国や自治体が発注を行う際に必要となる入札参加資格では、ランク付けや等級が行われていますが、これは何のために行われているのかご存知でしょうか?
ただ単にランクが高いからといって、全てが良いというわけではないのです。
またランク付けされることによって、発注する側にとって良いことばかりなのでは?と感じる方もいらっしゃるでしょう。
しかしながら実は、受注する側にとってもランク付けされることで良い結果となる場合の方が大きいのです。
今回は入札参加資格の等級・ランクについて詳しく解説いたします。
■そもそも入札参加資格とは?
国や地方自治体などの公的機関が、物品や建設工事などを発注する際に、請負契約の相手となる業者を公正に選ぶために使われる審査のことです。
わかりやすくご説明しますと、国や自治体が発注するものに条件や審査がないとどうなるでしょうか?
ただ単に価格の安い業者を選んでしまうと、後々実際に工事内容を見てみると実は手抜き工事が行われていた。なんてことがないとは言い切れません。
このように価格の安い業者を選ぶのではなく、公正に客観的にその会社を選ぶことができるように作られたものが“入札参加資格審査”です。
■審査結果で格付けが行われる意味は?
入札参加資格審査結果に基づいて、ランク付けを行うことで様々なメリットが生まれます。
まずは公正な金額で受注できるようにするためです。その他にも実は金額だけがメリットではありません。
建設業では入札できる工事が、定められたランクの範囲によって決まります。
例えば、大きな工事の発注を行う際はAランクの企業にお願いする。それほど大きな工事を伴わない場合は、Cランクの企業にお願いする。というように、ランクの範囲を決めることで様々な企業に発注することができ、結果としては中小企業を守ることにも繋がります。
例えば範囲が決まっていないとどうなるでしょう?
審査結果で評価されたランクの高い企業ばかりが、公共工事を受注することができ、中小企業は受注することができず、廃業という危機が訪れるなんてことも考えられます。
このような問題を防ぐためにもランク付けを行い、範囲を定めることでそれぞれの会社にあった仕事を受注できるようになりました。
■入札参加資格の格付け制度とは?
入札参加資格は、業種ごとにランク付けが行われるのですが、一般的には “客観的事項”と
“主観的事項”この2つの審査結果をもとに行われています。
次項でそれぞれ詳しく見ていきましょう。
【客観的事項の評価について】
ここでは経営事項審査の結果や下記の項目をもとに、国や自治体が評価を行います。
主に対象となる項目が下記の通りです。
・経営状況や経営規模(経審)
・技術力・社会性(経審)
・年間総売上高
・流動比率
・自己資本金額
・従業員の数
・営業年数
・障害者を雇用している割合など
このように、様々な項目で業種ごとに審査され、その結果が格付けされます。
また建設業では、入札参加資格を受けるためにまず経審を行わなければ、入札に参加できませんので注意しておきましょう。
【主観的事項の評価について】
主観的審査事項では主に“審査対象事業年度の営業種目売上高”で格付けが決まります。
ここでの評価は、公共工事の発注機関(建設業において)が独自に行い下記の項目で審査されます。
・地域内の営業実績や本店の有無など
・過去の工事施工実績など
・IOSを取得しているか
・高齢者雇用事業所の登録を行っている
上記では一部加点対象となる項目を挙げました。
自治体によっては様々な基準を設けており、該当する場合は加点対象となりランクは上がります。
しかし主観的事項の評価は、発注機関によって行っていない所もありますので、請け負いたい自治体が決まったら、まずはどのような審査が行われているのか事前に確認することが重要と言えます。
■まとめ
今回は、入札参加資格の等級・ランクについて解説しました。
ランク付けされることによって発注する側としては、公正に依頼する会社を判断することができ、される側にとっては適正な金額で受注することができ、事業の幅も広がり会社にとっても大変良い事と言えるでしょう。
特に建設業ではランク付けが行われることで、どの規模の公共工事を受注したいか判断するための指標とも言えます。
それぞれの企業が、今後どのように事業を展開していくか判断するためには必要なものでしょう。
入札参加資格を受ける場合は、専門家である行政書士へ依頼する事で加点対象となるアドバイスを受ける事ができ、様々な資料からヒントを見つけてくれるでしょう。
入札参加資格について、何か少しでもご不明な事などありましたら、お気軽に行政書士までご相談ください。