ものづくり補助金

ものづくり補助金の採択事例と採択率

 

ものづくり補助金ではどのような事業が採択されていて、どれくらいの採択率なの?

そう疑問に思っている方は多いのではないでしょうか?

 

ここでは、そんな疑問に対して、過去の採択事例や採択率について簡単に紹介をしていきます。

 

採択事例は業種を問わずさまざま

「ものづくり補助金」と聞くと名前からは製造業のための補助金じゃないの?と思ってしまいがちですが、意外とそうでもありません。

 

確かに、次の表を見ても分かる通り、補助事業者の過半数は製造業ではありますが、その他医療・福祉業界や情報通信業、サービス業、その他にも農業などでも採択されています。

ここでは、メインの製造業ではなくその他の業種での採択例をいくつか紹介します。

 

 

①飲食業でのものづくり補助金活用例

こちらはローカルのラーメン店のものづくり補助金活用事例です。もともと地元民などから愛されていたラーメン屋でしたが、「食べたくても地元に帰って食べれない」といったような要望から通販事業を開始していました。

 

しかし、スープの長期保存ができなかったり大量生産が出来ないといった問題も抱えていました。具体的には常温で冷まし、瓶のような容器に詰め替えて発送という方法をとっていたものの品質面でも心配があり、ものづくり補助金を使って「卓上型真空包装機」と「液体凍結機」を導入しました。 

 

卓上真空包装機は高温の液体もすぐに真空パックにできることから品質を落とさずにパック詰めすることが出来、さらにそれを液体凍結機でスピード凍結することで、旨味成分を逃さず冷凍前と同品質で保存することが出来るようになりました。

これにより、通販行における生産性は大幅に向上し、保存期間も半年と長期になった他、長期保存が可能でポータブルということで、ふるさと納税やイベントへの参加といった活路も開けました。

 

②情報通信業でのものづくり補助金活用例

電気モーターの生産や制御盤製作、情報処理事業を手掛ける事業者の補助金活用例です。この会社は5年ほど前からアプリ開発を始め新規事業として取り組んでいます。

 

内容としては、自社AR(拡張現実)技術を活用したもので、対象物にスマートフォンを向けて写真を撮るだけで、観光情報がスマホの画面上に表示されるという観光情報アプリです。

 

開発の経緯として、当初は、アプリ開発はインターネット接続を想定していました。しかし、海外に行く際には国際通信ができるスマホであってもインフラ未整備地域や海上などの通信圏外では情報収集できないという課題を発見したことから、オフラインでの使用を目指し、外部専門家ともに連携、独自のAR技術を確立し特許も取得しました。

 

しかし、開発コストや時間がかかるという課題もあったため、ここでのづくり補助金を活用、補助金を活用できたことで、訪日客向けの避難誘導システム機能の導入も可能になりました。これは、全国の自治体指定の避難所など約12万件の中から近くの避難所・避難場所の候補を表示するもので、画期的なところとしては距離や標高が表示、案内も矢印で直感的にされるため訪日客のように土地勘がないひとにも役立つというところです。また、計画通りインターネット接続を要せず、スマホのGPS・コンパス機能のみで動くため、通信圏外であっても安定して使用することが出来ます。もちろん観光情報アプリとして全国の名所など約2万5000件のデータを収録しており、20カ国語にも対応しています。

 

このように、革新性があったり生産性向上に資する設備投資であれば、製造業以外でもものづくり補助金の採択可能性があることが分かります。

 

では次にものづくり補助金の採択率も見てみましょう。

 

ものづくり補助金の採択率は概ね40%

まず過去5年間の採択率をざっくりまとめるとこんな感じです。

年度

採択率

備考

令和元年度

52.5%

1〜3次締切採択結果公表時点

平成30年度

45.0

 

平成29年度

50.8

 

平成28年度

39.6

 

平成27年度

29.8

 

 

次に、本記事執筆時点で公表されている今年度の採択結果の内訳は次のとおりです。

締切

応募者数

採択者数

採択率

1次

2,287

1,429

62.5%

2次

5,721

3,267

57.1%

3次

6,923

2,637

38.1%

 

今年度はコロナウイルスの影響による特別枠の設置もあり高い採択率となることが予想されますが、過去の採択率推移を見ると、概ね40%ほどであることが分かります。

 

つまり、応募者の半分以上が採択を受けられないというシビアな世界であるということです。

 

また、締切が複数回ある場合の傾向としては、予算の兼ね合いもあり1次締切に応募したほうが採択率は高くなっています。

 

 

さて、ここまでいかがだったでしょうか?

ものづくり補助金の採択事例としてどんなものがあるのか、また採択率はどれくらいなのか?ざっくりとした内容がおわかりいただけたかと思います。

 

自分のしたいことがものづくり補助金の採択可能性はあるのか、少しでも採択率を上げたいけれどどうしたらいいのか、とお困りの方はぜひ一度補助金を専門としている行政書士に相談をしてみてください。

この記事の監修

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

行政書士/財務コンサルタント

吉野 智成(よしの ともなり)

プロフィール

大学卒業後、税理士事務所で中小企業の会計を支援。
2019年 行政書士登録、個人事務所を開設
2021年 補助金・融資部門を法人化。「株式会社Gunshi」を設立
専門分野:事業者向け補助金、融資申請支援

書籍

中小会社で活用できる「補助金」のことがわかる本』(セルバ出版)

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