電気工事業で独立開業する際に必要となってくる電気工事業登録。登録するにあたり、電気工事業の実務経験は問われるのだろうかと疑問に思っている方もらっしゃるのではないのでしょうか。実務経験が必要な場合とそうでない場合の違いは何なのか。結論から申し上げますと第二種電気工事業者を「主任電気工事士」として設置する場合は実務経験が必要です。
こちらでは、電気工事業登録には実務経験が必要なのかについて解説していきます。
■電気工事事業登録の種類について
電気工事業登録には「登録」と「通知」があります。
「登録」=一般用電気工作物、もしくは一般用・自家用電気工作物を扱う電気工事業者 ①登録電気工事業者(建設業の許可「無」の場合) 「通知」=自家用電気工作物のみを行う電気工事業者 ③通知電気工事業者(建設業の許可「無」の場合)
②みなし登録電気工事業者(建設業の許可「有」の場合)
④みなし通知電気工事業者(建設業の許可「有」の場合)
「登録」と「通知」の大きな違いは、一般用電気工作物を扱うかどうかです。
一般用電気工作物を扱う場合は、営業所ごとに「主任電気工事士」の在籍が義務付けられています。
その「主任電気工事士」として認められる際に実務経験が必要となってくる場合があります。
次は、「主任電気工事士」の要件に着目して、詳しく説明していきます。
■「主任電気工事士」とは
電気工事業法では、一般用電気工作物に関わる電気工事を行う営業所ごとに「主任電気工事士」を設置しなければならないと定められています。
主任電気工事士の要件には2種類あり、
①「第一種電気工事士」の免状の交付を受けている
②「第二種電気工事士」の免状の交付を受けた後3年以上の実務経験がある
どちらかを満たせば「主任電気工事士」と認められます。
※第一種電気工事士…一般用電気工作物に加え、自家用電気工作物の工事も施工できる
※第二種電気工事士…一般用電気工作物のみ施工ができる
もし、第二種電気工事士をお持ちの方を主任電気工事士とする場合には、免状の交付を受けた後3年以上の実務経験があるという証明が必要です。
この「3年以上の実務経験の証明」という要件が結構大変です。なぜなら、この実務経験は「電気工事者として登録を受けている会社で働いていたこと」を求められるからです。
ですので、電気工事業の実務経験が3年以上あっても、その会社が電気工事者として登録を受けていたい場合は「主任電気工事士」の要件に当てはまらないのです。また、実務経験として認められない工事がある点も注意しなければなりません。
■実務経験として認められない工事
次の工事は実務経験から除かれますのでご注意ください。
①軽微な工事
※ここでいう「軽微な電気工事」とは電気工事士法にあたらないとされる電気工事になります。
【具体例】
・電圧600V以下の差込み接続器、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼット、その他接続器または電圧600V以下のナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチその他の開閉器にコードまた、はキャブタイヤケーブルを接続する工事
・電圧600V以下の電気機器(配線器具を除く。以下同じ)または電圧600Vの蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む。以下同様)をねじ止めする工事など
②特殊電気工事(「最大電力500キロワット未満の需要設備」におけるネオン工事、及び非常用予備発電装置工事)
③電圧5万ボルト以上の架空電線路の工事
④保安通信設備工事
⑤電気設備の基礎工事、電柱のみの設置工事
⑥電気設備の設計や検査のみの業務で電気工事の施工を伴わない業務
■まとめ
これを読んで、電気工事業登録に必要な実務経験について理解できたのではないでしょうか。
自家用電気工作物のみを扱う場合には実務経験証明書の提出は求められませんが、一般用電気工作物を扱う場合には「主任電気工事士」を設置しなければならず、第二種電気工事士の資格を持つものを「主任電気工事士」とする場合には3年以上の実務経験があることを証明しなければなりません。
実務経験の証明書を準備するのは想像以上に大変です。働いていた会社に実務経験証明書の印を押してもらえず手続きが進められないといったケースもございます。
業務をやりながら必要な書類を調べ、作成するというのは、忙しい事業主様にとっては難しい話だと思います。
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