農地を所有しているが、農地としては使用しておらず有効活用できていない。
農業を現在行っているが、今後は農業以外で農地を活用できないかと悩んでいる。このように、農地をうまく活用できればとお考えの方も多くいらっしゃいます。
そこで、広くて日当たりの良い農地を活用する手段として、太陽光発電がございます。
しかしながら、勝手に設置することはできず、農地転用の許可または届け出が必要となってきます。
そこでこちらでは、太陽光発電(パネル)を設置する場合の農地転用というテーマで、詳しく解説いたします。
■なぜ許可が必要?
日本の土地は狭く、農業を行っている家庭も年々減少しています。
その上、自給自足率は他国と比べるとかなり低く、食糧を作るための農地を、勝手に変えたり売ったりすると農地は減る一方で、食糧の供給ができなくなってしまいます。
このような状況にならないよう“農地法”と言う法律で規制をかけて守っています。
たとえ自分の土地であったとしても、勝手に農地の上に家を建てる・売る・貸す事はもちろん農業以外で使用する際は、必ず“農地転用許可や届出”が必要となってきます。
■太陽光発電を設置する方法
まず初めに、太陽光パネルを農地に設置する場合、方法として2パターンございます。
1.宅地に変えて太陽光発電を設置するケース
この場合、農地転用許可を行い、完全に宅地として利用するケースです。
転用許可さえおりれば農地ではなくなるので、太陽光発電所として利用することができ、その電力を売ることも可能です。
農地がある場所が、市街化区域内でしたら可能です。
2.ソーラーシェアリングとして設置するケース
この場合農業を継続しながら、並行して太陽光発電を行う場合に“ソーラーシェアリング”と言われるものがあります。
これを利用する場合、一定の条件を満たす必要があります。
・一時転用許可を行うこと(農業を行っていることが必須です)
・周囲の農地へ生産の影響がないこと
・年に1回、必ず現状の報告義務を行うこと
このように条件を満たすことができ、その上10年に一度(場合によっては3年に一度)申請を行う必要があります。
■設置できる場所
全ての農地で太陽光パネルを設置できるかというと、そうではありません。
その判断基準として、農地のある場所が関係してきます。
農地の種類としては、下記の通りです。細分化して見ていきましょう。
【農地の種類】
➀第3種農地・・・市街化区域内の農地のことです。この場合だと、ほとんどが問題なく許可されます。しかし必ず自治体の農業委員会へ、届出を提出する必要があります。
➁第2種農地・・・整備されておらず生産性の少ない、市街化に近い農地のことです。
この場合は、その農地でなければ太陽光を設置できない理由が明確でないと認めてもらえません。
➂第1種農地・・・農地の面積が、10ヘクタール以上の集団農地で、生産性も高く転用することは基本的には不可となっています。
太陽光発電を設置する場合、農地用施設の附帯施設として設置する場合は、認められることもあります。
・発電力が、農業用の最大電力を超えないこと
・ソーラーシェアリングとしての設置は認められます(許可必要)
➃甲種農地・・・市街化調整区域内の農地であり、市街化を進めたくない地域に該当しますので、基本的に転用を行うことは認められません。
しかし第1種農地と同様、付帯施設として設置する場合や、農業と並行して設置する場合は認められます。
➄農用地区域内農地・・・この場合は、市町村が農業振興地域整備計画に基づいて、農用地区域として定めている農地であるため、原則ここに該当する場合は転用不可です。
電力を売る目的では認められませんが、第1種農地と同様、付帯施設として設置する・農業と並行してシェアリングするために設置する場合は、条件を満たしていれば認めてもらえる場合があります。
どの種類に該当するのか、まずは自治体の農業委員会などに確認することをお勧めします。
また、ここまで読んで農地の種類を把握した事と思いますが、ここで注意するポイントがあります。
それが、農地として使われていない“耕作放棄地”に該当する場合です。
この場合、一見放棄された土地で農地として活用されていないので、許可は必要ないと思ってしまいますが、現状として再生可能な土地である場合は、許可が必要となってきます。
また登記簿の地目が農地以外であったとしても、現状が農地であれば同様で、許可や届出が必要です。
農地として稼働していない場合でも、必要な許可ですので気をつけておきましょう。
まとめ
今回は、太陽光発電を設置する場合の農地転用というテーマで、詳しく解説致しました。
農地がある場所によっても設置できるかは異なり、またソーラーシェアリングの場合は、一時転用を行う許可や、年に1回報告する必要が出てきます。
農地の種類によっても許可に必要な書類は様々で、自身で申請を行う場合は農業委員会へ何度か出向いて確認を行いながら、今後のスケジュールを計画していく必要があります。
しかしながら、そのような時間が作れない方や専門的なことはわからない。とお悩みの場合は、農地転用の専門家である行政書士まで、お気軽にお問い合わせください。