公共工事を直接請け負う際に、経営事項審査が必要な事は知っているが、一度審査を受ければ、それで良いのでは? なぜ、毎年のように受ける必要がるのだろう?と、思いの方も少なくありません。
今回は、そのような疑問をお持ちの方に向けて、経営事項審査は、なぜ毎年受けなければならないのか、詳しく解説していきます。
■経営事項審査の有効期限
経営事項審査には、有効期限があり、審査を受けるために必要な決算日(審査基準日)から1年7ヶ月と決まっています。
有効期限が、約2年近くあるなら、毎年受けなくても良いじゃない。と感じるでしょう。
しかしながら、経営事項審査の有効期限は特殊で、審査を受けるまでの準備期間、7ヶ月を追加してくれているのです。詳しくご説明します。
経営事項審査を受けるには、下記のような流れで行います。
1.建設業許可を取得していること
2.決算日に財務諸表を作成する
3.事業年度終了届を提出する
4.経営状況分析の申請を行う
5.経営規模等評価申請を行う
6.総合評定値通知書を受けとる
上記の流れで、審査を行ってくのですが、まず決算日から、事業年度終了届を提出するまでに、約4ヶ月かかります。
その後、経営事項審査の予約を行い、審査を受けてから、実際に手元に総合評定通知書が届くまでには、約1〜2ヶ月ほどかかります。
よって、審査に必要な期間として、大体、余裕を持って7ヶ月間必要となります。
これは、期限内に手続きを済ませたケースです。ここから、申請内容に不備があった場合、提出期限が遅れてしまったなど、遅れが出てしまうだけで、どんどん後にずれ込んでしまいます。
審査の手続きにかかる期間は、各都道府県によっても差があり、事前に確認しておくことが大切です。
■公共工事を毎年受けたいのであれば、必ず毎年審査が必要
公共工事を、直接請け負うことで、建設業者としても、その分ちゃんとした工事を依頼され、周りからも、会社としても、良い評価に繋がりメリットと言えるでしょう。
そのためには、必ず毎年、経営事項審査を受ける必要があります。
例えば、公共工事で一年を跨ぐような、大きな規模の工事を依頼されたとします。
公共工事に入札されたからといって、その時さえ審査を受けておけば良い、ということではありません。先ほど、ご説明した通り、有効期限は1年7ヶ月です。
申請にかかる期間が、7ヶ月必要となると、やはり毎年のように、経営事項審査を受けなければ、有効期限が切れてしまい、その間は工事を行うことはできません。
このような事にならない為にも、一年に一度、経営事項審査を受けることは、マストとなってくる事がわかりますね。
■有効期限が切れていた場合
経営事項審査の、有効期限が、もしも切れていた場合は、様々な支障が生じてしまいます。
➀公共工事の入札に参加する事ができない
前年度は、審査を受けていたので、公共工事の入札に参加して、仕事を請け負う事ができたが、
今年度の審査を行わなかった場合は、もちろん公共工事の入札には、参加することはできません。
経営事項審査は、数値化されて会社の評価をされるため、目で見てその会社のレベルがわかります。
公共工事だけに限らず、一般の工事を請け負う場合も、評価が高いことは、会社の価値を高く保ち続けるためにも重要となります。
➁指名停止となり、その役所から工事を受ける事ができない
例えば、有効期限が切れていた事を、うっかり忘れてしまい、そのまま公共工事の入札に参加し、依頼されてしまうと、さらに厳しい“指名停止”という処分を受けます。
これは、その役所からの公共工事を、1〜2年は受ける事ができなくなってしまいます。
また、有効期限の1年7ヶ月というのは、経営事項審査の審査が終えていれば大丈夫。という事ではありません。
あくまでも、手元に結果通知書が届いていないと、有効期限切れと見なされてしまいます。
このように、有効期限を切れた状態で、工事を続けてしまうと、後になって様々な問題が生じてしまいます。必ず毎年、決算が終了した時点で、経営事項審査の手続きを行うようにしましょう。
■まとめ
今回は、経営事項審査は、なぜ毎年受けなければならないのか、詳しくご説明しました。
公共工事を、直接請け負いたい建設業者の方は、必ず毎年、経営事項審査を受けましょう。
建設業は、年間を通してずっと、工事の依頼があるとは限りません。
審査に有効期限がある事を忘れてしまっては、今後、会社の経営に大きく響いてしまうこともあるでしょう。
毎年、必ず経営事項審査を受けておく事で、工事受注できる確率もどんどん高まり、会社としても、有利な審査と言えるでしょう。
経営事項審査について、少しでもご不明な点などございましたら、専門家である行政書士まで、お気軽にご相談ください。