一人親方とは、他の社員を雇用せずに、1人もしくは家族で電気工事業・建設業を営む個人事業主のことです。自分主体で働き方を選べて腕次第で正社員よりもたくさん稼げるといった利点のある一人親方ですが、果たして電気工事業登録はできるのでしょうか。
今回はこのような疑問をお持ちの方へ向けて、一人親方でも電気工事業登録はできるのかについて詳しく解説していきます。
■電気工事業登録とは
まずは、電気工事業登録について説明していきます。
電気工事を行う際には「電気工事業の業務の適正化に関する法律」に定められたとおりの登録・通知書を提出しなければなりませんが、その登録・通知の事を「電気工事業登録」と言います。電気工事業登録には4種類あり、
一般用電気工作物の電気工事も行い、建設業の許可「無」→①登録電気工事業者
一般用電気工作物の電気工事も行い、建設業の許可「有」→②みなし登録電気工事業者
自家用電気工作物のみを行い、建設業の許可「無」→③通知電気工事業者
自家用電気工作物のみを行い、建設業の許可「有」→④みなし通知電気工事業者
この通りの登録・通知をしなければなりません。
それぞれについて説明していきます。
■①登録電気工事業者
一般用電気工作物を扱い、建設業許可を保有していない場合はこの「登録電気工事業者」の手続きを行わなければなりません。登録には「主任電気工事士」の在籍と「必要な機械器具」を保有していることが要件となってきます。
※「主任電気工事士」の在籍
電気工事業法では、一般用電気工作物に関わる電気工事を行う営業所ごとに「主任電気工事士」を設置しなければならないと定められています。
※「主任電気工事士」とは「第一種電気工事士」の免状の交付を受けているまたは、「第二種電気工事士」の免状の交付を受けた後3年以上の実務経験がある方
一人親方として登録を行うには、ご自身がこの「主任電気工事士」となり、なおかつ「必要な機械器具」を保有している必要がございます。
■②みなし登録電気工事業者
建設業許可を保有している場合にはこの「みなし登録電気工事業者」の手続きを行います。
こちらも一般用電気工作物を扱うので、「主任電気工事士」の在籍と「必要な機械器具」を保有していることが要件となってきます。
また、注意して頂きたい点は「建設業許可」の要件「専任技術者」です。
専任技術者とは、営業所に常勤しなければなりません。つまり現場に行けないということです。しかし一人親方ですとこれでは現場での仕事ができません。
その場合には例外があり、①請負金額が2,500万円未満の工事であること、②専任技術者の所属している営業所で契約した工事であること、③近隣の現場であること、④営業所と常に連絡が取れること、を満たせば現場に出て工事が可能です。
■③通知電気工事業者
こちらは自家用電気工作物のみを扱うということで、「主任電気工事士」の在籍と「必要な機械器具」を保有していることは必須ではなく、「電気工事士」の資格が必要となってきます。
■④みなし通知電気工事業者
こちらも自家用電気工作物のみを扱うということなので、「電気工事士」の資格と、建設業許可を取得しているということで「管理責任者」と「専任技術者」を兼任する必要があります。(②みなし登録電気工事業者の記載をご覧ください。)
■一人親方の場合には登録・通知の要件に注意が必要!
電気工事の建設業許可を取得すれば500万円以上の電気工事を下請負行えるようになります。しかし自社で施工する場合には電気工事業の登録を行わなければなりません。なぜなら建設業許可は建設業法による許可であり、それとは別に電気工事業法による許可も必要となってくるためです。
結論を申し上げますと、一人親方でも電気工事業登録は可能です。しかし登録や通知に際して求められている要件(営業所に電気工事士がいることなど)をご自身ですべてクリアしていなければなりません。
■まとめ
これを読んで一人親方でも電気工事業登録はできるのかが、はっきりと理解することができたのではないでしょうか。電気工事業登録の要件や必要な書類、また提出先など分からない事がたくさん有ること思います。また、1度登録をしたら良いというものでなく、登録には有効期限や建設業許可の更新の際に提出しなければならない書類等もございます。業務をやりながら他の許認可に関して調べる時間を作るのは難しい、そのような際は、是非、専門家である行政書士へお気軽にご相談ください。