皆さんは生産緑地の2022年問題はご存知でしょうか。
おそらく農家の方や、農地をお持ちの方は、聞いたことがあり、2022年が訪れてしまうことを悩ましく思われる方がいらっしゃることでしょう。
こちらでは、生産緑地というのは知っているが、2022年に一体何が起こるのだろう?また、その問題自体は知っているが具体的にどのような点が問題になっているのか具体的に知りたいという方に向けて、生産緑地の2022年問題を詳しく解説いたします。
■そもそも生産緑地とは
まず、生産緑地とはという方に向けて生産緑地の説明をいたします。
生産緑地は、市街化区域内の山林または農地であり、都市計画によって指定された生産緑地地区内の農地等を生産緑地と言います。
簡単に言うと、市街化区域内の農地や山林が、農業を続けるという条件や、一定の要件を満たし、自治体に申し出をすることにより、生産緑地に指定してもらうことができ、固定資産税や相続税を軽減できる制度のことです。
もし、市街化区域内の農地が、生産緑地の指定を受けていない場合は宅地と同程度の税制を納めなければならない為、農家にとっては大変メリットのある制度です。
一方、この指定を受けていると、建築や宅地造成などが制限されるというデメリットもあるので、制度をしっかりと把握しておくことは大切です。
■生産緑地の2022年問題
この2022年と年がやたら取り上げられているのは一体どのような理由なのか説明いたします。
始まりは、生産緑地制度が改正された年に遡ります。それは1992年のことです。こちらの改正の際、多くの農地が生産緑地として指定されました。
先ほど述べた通り、生産緑地に指定されると農業を継続して行うという義務が課せられますが、その代わりに生産緑地である限りは、相続税の納税が猶予されたり、固定資産税が宅地と比べ大きく軽減されたりといった恩恵があります。
しかしながら、この改正の時に生産緑地の指定期間が決まっていたのです。
その期間が「30年間」とされていました。
つまり、お察しの通り、生産緑地制度が改正されたのが1992年でしたので、その際に多くの生産緑地が指定されました。その30年後の2022年には多くの農地の生産緑地指定が解除されてしまうのです。
継続して農業を行う、という縛りがなくなった農地に関して、所有者はそのまま農業をすることはもちろん可能ですし、農地転用を行い宅地にして売却することもできるようになります。
今まで農業をするしかなかった土地が、自由に農地転用をし、事業を起こす、または売却をすることができるようになるのです。
そうなるとどうなるでしょうか。今まで生産緑地であった土地が市場に一気に流出し、空き家が増え、土地の価格も暴落する可能性があります。
これはあくまで、一例ではありますが、生産緑地の解除によって、多様な影響が発生する可能性が大いにあると考えられています。これが、生産緑地の2022年問題です。
■2022年問題は避けられる?
政府は、この2022年問題を危惧していました。その為、実は1992年以降、生産緑地法を何度か改正しております。
特に2017年の改正によって、2022年問題を避けることができるのではと考えられております。今までは30年後の2022年には多くの農地の生産緑地指定が解除されてしまうと言われておりました。
しかし、2017年の改正では、特定生産緑地という制度が新設されました。これは、この特定生産緑地に指定されると、買取の申し出の時期が10年延長され、更に所有者がそれに同意することによりその延長を繰り返すことも可能という制度です。
この制度を利用すれば、生産緑地制度の恩恵である税制優遇は、そのまま受けることができます。
これにより、2022年に多くの生産緑地指定が解除されてしまい、市場に多くの土地が流出するということは避けられるのではという風に考えられています。
更に、2017年の改正までは、生産緑地の中に施設を作れるのはビニールハウスなどの農業に関するもののみとなっていましたが、改正後は、農産物の直売所や、農産物を使った商品を提供するレストラン等の施設を設置することも可能になりました。
その為、2022年には手放そうとしていた農家の方も、土地活用の可能性が広がったことにより、手放すことを考え直す方も増えていると推測されます。
■まとめ
こちらでは、生産緑地の2022年問題を詳しく解説いたしました。
よく聞く問題ではありますが、具体的にどういった問題なのかわからなかった方は少なくないと思われます。
生産緑地指定解除が行われるから農地転用を検討していた方も、一度特定生産緑地の指定を受けることができるか農業委員会へ確認することをお勧めいたします。
また、専門家へアドバイスを聞きたい、相談したいと言う方は、専門家である行政書士までお気軽にご相談下さい。