電気工事業登録について調べてみると「みなし登録電気工事業者」というものをよく見るが、電気工事業の「登録」と「みなし」ではどのように違うのか。
よく分からずにお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。こちらではそのような方に向けて「みなし電気工事業登録」について詳しく解説していきます。
■みなし登録電気工事者とは
建設業の認可を受けている、一般用電気工作物のみもしくは一般用・自家用電気工作物を扱う業者は、電気工事業を始めた際に遅れる事なくこちらの電気工事業開始届出書を提出しなければなりません。
※主任電気工事士の設置が義務づけられている
※電気工事業の更新は不要(但し登録内容に変更があった場合には変更届の提出は必須)
■建設業許可を受けているだけでは電気工事が行えないのか
建設業許可を受けているのに、なぜ「登録」を受けなければいけないだろうかと疑問に思う方もいらっしゃることでしょう。建設業許可を取得していれば電気工事業の「営業」はできるので、元請で他の業者に下請けとして出すだけなら、または、国家資格の保有がなくとも施工ができる「軽微な工事」をおこなうのみならば問題はございません。しかし一般用電気工作物・自家用電気工作物を実施工する際には「登録」を受けなければなりません。
「建設業許可」の要件と「電気工事業登録」の要件に着目して、理由を説明していきます。
■建設業許可とは
「建設業」とは、建設業法に規定する建設工事(29種類)にある工事の完成を請け負う「営業」の事を言います。つまり、建設業許可を取得すれば「営業」ができるようになるということです。
29種類の業種の1つ「電気工事業」の許可を取るための必要な要件は5つです。
電気工事業を営む業者での役員、または個人事業主の経験が5年以上あること
電気工事業に関する資格、または左官工事の実務経験が10年以上あること
誠実性があること
財産的信用の基準を満たしていること
欠格事由に該当していないこと
この5つの要件を満たしていれば、建設業(の中の電気工事業)許可を取得できます。
■電気工事業登録とは
電気事業登録の要件は2つです。
「主任電気工事士」の在籍
「必要な機械器具」を保有していること
自社で「一般用電気工作物」および「自家用電気工作物」を施工する際には、
「電気工事法」に基づいた保安の確保を証明しないといけませんので、「主任電気工事士」(「第一種電気工事士」もしくは「第二種電気工事士」を取得している方)の在籍を要件としている電気工事業登録が必要となってくるのです。
つまり、建設業許可とは別に「みなし電気工事業登録」を届け出なければいけません。
■必要な書類について
「みなし電気工事業登録」の手続きには、登録の申請に加えて、建設業許可証と主任電気工事士の証明や設備器具明細書などの提出が必要です。
【共通で提出が必要な書類例】
・電気工事業開始届出書
・電気工事士免状の写し
・主任電気工事士の誓約書
・建設業の許可通知書(コピー添付)
・建設業許可申請書の表紙(コピー添付)
【主任電気工事士が従業員の場合】
・主任電気工事士の雇用証明書
【主任電気工事士が代表者以外の役員の場合】
・主任電気工事士の在職証明書
【主任電気工事士が第二種電気工事士の場合】
・主任電気工事士等の実務経験証明書
【主任電気工事士が第一種電気工事士免状取得者の場合】
・主任電気工事士等の電気工事士免状(原本)
※、直近の定期講習会受講日が5年以内であるかどうかの確認もされます。
こちらはあくまで「例」ですので、地域によりその他に必要な書類があったり、もしくは提出しなくても良いものがあったりしますので、事前にしっかりと確認するようにしてください
■登録・申請書の提出先について
【1】一つの都道府県のみ営業所がある
→都道府県知事
【2】二つ以上の都道府県に営業所がある
(一つの産業保安監督部区域内)→産業保安監督部長
(二つの産業保安監督部区域内)→経済産業大臣
それぞれ送り先が違う為、提出の際にはご注意ください。
■まとめ
これを読んでが、「みなし電気工事業登録」についてはっきりと理解することができたのではないでしょうか。電気工事業登録の手続きには様々な要件や種類がございます。
業務をやりながら他の許認可に関して調べる時間を作るのは事業主様にとっては難しい話だと思います。そのような際は、是非、専門家である行政書士へお気軽にご相談ください。