので一連の工事とみなされます。
元請けの会社から契約書を分けて提示されたとしても、解体工事業登録しか受けていない会社が請負金額500万円以上の工事をしたと発覚した場合、厳しい行政処分が下されます。
契約上の請負金額が500万円未満でさえあれば良い、という訳ではありませんので高額な工事を請け負う際は注意が必要です。
■まとめ
解体工事業登録の請負金額について解説していきました。いかがでしたでしょうか。
解体工事業を始める際に参考にしていただけたらと思います。
どのような工事をしたいかで必要になってくる申請の違いはなんとなく分かってはいたけれど、請負金額でここまではっきりと分かれているのは知らなった方もいらっしゃるかと思います。
そもそも建設リサイクル法は不法投棄や廃材の再利用への環境改善の為に制定されましたが、モラルの低い解体工事業者の取り締まりの為に制定されたとも言われます。
不法投棄や乱雑な解体工事を行う様な業者を減らす為に、建設リサイクル法で定める解体工事には請負金額に下限がありません。
社会的な信用問題になりますので、今後の事業の為に解体工事業登録の取得に悩まれている事業主様は、ぜひ一度専門家である行政書士にご相談下さい。