建設業をされている方にとっては、聞き馴染みのある言葉だとは思いますが、聞いたことはあるが、内容について、いまいちよく理解していない。経営審査事項を受けたいと思っているが、まずは、しっかりと内容について理解したい。など、お悩みの方もいらっしゃると思います。
今回は、そのような方に向けて、経営事項審査についてわかりやすく解説していきます。
■経営事項審査とはどんなもの?
まず初めに、経営事項審査とは、国や自治体が発注する公共工事を、直接的に元請けとして請け負う時に、必要となってくる審査です。
ここで出てくる審査って何だろう?と感じる方もいらっしゃるでしょう。
これから、ここで使われる審査についてご説明します。
■審査は、どんなもので何に使われるの?
国や市町村が、公共工事が行われる際に、これから工事を行って欲しい建設業者全体へ向けて、募集をかけます。
その際に、公共工事を請け負いたい建設業者は、公共工事入札に参加します。
この入札に参加した建設業者の中から、行政は一番良い条件を出してきた建設業者を、公共工事入札で選ぶという流れになっております。
この時に、判断基準として必要となるものが“”経営事項審査です。
経営事項審査では、会社の経営状況や、経営の規模・技術力などを基に、点数化して審査されるため、公平に公正な建設業者を選ぶことができます。
ここまで読んで、経営事項審査の意味は理解できましたね。
それでは、次の項では、どんな内容を審査されるのか、見ていきましょう。
■審査される項目について
経営事項審査では、大きく分けて4つの項目で審査されます。
1.経営状況
2.経営規模
3.技術力
4.社会性
■経営事項審査の流れについて
経営事項審査を受ける際には、下記の手順で審査を受けなければなりません。
1.決算日に財務諸表を作成する
事業を行っている会社なら、必ず決算日があります。
その会社の決算日の数値をもとにして、決算後すぐに財務諸表を作成しましょう。
2.事業年度終了届を提出する
建設業の決算書のようなもので、事業年度が終了してから4ヶ月以内に行政庁へ、提出しなければなりません。
3.経営状況分析の申請を行う
ここでは、経営状況について審査されます。事業年度終了届をもとに、資料を作成して、国土交通省が認可している民間の分析機関へ、提出します。
この分析機関は、各都道府県あるので、自ら選び、申請を行いましょう。
4.経営規模等評価申請を行う
ここでは、経営の規模や社会保険等へ加入しているか、社会性など客観的に審査されます。
経営状況分析の結果が通知書として届きますので、こちらも一緒に提出しましょう。
提出先は、建設業許可を受けた行政庁となります。
5.総合評定値通知書を受け取る
この総合評定値通知書が、公共工事の入札には必要となる大事な通知書であり、➂➃の合計を点数で評価したものです。
この通知書は、自ら請求しなければ届きませんので、気をつけましょう。
経営規模等評価申請を行ってから、大体1ヶ月程度で取得できます。
このような流れを経て、経営事項審査を受け、点数で評価されます。
それでは、次の項では、経営事項審査を行う際の手数料について、ご説明します。
■審査にはどのくらいの費用がかかる?
審査が行われる中で、以下の三つの費用がかかってきます。
➀経営状況分析申請手数料・・分析する機関によって料金は異なりますが、大体の相場は9,000円〜14,000円ほどです
➁経営事項審査申請手数料・・審査を行う業種の数によって料金は変わってきます。
1つの業種のみの場合・・11,000円
2つ目以降増えるごとに・・プラス2,500円ずつになります
➂総合評定値・・400円と、その他審査対象業種の数に応じて、200円ずつ加算されます。
それぞれ、納める機関が異なりますので、申請を行う際に、その都度必要機関へ支払いましょう。
■審査の基準日
審査基準日とは、原則として、直前の事業年度終了日となります。
例えば申請時に、すでに新しい審査基準日を迎えていると、従前の審査基準日で、審査を受けることはできませんので、注意しましょう。
■経営事項審査の有効期限は?
経営事項審査の結果通知書を受領した後、経営事項審査の審査基準日から1年7ヶ月の間です。
結果通知書を受け取った日ではなく、あくまでも審査基準日から起算されるので、ここでも注意が必要です。
引き続き、毎年のように公共工事を入札する際には、有効期限に切れ目が出てしまわないよう、決算終了後に必ず、経営事項審査を受け続けることが、必要となってきます。
■まとめ
今回は、経営事項審査について、内容や流れを詳しく解説しました。
この記事を読んで、経営事項審査についての理解を深めることができたのではないでしょうか。
今後、公共工事の入札を行う方は、しっかりと流れや、申請に必要な書類等確認しながら、審査を受けましょう。
また、審査を受けたいが、日々の仕事もあり、準備が追いつかない。提出書類を不備なく正確に提出したい。などお悩みの方は、専門である行政書士までお問い合わせください。