建設業の許可を取得する際に、様々な書類を準備して申請の手続きを行うのですが、その中で必要となる書類の一つでもあるのが、この“発注証明書”です。
言葉だけ聞くと、契約書と似ている?発注書の事かな?と様々な疑問が出てきます。
実際に許可申請の準備を行う方で、発注証明書を準備したいが一体何を記載したら良いのだろう?発注者側にどの部分を記載してもらったらいいの?など、疑問をお持ちの方も少なくありません。
そこで今回はそのようなお悩みの方に向けて、建設業許可の申請を行う際に、添付する発注証明書とはどのようなものなのか、詳しく解説していきます。
発注証明書とは一体?
上記でもご説明しましたように、許可を申請する際に必要な書類の一つですが、この書類は必ずしも添付が必須というわけではありません。
“経営業務の管理責任者”を置くことが建設業の許可要件の一つになっていますが、その中でも経営の管理者として証明するために、いくつか資料を提出しなければなりません。
例えば、工事の請負額や発注者からの注文書などが記載されている契約書があれば問題ないのですが、様々な事情があり、契約書が手元にない事業者様もいらっしゃいます。
そのような際に、今までの工事の実績や経営状況を何で証明すれば良いのだろう?となった時に、この“発注証明書”が必要な資料のひとつになります。
その期間に工事がしっかりと行われたかを確認するための資料であり、発注者側に過去にこのような工事をお願いしましたよ。ということを証明してもらうための書類のことです。
それでは、どのようなことを記載しなければならないのか、詳しく見ていきましょう。
発注証明書に必要な事項
証明書は、基本的に各自で作成して添付しますので、書式等は決まっておりませんが、必ず記載しなければ証明書として認められない項目があります。
・工事名(工事の内容を詳しく記載すること)
・工事を行った場所
・工事の請負額を正確に記載
・工事が行われた期間(工期)
・代表者の名前・押印が必要
・発注者側の署名と押印
これらの項目を、確実に記載しておくことが大切です。
それでは一つずつ必要項目についてご説明します。
1. 工事名(工事の内容を詳しく記載すること)
工事名だけでなく、行われた工事の内容を細かく具体的に記載することが大切です。
例えば工事名としては“〜ビルの新設工事”のように、工事の名前をまず記載してからその後、工事の具体的な内容を記載すると良いでしょう。
下請け工事の場合は、その内容をしっかりと記載しておきましょう。
2. 工事を行った場所
ここでは工事が行われた場所を記載するのですが、どこで行われたのか見てすぐにわかるように、都道府県または市町村、できれば番地まで記載しておくと確実でしょう。
3. 工事の請負額を正確に記載
工事がいくらで請け負われたのか分かるように、実際に請け負った金額を税抜きもしくは、税込みで統一して正確に記載しましょう。
4. 工事が行われた期間(工期)
実際に工事が行われた期間を正確に記載することが大切です。
平成 年 月 日 〜 平成 年 月 日まで。このようにすぐに分かるような記載の仕方をお勧めします。
5. 代表者の名前・押印が必要
ここは発注者側の名前ではなく、請け負った側の代表者(請負人)の名前を記載します。
個人の場合は、個人の実印でなければ認められません。
法人の場合は法人印が必要になり、支店が請け負った場合の証明書は、支店長の押印でも認められます。
6. 発注者側の署名と押印
最後に発注者側の署名と押印が必要となりますが、ここでは必ず発注者自らの署名・押印でなければ認められません。
また押印に関しましては、実印に限りますのでそこも注意しておきましょう。
このように各項目を確実に記載することで、発注が実際に行われたことを証明する書類として認められます。
ここで一番重要なのが、この“発注証明書”に関しては必ず原本に限るという事と、必ず“請求書”とセットで提出するという事です。
また、注文書または発注書・契約書等がある場合は、コピー(写し)で良いとされていますが発注証明書の場合は、写しは認められませんので気をつけましょう。
発注証明書は、自治体によって認められない場合もございます。
必ず申請先の窓口で確認を行ってから作成しましょう。
まとめ
今回は建設業の許可申請を行う際に、必要となる発注証明書について詳しく解説いたしました。
契約書等が残っていれば問題ないのですが、過去の契約書が手元にない場合に必要となる添付書類が、発注証明書です。
今まで行った工事の契約書等を、保管していない事業者様も少なくありません。
いざ許可を取得したいと思っても、まずは書類収集から始めなければならず、かなりの期間を有して許可申請を行う方もいらっしゃるので、できるだけ大切な書類や発注書等は、過去の分も含めて保管しておくことをお勧めします。
この他にも許可申請には必要となる書類が膨大で、自分では申請できない。と不安に思う方も中にはいらっしゃると思います。
そのような際は、専門家である行政書士までお気軽にご相談ください。